パキスタンがインドとの外交関係格下げ、カシミールの自治権剥奪で(2019/08/08)
パキスタン政府は7日、インドがパキスタンと領有権を争うカシミール地方の支配を強化していることを受けて、インドとの外交関係を格下げし、同国の駐パキスタン大使を国外に追放するとともに、二国間貿易を停止するなどの方針を明らかにした。
『ロイター通信』や
『AFP通信』、米
『CNN』など多くのメディアが報じた。カシミール地方は、インドとパキスタンの1947年の独立以降、両国と中国がそれぞれ部分的に実効支配し、分断されてきた。インド・パキスタン両国間では、カシミール地方の領有権をめぐる2度の戦争が行われており、インド・中国間の紛争も起きている。
インド政府は5日、実効支配する北部ジャム・カシミール州に70年にわたり認めてきた特別自治権を大統領令によって剥奪した。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』、米
『CNN』など多くのメディアが報じた。カシミール地方は、インドとパキスタンの1947年の独立以降、両国と中国がそれぞれ部分的に実効支配し、分断されてきた。インド・パキスタン両国間では、カシミール地方の領有権をめぐる2度の戦争が行われており、インド・中国間の紛争も起きている。
インド政府は5日、実効支配する北部ジャム・カシミール州に70年にわたり認めてきた特別自治権を大統領令によって剥奪した。同州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派を占める州であり、独自の法律の制定や、土地の購入や政府機関での就業を地元住民に限定するなど、特別な自治権が認められてきた。
インド政府は今回、同州にこうした特別な地位と権力を認めてきた憲法370条を廃止し、直轄領とした。ヒンドゥー至上主義を掲げるインドのモディ政権はかねてから、特別自治権がカシミール地方の開発を妨げているとして370条を廃止し、同地方を国内の他の地域と完全に統合したいと考えてきた。
カシミール地方の領有権を同様に主張しているパキスタンと中国は、これに強く反発している。インド政府は、国内問題であるとしているが、パキスタン政府は、民族浄化の恐れもあると非難するとともに、国際社会に介入を求め、この問題を国連の安全保障理事会に持ち込むこととしており、カシミールをめぐる対立は激化している。
パキスタンのカーン首相は7日、国家安全保障委員会を開催し、対抗措置を打ち出した。同委員会では、インドとの外交関係の格下げ、二国間貿易の停止、二国間協定の見直し、国連・安全保障理事会での本問題の取り扱いなどが決定された。インドの駐パキスタン大使は本国に送還し、パキスタンが新たに任命した駐インド大使も着任を控えるという。
カーン首相は、「全ての外交チャネルを駆使し、インドの野蛮な人種差別主義の体制や人権侵害などを白日の下にさらす。」と声明で述べた。また、自国の軍隊に対し、警戒を続けるよう命じた。
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インド、議会がイスラム教の「即時離婚」を禁止する法案を可決(2019/07/31)
インド議会は30日、イスラム教の「即時離婚」の慣習を禁止する法案を可決した。これにより同慣習は違法となり、最高で禁錮3年の刑が科される。イスラム教徒の女性を守ると評価されているが、罰則が厳しく乱用の恐れがあるとの懸念の声も寄せられている。
『AFP通信』『AP通信』英
『BBC』などが報じた同法案は、先週下院を通過していた。ナレンドラ・モディ首相率いるヒンドゥー至上主義のインド人民党政権は、複数野党からの激しい抵抗や、過去に上院で否決されていたにも関わらず、同法案を押し通した。今回上院も通過したことで、数日中に大統領の正式承認を経て、新法として施行される。
即時離婚は「トリプルタラーク」とも呼ばれ、イスラム教徒の男性が、アラビア語で「あなたは離婚された」を意味する「タラーク」と3度連続で唱えるだけで、結婚関係を解消できるものだ。...
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『AFP通信』『AP通信』英
『BBC』などが報じた同法案は、先週下院を通過していた。ナレンドラ・モディ首相率いるヒンドゥー至上主義のインド人民党政権は、複数野党からの激しい抵抗や、過去に上院で否決されていたにも関わらず、同法案を押し通した。今回上院も通過したことで、数日中に大統領の正式承認を経て、新法として施行される。
即時離婚は「トリプルタラーク」とも呼ばれ、イスラム教徒の男性が、アラビア語で「あなたは離婚された」を意味する「タラーク」と3度連続で唱えるだけで、結婚関係を解消できるものだ。インドには1億8000万人のイスラム教徒がおり、ヒンドゥー教以外では最大宗教だが、同教徒の女性は、手紙やワッツアップのようなメッセージアプリにより夫から離婚を告げられ、何らの法的救済も得られないと主張していた。
本法案では、即時離婚を禁止して禁錮刑や罰金刑を科すことに加え、イスラム教徒の男性に妻を金銭的に支援するよう義務付けることや、妻に子どもの親権が与えられることなどが定められた。インド以外のイスラム教国では、既に即時離婚を禁止している国が多い。
モディ首相は、法案が上院を通過したことを受けてツイッターに、「古めかしい大昔の慣習が、ようやく歴史のゴミ箱に閉じ込められた。議会はトリプルタラークを廃止し、イスラム教徒の女性に対する歴史上の過ちを正す。これは男女平等にとっての勝利であり、社会の平等を促進することになる。インドは今日喜んでいる。」と投稿した。
インド最高裁は2017年、同慣習を違憲として、政府にこれを禁止する法案の策定を命じた。モディ首相は、1期目の任期中に法案を通過させようとしたが、与党・人民党は下院で多数派を構成していたものの、上院では法案通過に必要な勢力に達していなかった。人民党は5月の総選挙で圧勝した結果、今回上院でも同法案を通過させることができた。
インドには、婚姻や財産などに関する統一された民法が存在しない。同国憲法では、各宗教独自の法規則により、そうした分野について律することが可能となっている。モディ首相の人民党は、長い間統一民法の制定を目指しているが、同国の少数派宗教の信者らは、憲法上認められた宗教の自由を侵害するとして反対している。
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