中国、記録的な豪雨で地域経済に打撃か
中国内陸部の河南省では20日、記録的な豪雨により洪水が発生し、少なくとも12人が死亡した。世界最大のiphone生産拠点として知られる省都でもある鄭州市では、約10万人が避難している。
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『スカイニュース』によると、鄭州市では20日、1時間で200mm以上の雨を記録した。地下鉄の駅が浸水したり、車が流されたりした。数日前のヨーロッパの洪水では、最も被害の大きかったドイツで、3日間で降った雨量は182mmだった。
鄭州は、人口が1千万人を超え、中国最大の水路のひとつである黄河のほとりに位置している。市内の一部では停電が発生しているという。56歳のレストラン経営者であるWang Guirongさんは、「ずっと鄭州に住んでいますが、今日のような大雨は初めてです。...
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『スカイニュース』によると、鄭州市では20日、1時間で200mm以上の雨を記録した。地下鉄の駅が浸水したり、車が流されたりした。数日前のヨーロッパの洪水では、最も被害の大きかったドイツで、3日間で降った雨量は182mmだった。
鄭州は、人口が1千万人を超え、中国最大の水路のひとつである黄河のほとりに位置している。市内の一部では停電が発生しているという。56歳のレストラン経営者であるWang Guirongさんは、「ずっと鄭州に住んでいますが、今日のような大雨は初めてです。」と語っている。
米『ボイス・オブ・アメリカ』によると、鄭州では、大雨のために地下鉄が閉鎖され、乗客が立ち往生したという。乗客たちは、腰までの高さの泥水の中で救助を待っている様子をSNSに投稿していた。これまでに約300人が救助されたが、まだ一定の人数が閉じ込められたままになっていると推測されている。
約9400万人の人口を抱える河南省では、先週まで激しい雨が続いていた。今後24時間にわたって雨が続く見込みであることから、同地域の気象台は20日、最も高い脅威レベルである赤色警報を発令した。
河南省当局関係者は、今回の多量の降雨は異常であると指摘している。最近では四川省の洪水で数百人の市民が死亡し、数千人が避難を余儀なくされたという。環境保護団体「グリーンピース・インターナショナル」の関係者は、中国では急速な都市化により、気候災害の頻度が高まると警告している。グリーンピースのリウ・ジュンヤン氏は、中国メディアの取材に応じ、「都市部では人口、インフラ、経済活動が高度に集中しているため、気候災害の影響を受けやすく、脆弱性が高い 」と語った。
英『BBC』と露『ロシアトゥデイ』によると、20日夜、洛陽市とその周辺に住む700万人の人々は、黄河の水をせき止めているダムの1つの決壊危機に直面しているという。中国人民解放軍は20日、ダムに「20メートルの割れ目」があることを確認し、ダム全体が「いつ崩壊してもおかしくない」と発表した。中国軍は、ダムを爆破して洪水を迂回させるために部隊を派遣したことを発表した。鄭州で降った3日間の雨量は、通常の1年分の雨量と同じだと報告されている。
なお、中国の内モンゴル自治区ではすでに2つのダムが決壊し、2万ヘクタール以上の土地が浸水し、数十の橋が流され、約1万6千人の住民が被災し、多くの人が避難を余儀なくされている。
米『ブルームバーグ』によると、河南省は中国最大の小麦生産地のひとつであり、大手機械メーカーでもある。鄭州市には台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が所有する最大のiPhone製造工場もある。今回の洪水は、同社が年末に向けてアップル社の最新機器の発売に向けて生産量を増やす準備をしている矢先に発生した。鄭州にある工場は、iPhoneの組み立てに必要な部品を世界および中国国内のサプライヤーから受け取り、完成品を出荷している。鴻海の担当者は、状況を調査中であると述べている。
河南省はまた、中国国内の食料供給地としては第2位、国内の小麦収穫量の約4分の1を占め、冷凍食品生産の一大拠点でもある。また、石炭や金属の重要な活動拠点でもある。中国ではすでに主要な小麦は収穫されているが、先に発生した大雨の影響で、河南省などの地域では品質が低下しているという。北京のコンサルティング会社Bric Agriculture Groupによると、今年の小麦の輸入量は40%増加し、1990年代半ば以来の高水準になると予想されている。中国は今年、米国、カナダ、オーストラリアからの購入を増やしている。
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NATOとウクライナの黒海合同軍事演習、仮想敵ロシアが警戒する中で終了【米メディア】
ロシア軍は6月下旬、黒海のクリミア半島沖を航行中の英国軍艦に威嚇射撃をしただけでなく、艦船や戦闘機を派遣して“ロシア領海内”から退出するよう実力行使に出た。これに伴い、黒海におけるロシアと西側諸国間の緊張が高まっているが、そうした中、元々米国とウクライナが始めた共同軍事演習に、北大西洋条約機構(NATO、1949年設立)他の計30ヵ国が参加した大規模合同演習「シーブリーズ2021(注後記)」が2週間実施されている。
7月10日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「黒海においてNATOとウクライナの絆を高める合同軍事演習実施」
米国とウクライナ間の防衛協力によって始められた、黒海における合同軍事演習「シーブリーズ2021」が2週間にわたって実施された。
今年の演習には、両国の他、NATO加盟国や非加盟国含めて32ヵ国が参加した。
6月末から始められ7月10日に終了した同軍事演習には、30余りの軍艦、40機の戦闘機等が加わっている。...
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7月10日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「黒海においてNATOとウクライナの絆を高める合同軍事演習実施」
米国とウクライナ間の防衛協力によって始められた、黒海における合同軍事演習「シーブリーズ2021」が2週間にわたって実施された。
今年の演習には、両国の他、NATO加盟国や非加盟国含めて32ヵ国が参加した。
6月末から始められ7月10日に終了した同軍事演習には、30余りの軍艦、40機の戦闘機等が加わっている。
米海軍から参加したミサイル駆逐艦“ロス”(1996年就役)のジョン・D.・ジョン艦長は、今回の合同演習の目的は参加国の軍装備品を駆使して参加国兵員による共同作戦を向上させることだと述べた。
同艦長は更に、“如何なる国も黒海を独り占めすることはできないし、また、全ての国が自由に航行できる国際水域であることを国際社会に訴えるための合同訓練である”と強調した。
この合同演習の直前の6月下旬、クリミア半島沖を航行中の英国海軍の対空戦駆逐艦“ディフェンダー”(2009年就役)が、ロシア軍によって威嚇射撃を浴びせられ、戦艦・戦闘機等によって追尾されるという事態が発生していた。
かかる背景もあって、ロシア国防省は当該合同演習を警戒するとともに、同様のタイミングで黒海において、クリミア半島防衛のためとして、爆撃機や長距離ミサイルを配備しての軍事演習を実施している。
なお、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳、2000~2008年在任後、2012年再度就任)は先週、仮にロシア軍が英国軍艦を撃沈する事態となっても、西側諸国はロシア軍に勝利できるとは思っていないだろうから、国際紛争にまで発展することはあるまい、と豪語している。
同大統領のかかる発言から、もし同様の事態が発生した場合、ロシア側は更に緊張を高めるような実力行使に出る可能性が窺える。
(注)シーブリーズ2021:1993年の米国・ウクライナ間防衛協力覚書に基づいて1997年に開始された黒海における共同軍事演習。今年は6月28日から7月10日の間、米国・ウクライナ及びNATO加盟国のほとんどの国に加えて、日本・オーストラリア・イスラエル・ブラジル・エジプト・韓国等の非加盟国を含めて、合計32ヵ国が参加して実施。
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