ドーバー海峡での移民ボート遭難で英仏間の緊張高まる
イギリスとフランスを結ぶドーバー海峡を渡る移民ボートで27人が死亡する事故が発生、移民対策を巡り英仏間の緊張が高まっている。
11月24日付仏
『フランス24』(ロイター通信)は「英は移民ボート沈没を政治利用すべきでないとマクロン大統領」との見出しで以下のように報道している。
英仏を隔てる海峡を渡る移民の船が転覆し過去最悪の死者となった。世界一の往来があり潮の流れも速い海峡で、人身売買斡旋業者は定員オーバーの移民をボートに乗せて英国へ渡らせる。仏内相によると、27人の移民が死亡、2人が重体。フランス警察はこの事故に関与した疑いで斡旋業者4人が逮捕。...
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11月24日付仏
『フランス24』(ロイター通信)は「英は移民ボート沈没を政治利用すべきでないとマクロン大統領」との見出しで以下のように報道している。
英仏を隔てる海峡を渡る移民の船が転覆し過去最悪の死者となった。世界一の往来があり潮の流れも速い海峡で、人身売買斡旋業者は定員オーバーの移民をボートに乗せて英国へ渡らせる。仏内相によると、27人の移民が死亡、2人が重体。フランス警察はこの事故に関与した疑いで斡旋業者4人が逮捕。移民らの国籍や身元は不明だという。
英国のジョンソン首相は、「衝撃を受け、愕然とした」とし、斡旋する犯罪集団は「殺人をして咎められないも同然」と批判。フランスのマクロン大統領は、「英国は自国の利益のためこの問題を政治化すべきではない」とし、ダルマナン内相は、「英国も問題解決における役割を果たすべき」と述べ、フランスに対し、同海峡での移民横断を阻止する対策強化を求めた。EUの国境沿岸警備機関(FRONTEX)は、難民がフランス北方海峡に集結しないよう、域外の境界線を守るためにより多くの支援金が必要だと指摘した。
マクロン仏大統領は、英国は国内世論を有利に導くためにこの問題を政治化すべきではないと指摘。ダルマナン仏内相は、英国も問題解決に向け役割を果たすべきだと訴えた。一方イギリスはここ数週間にわたり、フランスは移民の渡航を止めず対策をしていないと批判、フランス側はその批判に反発している。
ジョンソン首相は声明で、マクロン大統領と海峡移民対策強化で合意したと表明。難民支援団体は、監視強化により移民が更に危険な行動にでる可能性があると指摘し、斡旋業者のみを批判するのは政府の責任逃れだとしている。
11月25日付加『CBCニュース』(AP通信)は「英海峡での難民遭難事故を巡り英仏の緊張関係高まる」との見出しで以下のように報道している。
英国海峡を渡る移民ボートで27人が死亡する事故が発生、移民対策を巡り英仏間の緊張が高まっている。イギリスのジョンソン首相と仏のマクロン大統領は、移民の命を危険にする斡旋業を阻止するあらゆる策を取ることで合意したのだが、両国政府は事故を防げなかった責任で互いを批判している。
イギリス当局は、合同警備強化としてイギリス警察をフランス沿岸に派遣することを提案したが、フランス側がこれを拒否したことに不満を表した。一方のマクロン大統領は、「沿岸部の警備体制はこれ以上なく完璧であり、フランスはイギリスのために国境を守っているのだから、イギリス側の対策強化を求める」と述べ、イギリス側には「より責任あるパートナー」が必要だと反論、EUの支援を要請した。
フランス政府の発表では、ボート沈没の死者の中には子どもや妊婦が含まれているという。コロナ禍で飛行機や船便渡航が制限されたため、空気注入式ボート等小型の船で海峡を渡る難民の数が増加しており、今年小型ボートでイギリスに入国したのは2.3万人以上。昨年は8500人、2018年にはわずか300人程度であった。
今年6月、英国政府はフランスの斡旋業者摘発対策支援として5400万ポンド(約82億円)の拠出を決め、合同警備も提案したが、フランス側が自治権に抵触するとの懸念からこの提案を再三にわたり拒否している。
緊張関係は、昨年のEU離脱にも原因があるとされる。離脱の際イギリスはEU内の移民問題協力体制からも離脱していた。斡旋業者による海峡難民渡航支援ビジネスが拡張していたのだが、EU内での亡命希望者の動向を監視するシステムが十分働いておらず、新たな監視体制が敷かれていないかったことが悲劇を生んだとされる。イギリスは他国に亡命希望者の管理センターを設立するなど新たなルールを提案してきたが、議会で反対されてきた。
遭難事故に関し英国の新聞メディアは、事故の数時間前移民がボートを膨らませているのをフランス警察が見ている写真を掲載し、「ギャングの犯罪を見過ごすとは恥ずべきこと」とフランスに批判を向けた。翌日ジョンソン首相はマクロン大統領やEU首脳らに書簡を送り、海峡、空域、地上での合同警備を来週にでも開始することや、移民をフランスに送還する協定について提案している。
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コロナ禍で人身売買増加、米国務省
米国務省が1日、人身売買に関する各国の対策状況をまとめた年次報告書を発表。今年の報告書では、中国が国民に強制労働を強いている点や、コロナ禍の問題も指摘されている。
7月1日付米国
『CNN』は「コロナ禍で人身売買のリスクが増加、米国務省報告書」との見出しで以下のように報道している。
米国務省が1日発表した人身売買に関する報告書によると、世界的流行となった新型コロナウイルスの影響により社会経済上、人身売買利用への動きが高まりリスクが増したという。また、コロナ禍では人身売買対策がなおざりとなり、被害者保護や支援対策が減り、予防対策も手薄となり、取り調べや起訴にも影響があったという。...
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7月1日付米国
『CNN』は「コロナ禍で人身売買のリスクが増加、米国務省報告書」との見出しで以下のように報道している。
米国務省が1日発表した人身売買に関する報告書によると、世界的流行となった新型コロナウイルスの影響により社会経済上、人身売買利用への動きが高まりリスクが増したという。また、コロナ禍では人身売買対策がなおざりとなり、被害者保護や支援対策が減り、予防対策も手薄となり、取り調べや起訴にも影響があったという。
ブリンケン国務長官は、「多くの地域で政府が資源をコロナ対策に回したのを機に、人身売買活動が活発化していった。弱い立場の人々が搾取される経済状態となった上、職場や学校でもネット利用者が増えたことでネットを介し被害者のリクルートが行なわれていった。コロナ禍を早く修復するのが急務だ」等としている。
また報告書では、「過激派グループや白人至上主義者が人身売買を募るため誤ったメッセージを拡散、組織的レイシズムが米国内外の人身売買と関係している。人身売買をなくすには、組織的人種差別や性差別などの差別を無くし、様々な側面から公平な社会を築く対策が必要だ」とし、誤情報の拡大阻止が急務だとしている。
報告書では人身売買被害者保護法(TVPA)を基準に、昨年4月から今年3月までの各国の対策状況をまとめている。17カ国が基準を満たしていないとする「カテゴリー3」に分類され、アフガニスタン、中国、キューバ、イラン、ニカラグア、北朝鮮、ロシア、シリア、ベネズエラ等が含まれる。また、トルコ(NATO加盟国では初)を含む15カ国が、少年兵防止法に違反し、児童を徴兵する政府軍や治安部隊を持つ国としている。更に、人身売買に政府自らが関与した国に11カ国を指定し、ウイグル族などの少数民族を強制労働させたとする中国政府もここに含まれる。
コロナ禍では経済社会的低迷により弱い立場にある人々のリスクが増幅した。これには女性や子どもや、渡航制限やステイホーム指示で影響を受けた人々、食糧事情が不安定な地域の人々、人身売買のサバイバーなども含まれる。
同日付仏『フランス24』(AFP通信引用)は「新型コロナが人身売買に都合の良い環境を作った」との見出しで以下のように報道している。
米国は、パンデミックにより各国政府が資源を保健対策に回したことで、人身売買に最適な環境が出来、これが利用されたとしている。
米国務省の今年の人身売買に関する報告書では、数カ国が人身売買対策の格付け評価を下げた一方、評価を上げた国々もあった。報告書の発表にあたり、ブリンケン国務長官は、「約25カ国で人身売買の被害者が存在し、その多くは性被害や強制労働、徴兵に苦しんでおりこれは世界的危機だ」等とした。
仲介業者はパンデックにより露呈した脆弱性を素早く見抜きフルに活用したと指摘。インドやネパールでは経済状況悪化のため、貧困層や過疎地の若者が学校をやめて家計を支え結婚させられる等、収入減を補うため強制労働させられるケースもあった。米国等の国では、家賃を払えない時、家主が借主に性的関係を迫ったりするケースもみられた。
取り組みの格付けでは、6カ国(キプロス、イスラエル、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スイス)が最高の「1」から「2」に降格。これは最低限の基準を満たしていないが、基準を満たすようかなりの対策を行っている国となる。一方、ギニア-ビサウとマレーシアの2カ国は、最低評価の「3」に追加された。ベラルーシ、ブルンジ、レソト、パプアニューギニアは「3」から「2」に昇格。米国は、大統領の承認を受ければ、「3」の国々への海外援助を制限する可能性もあるという。
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