6月13日付
『AP通信』は、「1/6 HSC、トランプの嘘を暴くべく元選挙キャンペーン・マネージャーを証人喚問」と題して、トランプが選挙結果を覆すべく、“嘘で固めた”主張を繰り返すことによって、結果的に議事堂乱入事件発生に繋がったかについて1/6 HSCが徹底的に調査しようとしていると詳報している。
1/6 HSCは、ドナルド・トランプが有権者に対して、選挙は盗まれたとの“虚偽情報”を繰り返し発信したことによって、結果的に議事堂乱入事件が引き起こされたとの嫌疑について徹底的に調査する意向である。
同特別委が6月9日晩に行った、事件調査の中間報告及び重要参考人の証人喚問のテレビ中継は、全米で2千万人近くが視聴した。
これに自信を得た同特別委は6月13日、司法省が、これまで前例のない前大統領の訴追に踏み切るに足る証言が得られると期待して、トランプの元選挙キャンペーン・マネージャーのビル・ステピエン氏(44歳、政治コンサルタント)含めた複数の証人喚問について再びテレビ中継することになった。
同特別委の証人喚問は、先週に続いて、ベニー・トンプソン委員長(74歳、ミシシッピー州選出民主党議員、1993年初当選)及びリズ・チェイニー副委員長(55歳、ワイオミング州選出共和党議員、2017年初当選)が主導して進められる。
同特別委が昨年秋、ステピエン氏宛に出状した召喚状によると、同氏は長らくのトランプ支持者で、トランプ派が始めた「ストップ・ザ・スティール(投票結果転覆)運動」を総指揮した人物とされている。
同氏は証人喚問で、選挙結果に対応するためにトランプ側近らが何を討議したか等質問攻めにあうとみられる。
同氏は現在、トランプが後押ししているワイオミング州共和党予備選挙候補者のハリエット・ヘイグマン氏(59歳、弁護士)の選挙顧問を務めている。
ただ、複雑な背景として、ヘイグマン氏は、1/6 HSCのチェイニー副委員長と予備選を争うことになっているばかりか、2014年時の上院議員選挙に出馬していたチェイニー氏のキャンペーン・チームで主導的役割を担っていたという経緯がある。
ステピエン氏に加えて、次の重要参考人として証人喚問されるのが、元『Foxニュース』政治部記者だったクリス・スティレウォルト氏である。
同氏は、アリゾナ州がバイデンの勝利が確定したと宣言することを決めたことを支持していた人物で、『Foxニュース』がバイデンの勝利を報じたときにトランプがどういう行動を取ったか証言するものとみられている。
その次に1/6 HSCが証人喚問しようと考えているのが、選挙管理委員会幹部、捜査官やその他専門家で、トランプがいくつも提訴して全て失敗に終わった“選挙無効請願”について詳細な証言が求められることになる。
その中で特筆すべき人物は、ジョージア州北部地区連邦地裁検事だったB.J.パク氏(48歳、2017~2021年在任、2011~2017年同州選出共和党下院議員)で、トランプが選挙結果を覆すようジョージア州高官らに圧力をかけたことから突然辞任している。
後に、トランプがジョージア州のブラッド・ラフェンスベルガー司法長官(67歳、2019年就任)に対して、バイデンの勝利を覆すに足る票を“探し出す”よう指示したことが白日の下に曝されている。
トランプが、この指示に反意を示したパク氏を馘首しようとしたことから、その直前の1月4日に同氏は自ら職を辞している。
その他、1/6 HSCが証人喚問しようとしているのは、フィラデルフィア市のアル・シュミット元市選挙管理委員(同市の有権者登録管理担当)で、唯一の共和党所属の人物である。
同氏は、ペンシルベニア州がバイデンの勝利を確定したことに対する猛批判が持ち上がった際、これに勇敢に立ち向かった人物である。
なお、下院議員の中では、一連の証人喚問中継に最も関心を示しているのはメリック・ガーランド司法長官(69歳、元連邦控訴審判事)であろうと噂されている。
何故なら、トランプを訴追するかどうかは同長官の決断に委ねられるからである。
1/6 HSCメンバーであるジェイミー・ラスキン民主党議員(59歳、メリーランド州選出、2017年初当選)は『CNNニュース』のインタビューに答えて、同長官を“威嚇する”つもりはないが、同特別委はトランプの嫌疑を証明する十分な証拠を揃えている、とコメントした。
同議員は、“トランプも、彼の取り巻きも、危機に瀕していることは分かっているし、司法長官も同感だと思う”とも付言している。
もし、トランプが訴追されることになれば、米国史上初めての事態となる。
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2019年にロシア正教会から独立した「ウクライナ正教会」のうち、ロシア正教会に融和的だった宗派が、ロシア正教会との関係断絶を表明した。この宗派がウクライナ正教会に吸収されるかは不透明。ロシアとウクライナは信仰や人種的に一つの民族なのだという主張が崩れるため、プーチン大統領にとっては打撃となる。
5月29日付米
『Foxニュース』:「親ロ派ウクライナ正教会のロシア正教会との断絶はプーチンに大打撃」:
プーチンによるウクライナ進行を巡り、ウクライナ正教会が、モスクワ総主教キリルとの関係を断った。これはプーチンにとり大打撃となるとみられる。
ウクライナ国内100以上の教会が、2019年ロシアから分離したロシア正教系ウクライナ正教会の「完全独立」を支持した。キリル総主教は29日、モスクワの救世主キリスト大聖堂でこの動きを批判し、「ウクライナ正教会の苦しみはよく理解しているが、分断を望む悪意は成功しないだろう」と述べた。
元米国防情報局員のレベッカ・コフラー氏によると「これはプーチンにとり大きな痛手となる。クリルとプーチンの間柄は近く、プーチンはロシア正教会を地政学的に利用してきた。ウクライナなどの旧ソ連国を含むロシア圏の融和という考えは、ロシアがキリスト教やユーラシア文明の中心にあるという思想に根ざしている。教会が分断すれば、すべての思想が分断してしまう」とする。
つまり重要なことは、ロシアとウクライナは信仰や人種的に一つの民族なのだというプーチンの主張が崩れるということだ。
その一方で、親ロシアの分派がウクライナ正教会に吸収される気配はなく、評議員会の意に反してそのまま存続していく可能性を示唆。ロシア軍がウクライナ南東への支配を拡大するにあたり、教区民の利益のバランス関係が重要となるため、教主の中にはロシア側につくものも出てくる。
宗派に関する2018年の調査によると、ウクライナ国民の約67.3%がウクライナ正教会系を信仰していると回答。8.7%がロシア派の正教会だった。23.4%が正教会全般、12.8%がウクライナ正教会を支持していると回答している。
同日付チェコ共和国『Radio Free Europe/Radio Liberty』:「2019年の分派以来ロシアに融和的だったウクライナ正教会が戦争をめぐり関係断絶」:
ウクライナ国内のロシア寄りの正教会の司教らが27日、ロシアとの関係を断絶する決定を下し、ロシア正教会とその司教への強い抵抗を示した。
ロシア寄りのウクライナ正教会の司教らは、キエフで行われた「ロシアによるウクライナ進行がもたらす問題に関する」評議会の後、Faceboookの声明で、 「ウクライナ国内の戦争に関し、我々はモスクワ総主教キリルの立場に同意できない」と表明した。
ここ数週間では、数百に及ぶウクライナ正教会の主教が、キリルへの公式書簡に署名していた。彼らはこの戦争を「汝殺すなかれ、とする神の教えに背くもの」だと批判し、ウクライナとロシア双方への「対話交渉の継続」を訴えている。
クリミア半島併合やドンバス地方の分離派闘争により、モスクワ総主教の監督下にあったウクライナの信者はロシア正教会と決裂、2019年に「ウクライナ正教会」が独立自治を与えられた。その後も、ウクライナ正教会のうちのロシア派教会は存続を続けたが、ウクライナ進行が進む中、ロシア派の正教会は、次第に難しい立場になっていった。
このロシア派教会の主教らが、2019年に分派した正教会に吸収されるのかは不透明だが、彼らは世界の正教会の指導者とされるインブールのバーソロミュー総主教への支持を表明している。
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