世界で10億人が肥満:WHO
最新の調査によると、肥満は欧州などの先進国では横ばいとなっているが、世界的には急速に増加しているという。
3月1日付仏
『フランス24』(AFP通信):「世界で10億人以上が肥満の症状、世界保健機関」:
医学雑誌「ランセット」発表の調査によると、世界の肥満人口が10億人を超え、1990年以来4倍以上に増加しているという。
特に途上国でこの傾向が強く、未成年者での増加率が高くなっているという。1990年の肥満人口は約2億2600万人だったが、2022年には10億3800万人となっている。...
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3月1日付仏
『フランス24』(AFP通信):「世界で10億人以上が肥満の症状、世界保健機関」:
医学雑誌「ランセット」発表の調査によると、世界の肥満人口が10億人を超え、1990年以来4倍以上に増加しているという。
特に途上国でこの傾向が強く、未成年者での増加率が高くなっているという。1990年の肥満人口は約2億2600万人だったが、2022年には10億3800万人となっている。
世界保健機関(WHO)が調査し、今月4日の世界肥満デーを前に公開された。WHOのフランチェスコ・ブランカ栄養・食品安全局長は、「予測より早く10億人に到達してしまった」とする。医師らは肥満の急速な増加を認識していたが、この数に達するのは2030年になると予測されていた。
今回の調査は190カ国以上の2億2200万人以上の体重と身長を分析。2022年、男性5億400万人、女性3億7400万人が肥満だと認定された。肥満率の変化は1990年比で男性でほぼ3倍、女性は2倍以上となった。未成年の肥満は、1990年から3100万人増加し1億5900万人となった。
心臓病、糖尿病やガンなどの慢性的複合疾患は死亡リスクを上昇させる。肥満はコロナ禍でも死亡リスクを上げる要因となった。
地域的に見ると、ポリネシアやミクロネシア、カリブ海諸国、中東や北アフリカでの肥満率が顕著で、調査では「過去に肥満は富裕国の問題だったが、現在では世界的な問題となっている」としている。
一方、肥満はフランスやスペイン等の欧州、特に女性の間では「横ばい傾向」にあるとする。
WHOのテドロス事務局長は、「食事や身体活動、適切な治療により成人前の段階での対策の必要性」を指摘。世界目標達成には「製品への健康上の影響を担う民間セクターの協力が必要」だとしている。WHOは砂糖含有飲料への課税、子どもの健康に良くない食品の規制、健康食品の補助金増額等の対策を行っている。
専門家は、「新薬も肥満対策に有効だとするものの、肥満は長期的問題のため根本的な解決策にはならず、薬物の副作用による長期的影響を調査する必要がある」としている。
同日付『ロイター通信』:「世界で10億人超が肥満」:
世界保健機関と国際研究チームによる調査によると、世界の10億人以上が現在肥満症状にあるという。
肥満は多くの健康問題のリスクを上昇させる。以前には栄養不足が深刻だった低中所得国を含めた殆どの国で、現在、体重不足よりも肥満の方が多いのが一般的となっている。
先月29日「ランセット」で発表された調査によると、多くの富裕国では肥満率は横ばいとなっているが、その他の地域では急速に肥満が増加しているという。
世界的に多くの国で、「低体重」(痩せすぎ)は減少しているが、重大な問題には変わりなく、一方で、以前富裕国の問題とされていた肥満は今や世界的な問題となっている。
成人の肥満率は2022年、1990年比で2倍以上に増加した。5歳から19歳の未成年では、3倍以上の増加率となっている。一方で、「低体重」と認められる少女、少年、成人の割合は5分の1に減少したという。
ノボ・ノルディスクのウゴービなどの肥満症治療薬は有用だが、費用や入手機会の不均等が格差を拡大すると指摘している。
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フランス:いじめや差別対策として学校制服を試験導入へ
フランスでは、差別やいじめ対策として、一部の公立学校で制服が試験的に導入されるという。一方、既に制服が導入されている他国でも、制服規定を破る問題が生じたり、いじめが今も問題となっているとのデータもあるという。
1月8日付
『フランス24』:「フランス、いじめや差別対策として学校制服を試験導入へ」:
フランスでは今年9月、一部の学校で制服が試験的に導入されることとなる。
これはガブリエル・アタル国民教育相が主導する2年間の試験的運用で、学校でのいじめ、仲間からの圧力などの軽減を目的とするもの。一方で、教師や専門家の中には、制服が根本的な問題解決とはならないとの否定的な見方もある。
公開された制服モデルは、袖の短いものを含む、紺のポロシャツ、ジャンパー、胸には小さな国旗が刺繍され、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ行政区とのロゴもある。...
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1月8日付
『フランス24』:「フランス、いじめや差別対策として学校制服を試験導入へ」:
フランスでは今年9月、一部の学校で制服が試験的に導入されることとなる。
これはガブリエル・アタル国民教育相が主導する2年間の試験的運用で、学校でのいじめ、仲間からの圧力などの軽減を目的とするもの。一方で、教師や専門家の中には、制服が根本的な問題解決とはならないとの否定的な見方もある。
公開された制服モデルは、袖の短いものを含む、紺のポロシャツ、ジャンパー、胸には小さな国旗が刺繍され、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ行政区とのロゴもある。同区では、9月から5つの学校でポロシャツが導入される。
アタル教育相は昨年12月、国内各所での試験的な制服導入案を発表していた。参加の意思を表明した複数の公立学校で、新学年が始まる9月からが基本だが、特に意欲の高い学校では春からの導入が始まる所もあり、参加するのは北部トゥールコワンやランス、南部ニースなどの都市となっている。
学校での問題は近年大きくなってきており、生徒と教師の間で、セキュリティ強化が議論されている。先月には、北部の学校で12歳の女子生徒がキッチンナイフで教師を脅す事件が発生。昨年10月にはイスラム教徒の学生が元教師を殺害する事件が起きた。2020年、イスラム教徒が中学校の外で教師を殺害した事件では6人が起訴されている。
今回の制服導入の目標はいじめ対策だが、他国をみても、制服が定着している英国では教師や学校の権限の欠如や、いじめは今も問題となっている。
この試験導入に参加する学校は、2年間学生に制服の着用を求めることとなり、国家レベルで、専門家が科学的評価を行うこととなる。報告書によってその効果が検証されるのだが、既存のデータによると、既に制服を導入している米国や英国などの他国での結果は芳しくはないという。
制服が時に差別を助長するとのデータもある。米国国立女性法センターの調査によると、首都ワシントンの黒人女子生徒は、白人女子生徒に比べ20倍制服規定を破っているとのデータもある。
フランスで長年、主に極右政党が中心となり公立学校での制服導入が議論されてきた。2003年、ザビエル・ダルコス元教育相が提唱し、ジャン=ミシェル・ブランカー元教育相に継承された。2022年には極右政党(国民連合)マリーヌ・ルペン党首が選挙で制服の必要性を主張し、同党議員により制服強制法案が提出されたが与党がこれを否定した。
教員組合、専門家、教師たちの間では、制服ではいじめや差別はなくならないとの意見が一致している。公立学校には他に取り組まなければならない問題があるという。慢性的な予算不足で学校が対策に手が回らないという側面もある。昨年、教師の募集枠は定員割れしている。労働環境の悪化が報告されておりデモも起きている。
同日付キプロス『KNEWS』:「ドレスコード‹服装規定)によるいじめ対策は可能なのか」:
フランスでは、9月から2年間の試験的な制服導入に向けて準備が進められている。差別やいじめ対策としてガブリエル・アタル国民教育相が主導する。
しかし公立学校の教師、心理学者などの専門家は表面的な変更にとどまると懐疑的な見方をしている。
南東部オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ行政区長が、ネイビーブルーの制服試作を発表したものの、ソーシャルメディア上の反応は複雑で、地元の高校生たちはTikTokなどで、このアンサンブルの制服をけなしているという。
制服の試験的導入は全国に展開される予定だが、批判は根強く、いじめや社会的不公平をなくし、規律を正す点で効果が疑われている。また、制服導入はコスト面でもハードルとなり、生徒1人あたりの基本セットで最大200ユーロ(約31500円)となる。
制服が問題解決策となるという政府の主張には、イスラム教徒に関連した服装を巡る議論が影響している。昨年9月、アラブ諸国の女性の伝統衣装「アバヤ」の公立学校での着用が禁止され、国中で服装の価値観に関する議論が巻き起こった。公立学校では緊張感が高まり、暴力事件も発生、安全対策の議論に発展した。
アタル教育相の目的は、いじめ、不平等、成績への対策を制服導入により改善することだが、米国や英国など、海外の制服制度に関する既存の調査によると、結果は不透明となっている。
専門家の間では、制服よりも、労働環境の改善や、教師の給与増額などの根本的な改革が必要だとの声もある。
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