1月26日付
『CNBCニュース』:「首相顧問、東京オリンピック開催のための前提4条件につき解説」
新型コロナウィルス(COVID-19)感染症が吹き荒れる中、今夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックが果たして開催されるのか、かまびすしい議論が展開している。
直近で行われた世論調査の結果では、回答者の約80%が、今夏に東京大会を開催するのを望んでいないとした。
『ロイター通信』報道では、海外から多くの選手等が訪日することで、COVID-19感染が更に拡大することを恐れているためだという。
英国の『ザ・タイムズ』紙が先週、日本政府は大会中止は止む無しとの考えに至っていると報じたところ、同政府はすぐさま、“事実無根”との公式見解を発表している。
そうした中、飲料メーカー大手サントリーホールディングス(前身の鳥井商店は1899年創業)の新浪剛史社長(61歳)は1月26日、『CNBC』のインタビューに答えて、今夏に東京オリンピック開催に漕ぎ着けるためには4条件をクリアせねばならないとコメントした。
同社長は菅義偉首相の経済顧問を務めているが(編注;内閣府経済財政諮問会議委員)、同4条件をクリアするために、“可及的速やかに必要な措置を講じなければならない”と強調した。
(4条件)
1. COVID-19感染を制御すること
新たな感染者数を激減させるため、無症状の感染者含めて、押し並べて“厳しく”検疫・隔離する必要がある。
2. 濃厚接触者トレース用アプリを皆が保持すること
昨年6月に、濃厚接触者が瞬時にトレースできるアプリを立ち上げたが、利用率が非常に低い。
『共同通信』によると、プライバシーの問題から抵抗を感じている人が多いというが、日本政府は、当該アプリで個人情報を収集することはないと訴えている。
3. COVID-19用ワクチン接種開始
ワクチン接種は、当初予定どおり2月から開始するようにすることは“絶対条件”である。
『ロイター通信』報道によると、日本政府はこれまでに、米ファイザー(1849年創業)、モデルナ(2010年創業)、及び英国アストラゼネカ(1999年創業)から3億1,400万回分のワクチンを手当て済みだという。
4. 大きなスポーツ大会の開催
例えばプロ野球の国際試合等、大きなスポーツ大会を開催することで実績を作ることが肝要である。
なお、日本政府は、大会中止との報道に真っ向から反論しているが、新浪社長初め多くの関係者は1月初め、大会が開催できるか不確かだとコメントしていた。
同社長は『ロイター通信』に対して同様のコメントを出していたし、国際オリンピック委員会(IOC)最古参のリチャード・パウンド委員(78歳、カナダ人弁護士、元競泳選手)も英国『BBC』のインタビューに答えて、“誰も触れようとしないので敢えて言うが、COVID-19感染爆発の現状化、大会を予定どおり開催できるとは言い難い”と表明していた。
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1月22日付
『ニューヨーク・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「IOC:報道内容を否定して、東京オリンピックは予定どおり今夏開催と宣言」
IOCのトーマス・バッハ会長(67歳、ドイツ人弁護士、元フェンシング選手)も東京大会組織委員会も、今夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックは予定どおり開催されると改めて強調した。
これは、英国『ザ・タイムズ』紙が、日本の与党関係者の話を引用して、“今夏に延期された東京大会は、現下の新型コロナウィルス(COVID-19)問題深刻化のために、中止止む無し”と報道したことに反発したものである。
同紙によると、政府関係者は、“誰も言い出さないので敢えて言うが、東京大会開催は困難という考えで一致している”と証言したという。
しかし、これに対して、東京大会組織委員会は1月22日にリリースした声明で、“日本政府、東京都、IOC等大会関係者は全て、今夏の大会開催に向けて最善を尽くしている”と強調した。
更に、“日常の生活が一日も早く正常に戻ることを期待するとともに、引き続き安全第一を主眼とした大会開催に向けて準備を進めていく”とも言及した。
同紙記事は、IOCが既に2024年大会はパリ、2028年大会はロスアンゼルス開催と決定しているので、日本側としては、今夏の大会を中止とする代わりに2032年大会の開催地とすることで決着させたいと希望しているとも報じている。
ただ、2032年開催との案については、今大会開催に当たって既に250億ドル(約2兆6千億円)投下済みであること、今大会用に設けた競技場を11年後まで維持することや関連施設のリース・利用契約を再び結び直すこと等の困難さより、現実的な話とはなるまい。
一方、今月初めに日本政府が東京首都圏はじめ主要都市を対象として、緊急事態宣言を再発出したことに伴い、同紙の他いくつかのメディアが、今夏の大会開催中止の見通しについて報じ始めていた。
しかし、IOCバッハ会長は1月21日、『共同通信』のインタビューに答えて、“現段階で、今夏の大会開催を取り止めるという考えは一切ない”と当該記事内容を全否定している。
IOC最古参委員であるリチャード・パウンド氏(78歳、カナダ人弁護士、元競泳選手)は今週初め、今夏の大会が開催される場合、極端な話として無観客とし、主にテレビ放映用に挙行されることになるのではないか、とコメントしていた。
IOCは、大会開催に当たって、テレビ等の放映権料収入が全収入の73%を占めていることから、大会中止とするよりも開催してテレビ放映だけでも行う方が考えやすい。
何故なら、他のスポーツ競技関連事業に比較して、IOCの収入源は夏季及び冬季大会のみであるからである。
そこでバッハ会長は、大会を予定どおり開催するためには、大胆な変更も考慮する必要があるかも知れないと言及した。
すなわち、オリンピックには約1万1千人、パラリンピックには約4,400人の選手に加えて、それぞれ各国コーチ、大会関係者、招待客、メディア等大勢が関わることから、“ある程度の犠牲は止む無し”とした上で、“あくまで安全第一を主眼として開催する必要がある”と表明している。
更に同会長は、“昨年3月に大会の1年延期を決定した際と、今年の3月では大きな違いがある”として、“感染症の解明、ワクチン開発等、科学的・医学的に大きく進歩しているからだ”と強調した。
なお、日本においては、他欧米諸国に比べて、COVID-19感染者も死者もかなり低いが、IOCとしては、大会開催に当たって、選手団や大会関係者の感染チェック、ワクチン接種、ソーシャルディスタンシングの徹底、また、必要に応じて選手団の隔離等に注力する必要があるとしている。
同日付『ロイター通信』:「日本の首相、メディア報道を否定して東京大会は開催されると断言」
菅義偉首相(72歳)は1月22日、前日の英国『ザ・タイムズ』紙報道に関連して、“今夏の東京大会は、COVID-19に打ち勝ったことの証明として、安全に開催されるよう取り進められている”と強調した。
また、東京大会組織委員会も、“菅首相が大会開催を改めて確認したとおり、政府関係者は一丸となってCOVID-19封じ込めに努めており、また、安全に大会を開催するための対応策も準備中である”と表明した。
ただ、日本にCOVID-19感染の第3波が発生していることから、直近の世論調査では、約80%が今夏の大会開催は無理だと回答している。
同日付『タス通信』:「日本政府、東京大会開催中止との報道を否定」
坂井学内閣官房副長官(55歳)は1月22日、英国『ザ・タイムズ』紙の報道を全面否定した。
同副長官は、報道されている、政府内で大会開催断念の考えで一致といったような話は“一切なく、真実ではない”と強調した。
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