南北朝鮮首脳会談に始まり、米朝首脳会談設定へとの大きな流れの中で、日本は蚊帳の外に置かれていると揶揄されてきた。しかし、安倍晋三首相は、あくまで北朝鮮による核・ミサイル開発断念されるまで、北朝鮮には厳しく対応していくべきだと頑なである。そして、米朝首脳会談の現実味を帯びてきた今日、冷水を浴びせないよう、米政府が、北朝鮮に対する新たな大規模経済制裁の発表を延期する方針を固めたのとほぼ同時期に、日本政府は、中国船がまたしても北朝鮮向けに石油製品の洋上密輸を行っていると告発する発表を行った。
5月29日付米
『ロイター通信米国版』:「日本、中国船が再び対北朝鮮制裁破りを行ったと公表」
日本外務省は5月29日、上海の350キロメーター(218マイル)沖の公海上で、中国国旗を掲げた船が北朝鮮船籍の本船に横付けして、違法に物資を積み替える瀬取りを行っていることを警戒中のP-3哨戒機が5月19日に確認したと公表した。
日本政府は、国連安全保障理事会決議に違反する疑いが強いとして、同安保理北朝鮮制裁委員会に通報したという。...
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5月29日付米
『ロイター通信米国版』:「日本、中国船が再び対北朝鮮制裁破りを行ったと公表」
日本外務省は5月29日、上海の350キロメーター(218マイル)沖の公海上で、中国国旗を掲げた船が北朝鮮船籍の本船に横付けして、違法に物資を積み替える瀬取りを行っていることを警戒中のP-3哨戒機が5月19日に確認したと公表した。
日本政府は、国連安全保障理事会決議に違反する疑いが強いとして、同安保理北朝鮮制裁委員会に通報したという。
これに対して中国外交部(省に相当)は、中国は常に国連安保理決議を忠実に実行していると強調した上で、現在は“未確認”ながら、万一違反行為が確認されたならば、法に従って対応するとのみコメントした。
なお、国連安保理は今年4月、北朝鮮との石油・石炭等の密輸取引に関わったとして、中国籍の船社5社を含め、十数社の船社及び本船を制裁対象とすると発表している。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AP通信』配信):「日本の海上自衛隊、中国船が北朝鮮タンカーへの瀬取り行為を確認」
日本の海上自衛隊の哨戒機が確認したのは、東シナ海の公海上において、中国国旗を掲げた本船が北朝鮮船籍タンカー“智邨(チソン)6号”に横付けして、石油製品と思しき物資を積み替えている行為であったという。
同哨戒機は4枚の航空写真を撮ったが、そのうちの2枚に両船の間にホースが繋がれていて、明らかに瀬取りしていることが確認できるとする。
5月30日付韓国『朝鮮日報』:「北朝鮮船が東シナ海で石油を密輸」
日本政府が北朝鮮船による密輸行為の写真を公開したのは、今年に入ってこれが5度目である。
海上自衛隊P-3C哨戒機が写した写真から、中国国旗を掲揚した本船から北朝鮮タンカー“智邨6号”に石油が積み替えられたものとみられる。
なお、“智邨6号”は今年3月、国連安保理制裁決議に違反したとして、制裁対象と認定されている。
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5月28日付米
『ロイター通信米国版』:「中国、イラン核合意の行方が揺れる中、イラン大統領支持を鮮明化」
中国外交部(省に相当)の張業遂(チャン・ハンフイ、64歳)副部長(副大臣相当)は5月28日、中ロが主導する「上海協力機構(SCO、注後記)」が6月9~10日に中国東部沿岸の青島(チンタオ)で開催されるが、それにイランのハッサン・ロウハニ大統領(69歳)を招待すると発表した。...
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5月28日付米
『ロイター通信米国版』:「中国、イラン核合意の行方が揺れる中、イラン大統領支持を鮮明化」
中国外交部(省に相当)の張業遂(チャン・ハンフイ、64歳)副部長(副大臣相当)は5月28日、中ロが主導する「上海協力機構(SCO、注後記)」が6月9~10日に中国東部沿岸の青島(チンタオ)で開催されるが、それにイランのハッサン・ロウハニ大統領(69歳)を招待すると発表した。
中国政府は、ドナルド・トランプ大統領(71歳)が離脱を表明して、危うくなりかけているイラン核合意を継続・推進していくため、イランを支援することを強力にアピールすることになる。
同副部長は、中国とイランが協調して、懸案となっているイラン核合意を支持し、かつ、両国間の相互協力・発展を前進させるためだとコメントした。
なお、イランは以前からSCOへの参加意思を表明しているが、中国はこれを支援するとも言及している。
同日付英『エキスプレス』紙:「イラン核合意:中国がイラン大統領を国際会議に招待してイラン支持を強調」
イランはSCO加盟国ではないが、中国招待によりオブザーバーとしてSCOサミットに参加することになる。
イラン最高指導者のアヤトッラー・ハメネイ師(78歳)は、米国離脱を受けて欧州関係国もイラン核合意を反故にするなら、イランは堂々と核再開発に着手すると強調している。
同師はまた、国際協定を簡単に破るような米国とは、もう一切協議しないとも付言した。
なお、エマニュエル・マクロン大統領(40歳)とウラジーミル・プーチン大統領(65歳)が先週会談し、イラン核合意を継続推進していくことで一致している。
同日付ロシア『イタル・タス通信』:「プーチン大統領、中国の青島で開催されるSCOサミットに出席」
中国外交部の張副部長は5月28日の記者会見で、プーチン大統領が、6月に中国で開催されるSCOサミットに参加するとした上で、同大統領にとって今年3月の大統領再選後初めての訪中であると発表した。
同副部長は、プーチン大統領は習近平国家主席(64歳)とともに、同サミットの共同議長として種々の問題討議を主導し、共同声明文の形で発表することになるとも付言した。
なお、同サミットには、2017年6月に正規加盟国となったインド・パキスタン(これで加盟国は8ヵ国)に加えて、オブザーバーとしてアフガニスタン・ベラルーシ・イラン・モンゴルの4ヵ国、また、対話パートナーとしてアゼルバイジャン・アルメニア・カンボジア・ネパール・トルコ・スリランカの6ヵ国代表が参加する予定である。
(注)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。面積と人口では世界最大の地域協力組織である。2001年6月、中国の上海にて設立されたために「上海」の名を冠するが、本部(事務局)は北京。
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