独メルケル首相;昨年のトランプ氏の招待は断るも今年はバイデン氏との首脳会談のための訪米決定【米メディア】
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(66歳、2005年11月就任)は、今秋での政界引退を表明している。しかし、依然欧州内でのリーダーシップは強く、ドナルド・トランプ前大統領(74歳)が米国第一主義を掲げて、イラン核合意やパリ協定から勝手に離脱したことで米・ドイツ関係は非常にギクシャクしていた。そうした中、同首相は、欧州との関係修復を標榜しているジョー・バイデン現大統領(78歳)をとても評価している模様で、昨年のトランプ氏の招待は断っていたものの、今年のバイデン政権の招待には応じて、7月中旬に訪米して首脳会談を行うことを決断している。
6月11日付
『UPI通信』 (1907年前身設立):「メルケル首相、7月にバイデン大統領の招待に応えて訪米」
ホワイトハウスの発表によると、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が7月中旬、ジョー・バイデン大統領の招待に応じて訪米することになったという。
同首相は昨年、ドナルド・トランプ大統領(当時)が議長国として米国で開催される予定であった主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)について、トランプ氏が勝手にロシア等を加えたG-7拡大を主張していること等を理由として、訪米を見送っている(編注;新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題も然ることながら、G-7加盟国の足並みが揃わず、結局開催中止)。...
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6月11日付
『UPI通信』 (1907年前身設立):「メルケル首相、7月にバイデン大統領の招待に応えて訪米」
ホワイトハウスの発表によると、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が7月中旬、ジョー・バイデン大統領の招待に応じて訪米することになったという。
同首相は昨年、ドナルド・トランプ大統領(当時)が議長国として米国で開催される予定であった主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)について、トランプ氏が勝手にロシア等を加えたG-7拡大を主張していること等を理由として、訪米を見送っている(編注;新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題も然ることながら、G-7加盟国の足並みが揃わず、結局開催中止)。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官(42歳)の声明文によると、“今回のドイツ首脳訪米によって、両国間の親密な協力関係が更に深化する”とする。
その上で、“両首脳は、COVID-19パンデミック収束、気候変動の脅威等に対する両国の協力体制について協議し、民主主義の価値観共有の下で世界経済回復や国際平和の達成に向けて協力していく”という。
米国・ドイツ両国は、中国及びロシアの国際社会での影響力拡大に明確に反対している。
ただ、両首脳は7月の会談で、ロシア・ドイツ・フランス等の国際エネルギー企業が進めているノルド・ストリーム2プロジェクト(注後記)の問題についても協議するとみられる。
同プロジェクトについては、トランプ前政権が、ロシアによる対欧州影響力が高まることを懸念する一方、欧州向けへの米国産のシェールガス供給を目論んで、同プロジェクトに関わる国際企業に対して米国が制裁を科すとしていた。
バイデン新政権は当該制裁の取り下げを決定しているものの、同プロジェクトに伴う欧州情勢への影響を懸念している姿勢に変化はないとみられている。
なお、両首脳は6月11日、英国で開催中のG-7サミットの機会を捉えて、両国首脳会談を開く予定である。
6月12日付『ボイス・オブ・アメリカ』 (『ロイター通信』 配信):「メルケル首相、7月15日にホワイトハウス訪問の上バイデン大統領と会談」
バイデン大統領はこの程、メルケル首相を招いて7月15日にホワイトハウスで首脳会談を開催することになった。
この公式表明は、英国で開催されるG-7サミットの初日の6月11日にリリースされた。
欧州を代表するドイツと米国との関係は、ドイツがロシア企業と共に進めていたノルド・ストリーム2プロジェクトにトランプ政権が強い抵抗姿勢を示したことから、非常にギクシャクしていた。
そこでバイデン政権は先月、前政権が実施していた同プロジェクト関係企業への制裁措置を解除し、関係修復の態度を示している。
一方、米国と欧州連合(EU)間では、17年間も続く欧州エアバス(1970年設立の仏・独・英・西航空機メーカーの共同事業体)、米ボーイング(1916年設立)それぞれに対する補助金問題(注2後記)について、7月10日を期限として交渉妥結に向けて協議が続けられている。
当該期限を過ぎると、米国及びEUがそれぞれ決定している相手側への報復関税の賦課を一時的に中断する措置が無効になってしまうため、双方の高官は、期限までの合意に大いに期待している。
従って、メルケル首相の訪米は、上記問題の目処がついた後であること、また、同首相は今年9月の総選挙後の政界引退を表明していることから、同首相にとってのお別れ会談になるものと予想されている。
(注1)ノルド・ストリーム2プロジェクト:2005年にドイツ・ロシア両国が合意し、2011年に稼働開始した“ノルド・ストリーム天然ガス・パイプライン事業”(ロシア~バルト海~ドイツをつなぐパイプライン。事業主体は、ロシア国営企業ガスプロム及びドイツ・フランス企業)を増強するプロジェクト。総工費約110億ドル(約1兆2,100億円)。当初、2019年完工予定で2017年に関係者間で合意されたが、欧州内でのロシアのエネルギー戦略への不信感や、ロシアの対欧州影響力拡大を懸念する米国の反対等から工事中断。目下は、2022年完工に向けて工事が再開されている。
(注2後記)補助金問題:2004年、欧州航空機メーカー大手のエアバスへの欧州諸国による補助金支給を不当として、米国が世界貿易機関(WTO、1995年設立)に提訴。これに対してEU側も同年、米国によるボーイングへの補助金が問題だとしてWTOに提訴。WTOは2018年、米国の訴えを認め、また、2019年にはEUの訴えも認め、それぞれ国際協定違反と認定。これを受けて、トランプ政権が2019年、75億ドル(約8,250億円)相当の欧州産品に関税賦課を決定。一方、EUも2020年、40億ドル(約4,400億円)相当の米産品に対して報復関税を賦課。
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中国;年末までに全国民の80%へのワクチン接種達成で2022年冬季オリンピック開催準備万端【米メディア】
6月3日付GLOBALi「
日本;後れを取ったワクチン手当てが進み、新たなワクチン外交に注力 」の中で、日本主導で開催されたワクチン・サミットにおいて、日本が途上国向けのワクチン確保を目的とするCOVAX(注1後記)への追加資金拠出標榜等で、ワクチン外交に注力していると報じた。しかしながら、それでも国内における新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題への不安は収まらず、7週間後に迫った東京オリンピック開催への反対意見が大勢を占めている。そうした中、2022年北京冬季オリンピックを控える中国は、年末までに14億人の実に80%の国民へのワクチン接種を完了させると発表して、冬季大会開催不安を一掃しようとしている。
6月3日付
『ボイス・オブ・アメリカ』 :「中国、年末までに14億人の80%にワクチン接種を完了させると宣言」
中国政府はこの程、年末までに14億人の実に80%の国民へのワクチン接種を達成すると発表した。
『AP通信』 報道によると、6月2日現在、中国におけるワクチン接種者は7億400万人であるが、一日当たり1,900万回分のワクチン供給を続けているという。
米国におけるピークは4月であったが、それでも一日当たり340万回分であった。...
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6月3日付
『ボイス・オブ・アメリカ』 :「中国、年末までに14億人の80%にワクチン接種を完了させると宣言」
中国政府はこの程、年末までに14億人の実に80%の国民へのワクチン接種を達成すると発表した。
『AP通信』 報道によると、6月2日現在、中国におけるワクチン接種者は7億400万人であるが、一日当たり1,900万回分のワクチン供給を続けているという。
米国におけるピークは4月であったが、それでも一日当たり340万回分であった。
中国は、公式データを公表していないため定かではないが、北京市民の87%が既に1度目のワクチン接種を済ませているといい、ただ、これは中国平均値を大きく上回る数値である。
一方、西側諸国では、6月2日に日本主導で開催されたワクチン・サミットにおいて、COVAX宛に約24億ドル(約2,640億円)の資金拠出が決定され、そのうち日本が最大となる8億ドル(約880億円)の追加拠出を新たに表明している。
また、カマラ・ハリス副大統領(56歳)もかねて表明したとおり、2021~2022年合計で40億ドル(約4,400億円)の拠出につき再確認している。
その他、カナダ、フランス、スペイン、スウェーデン等も拠出を表明しており、この結果、COVAX資金は96億ドル(約1兆560億円)に上ることになっている。
COVAXは、途上国向けのワクチン確保を目的として立ち上げられたグローバル組織で、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI、注2後記)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(2000年創設の世界最大の慈善基金団体)が立ち上げたGAVIアライアンス(GAVI、注3後記)等が主導して運営している。
ただ、これまでにCOVAXが配布できたワクチンは、当初の目標である年内に20億回分に対して、127ヵ国宛、僅か7,700万回分に留まっていた。
一方、2022年北京冬季オリンピック開催を控える中国の対応に比し、1ヵ月半後に東京オリンピック開会式を迎える日本では、COVID-19変異株の蔓延に対してワクチン接種の遅れ等もあって、依然逆風にさらされている。
5月31日にリリースされた『日経新聞』 の世論調査の結果、回答者の60%以上が大会の再延期、もしくは中止を要求していて、予定どおりの開催を望むのは僅か34%に留まっている。
また、COVID-19感染症対策分科会の尾見茂会長(71歳、医学者・厚生官僚)が6月2日、衆議院厚生労働委員会の席上、現下の感染症蔓延状況下で東京大会を開催することは無理があるとし、もし開催する場合には、東京大会組織委員会の責任で規模縮小等を考える必要があると発言した。
これに加えて今週、東京大会に関わるボランティア(注4後記)のうち約1万人が辞退したとの報道がなされている。
しかし、同組織委員会の武藤敏郎事務総長(77歳、元大蔵・財務事務次官、元日銀副総裁)は同日、既に海外からの観戦者受け入れを中止しているので、1万人のボランティア辞退で大会運営に悪影響を及ぼすことはないと断言した。
更に、同組織委員会の橋本聖子会長(56歳、衆議院議員、元スピードスケート・自転車競技選手)も6月3日、大会の再延期はあり得ない、としてあくまで予定どおりの開催を支持している。
(注1)COVAX:COVID-19ワクチンへの公平なアクセスを目的としたグローバルな取り組みで、CEPI、GAVI、世界保健機関(WHO、1948年設立)などが主導。
(注2)CEPI:世界連携でワクチン開発を促進するため、2017年1月世界経済フォーラム・ダボス会議において発足した官民連携パートナーシップ。 日本、ノルウェー、ドイツ、英国、オーストラリア、カナダ、ベルギーに加え、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラスト(1936年設立、英国本拠の医学研究支援等を目的とする公益信託団体)が拠出。平時には需要の少ない、エボラ出血熱のような世界規模の流行を生じる恐れのある感染症に対するワクチンの開発を促進し、流行が生じる可能性が高い低中所得国においてもアクセスが可能となる価格でのワクチン供給を目的としている。
(注3)GAVI:子供の予防接種プログラムの拡大を通じて、世界の子供の命を救い、人々の健康を守ることをミッションとした同盟で、民間セクター、公共セクターが共に参加する革新的なメカニズム。世界経済フォーラムの2000年総会で設立。ワクチンと予防接種のための世界同盟(Global Alliance for Vaccines and Immunization)より改称。
(注4)東京大会ボランティア:大会組織委員会が募集した大会ボランティアが約8万人、これに加えて、各自治体が募集した都市ボランティアが約3万人に上る。
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