4月18日付
『AP通信』:「バイデン氏、米鉄鋼業界保護と日本の買収阻止表明、中国関税引き上げ検討」:
バイデン政権は17日、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとした。通商政策を通して、激戦区であるペンシルバニア州の労働者票を固める狙いがある。中国強硬策を今も提案するトランプ氏と同様の施策となる。
バイデン大統領は、ピッツバーグの米鉄鋼組合の本部で、「1世紀以上の間、米国企業の代表格だったUSスチールは米国の企業であり続けるべき」だと述べた。...
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4月18日付
『AP通信』:「バイデン氏、米鉄鋼業界保護と日本の買収阻止表明、中国関税引き上げ検討」:
バイデン政権は17日、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとした。通商政策を通して、激戦区であるペンシルバニア州の労働者票を固める狙いがある。中国強硬策を今も提案するトランプ氏と同様の施策となる。
バイデン大統領は、ピッツバーグの米鉄鋼組合の本部で、「1世紀以上の間、米国企業の代表格だったUSスチールは米国の企業であり続けるべき」だと述べた。
政権当局は、日本製鉄による買収提案を調査しており、先月、バイデン氏が買収反対の姿勢を表明していた。今回も、同社が「米国内で所有・運営される米鉄鋼会社であり続けることが不可欠」だと強調した。
在米中国大使の報道官は、米国は「一国主義と保護主義により、再三にわたり関税引き上げという間違いを犯している」と批判している。
米当局によると、中国は世界の鉄鋼の約半分を生産し、米国製の半値未満で市場に出回っている。関税引き上げにより、自動車の生産コストや建設資材価格の上昇などによるという経済リスクが懸念される。
4月17日付米『ボイス・オブ・アメリカ』:「再選に向けバイデン氏、中国の鉄鋼関税3倍へ」:
米鉄鋼業界では、低価格の中国産の影響を懸念し、労働組合からの圧力が高まっており、バイデン大統領は、中国製の鉄鋼とアルミニウムの関税を3倍に引き上げる構えだ。
2018年、トランプ前大統領は、貿易拡大法第232条に基づき、鉄鋼輸入製品への25%、アルミ製品への10%の関税措置を発表したが、トランプ氏が設定した関税は現在7.5%に留まっている。
アメリカ鉄鋼協会がまとめた国勢調査局のデータによると、中国は2023年、米国への鉄鋼輸入国第7位で、59,8万トンを米国へ輸出している。
通商拡大法232条は、ダンピングや輸入関税よりも、国家安全保障により関係しており、2020年からはパートナー国からのアルミニウムや鉄鋼などの一定商品が例外措置とされている。アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、日本、EU、メキシコ、韓国、英国の鉄鋼が、全面または一部除外、アルミニウムでは、アルゼンチン、豪州、カナダ、EU、メキシコ、英国が同様に除外となる。
バイデン氏は就任後、ペンシルバニア州の28000人を含む80万人の雇用創出目標を掲げている。現在では工業が衰退し失業率の高い、かつての製造業、鉄鋼業、石炭産業の中心部をさす「ラストベルト」が益々、選挙の重要な争点となってきている。
今月初頭、岸田首相が訪米した際、バイデン氏はUSスチールの買収提案への反対を再度繰り返し表明した。3月、この表明を受け、米鉄鋼組合がバイデン氏への支持を発表している。
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英国政府はこの程、プロフットボール・チームを傘下に収めていたアラブ首長国連邦(UAE)出資の投資会社による英国老舗新聞社の買収計画を阻止する法案を制定しようとしている。
3月13日付
『AP通信』、
『ロイター通信』、
『AFP通信』、14日付
『ザ・タイムズ』、
『ボイス・オブ・アメリカ』は、英国政府がUAE傘下の投資会社による英国保守系老舗新聞社の買収を阻止するための法案を準備中である旨一斉に報じた。
UAE副首相のシェイク・マンスール・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏(53歳、2023年就任、アブダビ首長国王室の一員)は2008年、英国プレミアリーグ所属のマンチェスターシティー・プロフットボール・クラブ(1880年創設)を買収した。
これは、ロシア大富豪ロマン・アブラモビッチ氏(57歳)が2003年にチェルシー・フットボール・クラブ(1905年創設)を買収して以来の出来事であった(2022年ウクライナ軍侵攻を伴い、同氏は同年に止む無く米投資会社へ売却)。
そのシェイク・マンスール氏が率いるUAE・アブダビ首長国在のレッドバードIMIが、英国老舗新聞社『ザ・デイリィ・テレグラフ』紙(1855年創刊)を買収する動きに出た。
しかし、同紙が現保守党政権と密接な関係にあることもあって、プロフットボール・クラブ買収には何ら口を挟まなかったが、メディアの独立性や政治的な影響力を持つ資産が外資の傘下に入ること等を懸念するとして、この程、同買収を阻止するための法案制定に動き出した。
貴族院(上院に相当)のスティーブン・パーキンソン議員(40歳、2022年文化・芸術担当政務次官就任)は、“我が政府は、メディア買収の制度を修正し、新聞やその他定期刊行雑誌が外国資本によって所有されたり、影響下に置かれたりする道を排除することを明白にしていく”とコメントした。
同議員によると、今回の法改正によって、問題ありと懸念される如何なるメディア買収案件に関して、全て競争・市場庁(CMA、公正取引委員会に相当、1973年前身設立、2013年現組織設立)に調査が委ねられることになるとする。
そして、もしCMAが問題ありとの結論を出した際には、政府は当該買収案件を阻止するか、撤回させる命令を下さなければならないと規定されるという。
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