習近平国家主席、半永久的権力掌握を笠に着てメディア・コントロールを更に強化【米・英・中国メディア】(2018/03/23)
既報どおり、習近平(シー・チンピン)氏は、昨年10月の共産党大会で総書記として2期目の指導体制が承認され、今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で国家主席の任期が無期限とされた。そこで、半永久的に権力を掌握することになった習氏は、これまで以上にメディア・コントロールを強化し、反政府運動等に繋がりかねない一切の芽を摘む強権支配を仕掛けようとしている。更に、国営メディアを
『ボイス・オブ・チャイナ』に一本化して、中国国家理念を喧伝するプロパガンダ大媒体を組織する意向である。
3月21日付
『ロイター通信米国版』:「中国、新たな監視組織を設けて更にメディア・コントロールを強化」
『ロイター通信』は3月21日、習近平指導部の下、ニュース・インターネット・映画等のメディア管理を強化するための新たな監視体制が敷かれると報道したが、国営『新華社通信』もこれを追認した。
最高指導機関である党中央委員会の3月19日付資料によると、これまでメディアを監督してきた国家新聞出版広電総局が今月初めに解体され、代わって、プロパガンダ・政治的信念・文化的娯楽の観点から、より直接的に管理・監督する新組織を立ち上げるとする。...
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3月21日付
『ロイター通信米国版』:「中国、新たな監視組織を設けて更にメディア・コントロールを強化」
『ロイター通信』は3月21日、習近平指導部の下、ニュース・インターネット・映画等のメディア管理を強化するための新たな監視体制が敷かれると報道したが、国営『新華社通信』もこれを追認した。
最高指導機関である党中央委員会の3月19日付資料によると、これまでメディアを監督してきた国家新聞出版広電総局が今月初めに解体され、代わって、プロパガンダ・政治的信念・文化的娯楽の観点から、より直接的に管理・監督する新組織を立ち上げるとする。
この一環で、既存の『中国中央テレビ(CCTV)』、『中国環球テレビ・ネットワーク(CGTN)』、『国家ラジオ放送局』及び『国家国際ラジオ放送局』が統合され、新たに『ボイス・オブ・チャイナ』に一本化される。
なお、上記の他、金融から食料安全政策までのあらゆる分野で、それらを管理・監督してきた組織が、近年にないほど大規模に改編される。
同日付英『ザ・ガーディアン』紙:「中国国営メディアが統合されプロパガンダ(組織宣伝)大媒体が出現」
『新華社通信』の3月21日付の通告によると、従来の中国国営テレビ・ラジオ放送局が一本化され、世界最大規模のプロパガンダ媒体が新たに組織されるという。
同通信によると、新組織の下で、共産党の理念・ガイドライン・政策をより広く、速やかに大衆に直接届けることを目的とするとしている。
習国家主席はかつて、国営メディアは共産党の政策に忠実であらねばならないと発言していたが、それに沿って、正に厳しい管理・監督体制が敷かれることになるとみられる。
なお、習指導部は、メディア以外のあらゆる分野の省庁について、共産党の管理・監督が更に密にできるよう、大幅な改編を行う予定である。
一方、3月22日付中国『人民日報』:「国際社会が中国を更に理解するため、新組織の『ボイス・オブ・チャイナ』がその役目を担う」
党中央委員会はこの程、CCTV、CGTNや国営ラジオ放送局等を統合して、『ボイス・オブ・チャイナ』を立ち上げる計画を発表した。
習国家主席は2016年12月31日、新たにCGTNが組織された際、国際社会も中国も開かれた世界になってきている以上、国際社会が中国を、また、中国が国際社会を理解するための媒体として期待されると演説している。
今回の新組織『ボイス・オブ・チャイナ』の立ち上げは、正にその理念を更に強化する一環であり、国際社会と中国の相互理解が増々深く理解される媒体となろう。
特に、米国を筆頭とした西側諸国は、事ある毎に“中国の脅威”等と悪戯に中国の成長を曲解する発信を重ねており、これら誤解を解く意味でも、『ボイス・オブ・チャイナ』を通じての、中国現状の正確な情報が国際社会に伝えられる必要がある。
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習近平王国、悲願の”一帯一路”経済圏構想具現化に向け邁進するも、うまみの少ない東欧圏には露骨な対応【米メディア】(2018/03/13)
中国ではこの程、国家主席の任期期限を撤廃する憲法改正を採択した。これによって、習近平(シー・チンピン)王国が未来永劫に続く可能性が出てきた。そこで習指導部は益々勢いを持って、悲願の“一帯一路”経済圏構想具現化に突き進もうとしている。しかし、中国資本にとって然程うまみのない地域は露骨に選別していくようで、過去にあれ程ぶち上げた東欧諸国との連携については、毎年開催していた東欧諸国・中国首脳会議を2年に一度に開催頻度を下げようとし、また、当初約束した程資本投下を行っていない模様である。
3月13日付
『ロイター通信米国版』:「中国、“対立気味な”東欧諸国との首脳会談開催意欲後退」
欧州外交官の情報によると、中国は東欧諸国との年次首脳会談開催頻度を減少させる意向とみられる。
理由の一つは、特に西欧諸国内で、中国が欧州分断を狙っているとの懸念が高まっていることから、その沈静化を意図したものと考えられる。
中国はこれまで、「16+1首脳会議(注後記)」を2012年以降毎年開催してきたが、今年開催予定のソフィア(ブルガリア)会議は年後半に遅らせた上で、今後2年に一度の開催とする提案をしている模様である。...
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3月13日付
『ロイター通信米国版』:「中国、“対立気味な”東欧諸国との首脳会談開催意欲後退」
欧州外交官の情報によると、中国は東欧諸国との年次首脳会談開催頻度を減少させる意向とみられる。
理由の一つは、特に西欧諸国内で、中国が欧州分断を狙っているとの懸念が高まっていることから、その沈静化を意図したものと考えられる。
中国はこれまで、「16+1首脳会議(注後記)」を2012年以降毎年開催してきたが、今年開催予定のソフィア(ブルガリア)会議は年後半に遅らせた上で、今後2年に一度の開催とする提案をしている模様である。
背景には、欧州連合(EU)の中で、特にドイツ・ベルギーなどが、EU内企業が中国資本に買収されないよう、条件をより厳しくしようと協議していることから、これ以上EUを刺激するのは得策でないと判断したものとみられる。
特に、EU・中国首脳会議において、南シナ海及び貿易不均衡問題から、直近で2度にわたり共同声明が採択されない事態となっている。
以上について中国外交部(省に相当)は何もコメントしていないが、ブルガリア政府報道官によると、2018年のEU議長国となっている当国はEU理事会の日程について調整しているものの、「16+1首脳会議」については日程等一切決まっていないという。
一方、EU政策に批判的なハンガリーのビクトル・オルバーン首相(54歳)は今年1月、同国は道路やパイプラインの新設のための資金が必要だが、EUが供出できないなら中国に頼む他ないと強調している。
ただ、そのハンガリーもそうであるが、特にバルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)では、当初ぶち上げられた程中国資本の流入がないことや、資金は提供するが事業の主導権は中国が握るとの宣言に遭い、不満が溜まりつつある。
(注)16+1首脳会議:メンバー国は、EU加盟国のブルガリア・クロアチア・チェコ・エストニア・ハンガリー・ラトビア・リトアニア・ポーランド・ルーマニア・スロバキア・スロベニア、EU非加盟国のアルバニア・ボスニア&ヘルツェゴビナ・マケドニア・モンテネグロ・セルビア、及び中国。第1回はワルシャワ(ポーランド)で開催。
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