米・英・マレーシア・中国メディア;ASEAN vs.中国(南シナ海問題)(2016/06/15)
これまで何度も報じたとおり、南シナ海領有権問題に関し、フィリピンが提訴した国際仲裁裁判所(PCA)の裁定が下される瞬間が間近に迫り、米中間の応酬が激しさを増してきている。そして、中国派、反中国派が混在する東南アジア連合(ASEAN)においても、いよいよ旗幟を鮮明にしようとする動きが出てきている。
6月15日付米
『ロイター通信米国版』:「ASEAN、南シナ海問題に懸念表明の共同声明文を撤回」
「・中国とASEANの特別外相会議が6月14日、昆明(雲南省)で開催。
・当初、南シナ海の一方的な海洋活動によって、同海域の平和と安定が阻害されていることに重大な懸念を有するとの共同声明文が、マレーシア外務省からリリース。
・しかし数時間後、同省報道官が、同声明文を至急変更する必要が出たとして撤回。...
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6月15日付米
『ロイター通信米国版』:「ASEAN、南シナ海問題に懸念表明の共同声明文を撤回」
「・中国とASEANの特別外相会議が6月14日、昆明(雲南省)で開催。
・当初、南シナ海の一方的な海洋活動によって、同海域の平和と安定が阻害されていることに重大な懸念を有するとの共同声明文が、マレーシア外務省からリリース。
・しかし数時間後、同省報道官が、同声明文を至急変更する必要が出たとして撤回。
・ただ、それ以降新たな声明文のリリースはなく、各国が個別にコメントを発表する事態。
・中国外交部の陸康(リュー・カン)報道官は、同会議は非公開であり、初めから共同声明文が準備される話となっていなかったとコメント。
・ベトナム外務省は、南シナ海での軍事拠点化に重大な懸念を表明するとの声明を発表したが、シンガポールとインドネシアは、平和と安定維持のためASEANと中国間で対話は継続すると、少々トーンダウンしたコメントをリリース。」
同日付英
『UKニュース』(
『AFP通信』記事引用):「ASEANの南シナ海問題に関わる声明文が撤回」
「・撤回前の共同声明文案には、国連海洋法条約(UNCLOS)を含めた国際法に基づき、南シナ海における平和、安全保障、そして航行の自由が保たれることの重要性を強調する、との文言。
・中国の陸報道官は、
『AFP通信』がリリースした共同声明文原稿は、ASEANの公式のものではなかったと主張。」
同日付マレーシア
『マレーシア・ニュース』(
『ニュース24』記事引用):「ASEAN、南シナ
海問題を批判する声明文を撤回」
「・中国は当初から、南シナ海問題をASEANグループではなく、個別の国との交渉をリクエスト。
・しかし、中国外交部がASEANの公式声明文ではないと主張した、当初リリースの共同声明文案には、ASEANグループとして南シナ海問題を国際法に基づく解決を望む等、中国と真っ向から対立する表現を使用。」
一方、同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「(南シナ海)海洋問題は対話で解決が可能」
「・25年目に当る中国・ASEAN特別外相会議が昆明で開催。
・これまでの同会議を通して、中国側とASEAN側の協力関係が構築。
・南シナ海問題についても、関係外の国の介入で相互信頼が損なわれかねない事態もあったが、今後も関係国間の対話を通じて、協調していくとの共通理解。」
最初に共同声明文案がメディア報道されてから、中国外交部の慌てふためく様子、そして同声明文を撤回に追いやった恫喝行為がまざまざと目に浮かぶ。同外交部は、世界40ヵ国以上が中国支持を表明しているとするが、経済力等で縛りを強くしていかない限り、“中国離れ”がそこかしこで起き始めていると言える。
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米・英・ロシア・フィリピン・中国メディア;帝国(中国)の逆襲(2016/06/10)
【時流】及びGlobal iで詳報されているとおり、日米を中心として、G7伊勢志摩サミット、シンガポール・ダイアローグ(アジア安全保障会議、更に、米中戦略・経済対話を通じて、中国の南シナ海における海洋活動について集中砲火を浴びられた腹いせか、中国はここへきて、フィリピンに国際仲裁裁判所(PCA)提訴取り下げを強要し、米軍偵察機には戦闘機をニアミスさせ、更に、東シナ海尖閣諸島に軍艦を派遣と、立て続けに逆襲に出ている。
6月8日付米
『ジ・エポック・タイムズ』オンラインニュース:「米国、中国戦闘機が米軍機の飛行妨害と非難」
「・米国太平洋軍司令官は6月7日、中国人民解放軍の戦闘機“成都(チョンドゥ)J-10”2機が、東シナ海の国際空域を飛行中の米軍偵察機“RC-135”の進路を妨害したと発表。
・今年5月に続いて2度目のニアミスで、昨年に米中も署名した“海上衝突回避規範(CUES)”に違反するものと非難。...
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6月8日付米
『ジ・エポック・タイムズ』オンラインニュース:「米国、中国戦闘機が米軍機の飛行妨害と非難」
「・米国太平洋軍司令官は6月7日、中国人民解放軍の戦闘機“成都(チョンドゥ)J-10”2機が、東シナ海の国際空域を飛行中の米軍偵察機“RC-135”の進路を妨害したと発表。
・今年5月に続いて2度目のニアミスで、昨年に米中も署名した“海上衝突回避規範(CUES)”に違反するものと非難。」
同日付英
『UKニュース』:「東シナ海上空で、中国戦闘機が米軍機に“危険な”異常接近」
「・米国太平洋軍司令官が、国防総省から中国に対し、外交・軍事上チャネル経由厳重に抗議したと発表。
・これに対して中国国防部は、調査中としながらも、米国は事態をいつも大袈裟にしようと画策していると反論。」
一方、同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、
南シナ海に最新鋭の深海研究所を建設計画」
「・中国は南シナ海に様々な設備を建設中だが、6月7日の情報では、深海探査等に資するための深海研究所を建設する計画。
・深度9,800フィート(約2,900メーター)に構える予定で、未開発の深海資源の探査、採掘等に当る。
・中国社会科学院の東南アジア地域担当の徐(シュウ)主任研究員は、他国を標的とするものでなく、あくまで民生用の施設であり、他国が深海研究に同様の設備を保有していることと変わりないと説明。」
また、6月10日付フィリピン
『ザ・マニラ・タイムズ』:「(中国の)灯台が領有権争いのある諸島に建設」
「・中国国営メディア
『新華社通信』は6月6日、中国がミスチーフ礁とファイアリークロス礁に築いた人工島の上に、今年中にそれぞれ1基ずつ灯台を建設すると発表。
・この発表は、6月10日から沖縄東方で開催される、日米インドの合同演習に先駆けたもので、中国側の抵抗の表れ。
・なお、両礁は中国が軍事拠点化の中心と位置付け、滑走路を建設済みで、また、ファイアリークロス礁には、最新鋭設備が整った病院も建設中。」
一方、同日付中国
『新華社通信』:「駐米中国大使館、南シナ海に関わるウォール・ストリート・ジャーナル社説を非難」
「・駐米中国大使館の朱海権(チュー・ハイクァン)報道官は6月9日、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』の社説は“無謀で憂慮すべきもの”とする書簡を同紙に送付。
・同紙の6月3日社説では、米軍がしばしば航行の自由作戦に基づき軍艦等を南シナ海に派遣しているのは、中国がフィリピン提訴のPCA裁定を拒否するとしているためで、必要な行為と主張。
・中国側は、フィリピンによる一方的なPCA提訴であることから拒否しているもので、また、南シナ海の中国の主権は国連海洋法条約(UNCLOS)発効以前の権利であり、UNCLOSの取決めが許容する範囲内で活動しているものと主張。
・更に、米軍の航行の自由作戦は南シナ海の安定を反って損なうものと反論。」
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