中国;台湾問題で北京セブンイレブン(7-11)に罰金賦課【米メディア】
中国は、“ひとつの中国”原則の下、台湾統一を絶対成し遂げると強く宣言している。従って、台湾独立等に結びつくような事態は徹底的に取り締まる姿勢をみせている。そうした中、中国在のコンビニ・チェーン7-11が公開した店舗マップ上の台湾が独立国として表記されていたことから、北京市政府が同社に罰金を賦課している。
1月8日付
『ウェスタン・ジャーナル』(2008年設立の保守系メディア):「中国、コンビニエンスストア7-11のマップに不適切表記があるとして罰金賦課」
中国当局はこの程、コンビニエンスストア7-11が台湾を中国とは別の国と表記する店舗マップを公開したとして厳重注意かつ罰金賦課処分を行った。
『日経アジア』紙報道によると、北京市政府が昨年12月、店舗マップに不適切な表記があることを問題視し、同社に15万人民元(2万3,500ドル、約270万円)の罰金を賦課したという。...
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1月8日付
『ウェスタン・ジャーナル』(2008年設立の保守系メディア):「中国、コンビニエンスストア7-11のマップに不適切表記があるとして罰金賦課」
中国当局はこの程、コンビニエンスストア7-11が台湾を中国とは別の国と表記する店舗マップを公開したとして厳重注意かつ罰金賦課処分を行った。
『日経アジア』紙報道によると、北京市政府が昨年12月、店舗マップに不適切な表記があることを問題視し、同社に15万人民元(2万3,500ドル、約270万円)の罰金を賦課したという。
更に、同地図上では、新疆ウィグル自治区及びチベット自治区の国境線が中国政府の了解と異なっているのみならず、南シナ海上の中国主権内の島々を中国語表記としていないことが指摘されている。
テキサス州に本社を構える同社は、中国含めて世界中に合計7万1千店を展開している(編注;1927創立の米国7-11は、1991年に経営破綻して日本のセブン&アイグループ傘下となり、2005年に完全子会社化)。
同紙によると、同社広報が“罰金を受け入れる”とし、“再発防止に努める”と表明したとする。
中国国営メディア『環球時報』は、この事態に触れて、同社公開の地図は“不適切かつ不完全”だと報じている。
また、中国外交部(省に相当)の汪文斌報道官(ワン・ウェンビン、50歳)は、“台湾が中国の一部であることは絶対であり、ひとつの中国原則は国際社会において広く認知されていることを改めて申し上げる”と表明した。
中国政府は昨年、米『NBC』がオリンピック報道に当たって台湾を中国領土に含めていなかったことに激高して非難していた。
かかる経緯もあってか、海外向けマーケティングに努めている全米プロフットボールリーグ(1920年創立)は、公開している地図上で台湾を中国の一部と表記している。
更に、米『Foxニュース』によると、ホワイトハウスは先月、テレビ会議で行われた“民主主義サミット(注後記)”に参加した台湾高官が、中国本土と台湾を色分けした地図をみせたことから、中国を刺激しないため台湾との通信を遮断したという。
中国政府は、台湾が中国の一部であると頑なに主張し、台湾独立の機運を徹底的に抑え込むべく、台湾周辺での軍事演習を頻繁に行ってきている。
一方、台湾は今週初め、中国の武力侵攻を警戒して、戦闘機を駆使しての領土防衛訓練を実施している。
(注)民主主義サミット:2021年12月9日から10日にかけてジョー・バイデン大統領が主催した、ウェブ会議形式の仮想サミット。目的は「国内の民主主義を刷新し、海外の独裁国家に立ち向かうため」であり、主題は「権威主義からの防衛」「汚職への対処と戦い」「人権尊重の推進」の3つであった。109の国家と2つの地域が招待された一方、中国やロシアなどの国々が除外された。
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米共和党による米国大使承認決議遅延戦略はノルドストリーム2天然ガスパイプラインプロジェクト米政府制裁の解除阻止が目的【米メディア】
既報どおり、長らく空席となっていた米国の駐中国大使の承認決議が米上院議会で採択された。共和党による決議遅延戦略は、中国を利するだけで米国家安全保障上問題との指摘がなされていたが、共和党にとっては、欧州における安全保障を揺るがしかねないノルドストリーム2天然ガスパイプラインプロジェクト(注1後記)阻止のためにトランプ政権下で決定した制裁措置について、バイデン政権によって覆されないよう抵抗することが重要だと捉えていたことが理由である。
12月19日付
『Foxニュース』:「クルーズ上院議員、米国大使承認決議への協力でロシアの天然ガスパイプラインプロジェクトへの制裁継続につき民主党側譲歩獲得」
米上院議会において、何ヵ月間も停滞していた大使承認手続きが12月18日から遂に進捗することになった。
停滞していたのは、上院少数派の共和党が、トランプ政権のときに決定したロシア~ドイツ間ノルドストリーム2天然ガスパイプラインプロジェクトに関わる制裁措置をジョー・バイデン大統領(79歳)が破棄すると表明したことに抵抗して、米憲法で認められた“アドバイス&コンセント(注2後記)”に基づき、大統領が指名していた米国大使の承認手続きを保留してきたからである。...
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12月19日付
『Foxニュース』:「クルーズ上院議員、米国大使承認決議への協力でロシアの天然ガスパイプラインプロジェクトへの制裁継続につき民主党側譲歩獲得」
米上院議会において、何ヵ月間も停滞していた大使承認手続きが12月18日から遂に進捗することになった。
停滞していたのは、上院少数派の共和党が、トランプ政権のときに決定したロシア~ドイツ間ノルドストリーム2天然ガスパイプラインプロジェクトに関わる制裁措置をジョー・バイデン大統領(79歳)が破棄すると表明したことに抵抗して、米憲法で認められた“アドバイス&コンセント(注2後記)”に基づき、大統領が指名していた米国大使の承認手続きを保留してきたからである。
しかしこの程、共和党側のテッド・クルーズ上院議員(50歳、テキサス州選出)が12月17日晩、上院民主党院内総務のチャック・シュマー議員(71歳、ニューヨーク州選出)との間で、民主党側が2022年1月早々に上院に諮られる同プロジェクト制裁措置について賛同するとの条件を受け入れたため、同大統領が指名していた大使候補32名の承認手続き移行を認めることに合意したものである。
共和党側はこれまで、バイデン大統領が今年7月、同プロジェクトの稼働開始に向けて制限を撤廃する意思を表明したことについて幾度となく非難する声を上げていた。
バイデン政権としては、米・ドイツ間友好関係維持のため、同プロジェクトを通じての天然ガスの確保を容認する必要があるとしていた。
しかし、共和党側は、かかる動きによってロシアによるウクライナ侵攻を後押しする結果に結びつきかねないとして激しく反対した(編注;侵攻問題とは別に、1970年代稼働開始のロシア~ウクライナ~欧州間天然ガスパイプラインが、近年しばしばロシア・ウクライナ間で問題化)。
一方、ドイツ側においては先月、同国新政権が同パイプラインプロジェクトの法的文書手続きを一時停止するという措置を講じている。
ドイツ国営放送局『DW(ドイチェ・ベレ)』12月18日報道によると、ロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護大臣(52歳、緑の党共同党首、2021年12月就任)が、もしロシアがウクライナに侵攻すれば、同プロジェクトの稼働差し止め等の“厳しい措置”を講ずる意向だと発言したという。
これに似た動きは米国内にも認められ、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当、44歳)が先週、ロシアによるウクライナ侵攻を食い止めるため、同プロジェクトの扱いは“有利な交渉材料”になろうと発言していた。
同補佐官は、“もしウラジーミル・プーチン大統領(69歳)が同プロジェクトを通じて天然ガスを欧州に供給したいと欲するなら、ウクライナに侵攻するというようなリスクを取ることを思い止まるかも知れない”と言及している。
なお、共和党側は、同プロジェクトに関わる制裁措置をロシアのウクライナ侵攻前に実施すべきだと主張しているが、民主党側はロシアが行動を起こして後と考えている模様である。
しかし、民主党側の考えに対して、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領(43歳)は今週、“当国にとって、事態が発生する前の制裁実施が重要である”とし、“事が起こってからでは、どんな制裁も大して意味をなさないことになるからだ”と反対の意を表明している。
(注1)ノルドストリーム2天然ガスパイプラインプロジェクト:バルト海底を経由してロシア・ドイツ間をつないだ天然ガスのパイプラインプロジェクトで、2011年11月に稼働を開始したノルドストリーム1を倍増させる、全長1,200キロメートルに及ぶプロジェクト。ロシア国営企業ガスプロムとドイツ、フランスなどの企業が出資により、2018年9月に着工。途中、欧州のロシアへのエネルギー依存増大による安全保障問題から米国を中心とした複数の制裁措置がなされ、工事は中断。そして予定より1年9ヵ月遅れの2021年9月に完工。但し、米国制裁継続に加えて、ドイツ政府及び欧州委員会による書類審査遅延によって、稼働開始は2022年春以降となる見込み。
(注2)アドバイス&コンセント:米憲法上で、上院議会に認められた、大統領の指名権や立法権を制限しうる権限。
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