中国人不法移民が急増;米共和党はバイデン政権が中国人スパイの侵入を許していると猛批判【米メディア】
トランプ政権が、米・メキシコ国境に壁を造って不法移民の侵入を防ぐとの強硬姿勢を貫いたのに対して、バイデン政権は、人道支援に重きを置いて不法移民の取り締まりの厳格化を避けた。しかし、このことが災いしてか、不法移民の侵入者数が飛躍的に増えているが、共和党議員らは、中国人不法移民までも急増していることから、亡命希望者を装った中国政府内通者の侵入まで許してしまっていると猛批判している。
8月31日付
『ニューヨーク・ポスト』紙は、共和党議員らが、バイデン政権による緩い国境警備体制によって、亡命希望者を装った中国政府の内通者の不法侵入まで許してしまっていると非難していると報じた。
米税関・国境警備局(CBP、2003年再編)発表のデータによると、バイデン政権下の2022年10月初~2023年8月末の間の中国人不法移民は3万9,575人に急増していて、トランプ政権下の1年度の実数より+115%増となっている。...
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8月31日付
『ニューヨーク・ポスト』紙は、共和党議員らが、バイデン政権による緩い国境警備体制によって、亡命希望者を装った中国政府の内通者の不法侵入まで許してしまっていると非難していると報じた。
米税関・国境警備局(CBP、2003年再編)発表のデータによると、バイデン政権下の2022年10月初~2023年8月末の間の中国人不法移民は3万9,575人に急増していて、トランプ政権下の1年度の実数より+115%増となっている。
すなわち、2019年10月初~2020年9月末が1万8,395人だったのに、2020年10月初~2021年9月末は2万3,471人となり、2021年10月初~2022年9月末では2万7,756人と増加の一途をたどっている。
急増の原因としてまず報告されているのが、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)主導による「ゼロコロナ政策」及び「都市封鎖措置」の下で失業したり事業継続不能に追い込まれた人たちが、新天地を求めて米国に入国しようとしてきている。
中には、宗教上の迫害を受けたり、その他当局から不当な扱いをされた人たちもいるという。
しかし、中国人不法移民の急増という事態を大きく問題視して、共和党議員らがバイデン政権の対中国弱腰政策だとして非難している。
まず、ロジャー・マーシャル上院議員(63歳、カンザス州選出共和党員、2021年初当選)は8月31日、『ニューヨーク・ポスト』のインタビューに答えて、“国境検問を緩和したら、誰が入ってくるか分からないので、したたかな中国は当然怪しい人物を侵入させているはずだ”とした上で、“民主党政権の国境開放政策が、米国の安全保障を危険に曝している”と糾弾した。
次に、デブラ・フィッシャー上院議員(72歳、ネブラスカ州選出共和党員、2013年初当選)は、“私自身国境に赴いて、不法移民の状況をみてきたが、どのような人物が侵入してきたのか不詳の状態となっている”とし、“米国と敵対する国は国境開放政策を歓迎しているはずで、中国などは真っ先に内通者を侵入させて、中から米国の主権を脅かそうとしている”と『ニューヨーク・ポスト』の取材に答えた。
また、ジョディ・アリントン下院議員(51歳、テキサス州選出共和党員、2017年初当選)は、“バイデン政権の国境開放政策によって、中国政府の内通者等を容易に米国に招き入れる結果となっており、米国市民を危険に曝すことになっている”とし、“連邦政府ができない以上、国境を抱えるテキサス州政府等が厳格な国境検問施策を実施すべきだ”と訴えている。
今年1月末には、中国の偵察用気球が北米を横断しようとして、最終的に米空軍によって撃ち落とされる事件が起こっている。
更に、6月にはホワイトハウスが、少なくとも2019年から、中国が密かにキューバに設けた監視基地を利用して、米本土の諜報活動を行っていたことが分かったと明かしている。
かかる事態もあって、マーシャ・ブラックバーン上院議員(71歳、テネシー州選出共和党員、2018年初当選)は、“バイデン政権の国境開放政策の下では、敵国のテロリストやスパイが何人侵入してきているのか皆目検討が付かない”とした上で、“習国家主席にとって、米国に何人もの内通者を送り込むのは容易だと考えているはずだ”と強調した。
そして、米上院軍事委員会の有力幹部であるロジャー・ウィッカー議員(72歳、ミシシッピー州選出共和党員、2007年初当選)は『ニューヨーク・ポスト』紙のインタビューに答えて、“弾圧から逃れたり、米国でのより良い生活を求めたりと、移民の意図は様々かも知れないが、とにもかくにも、中国人不法移民が飛躍的に増えていることは看過できない問題である”とした上で、“バイデン政権は、危険かつ無責任な国境開放政策を直ちに止めて、中国の脅威に対抗するために国境警備を厳格化するべきである”と強く非難している。
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ロシア、反戦を叫ぶ市民ばかりかロシア正教会司祭もプーチン政権から迫害【米・英国・ロシアメディア】
プーチン政権は、ウクライナ戦争の長期化はもとより西側諸国からの圧力に辟易しているとみられる。何故なら、国内から反政権運動の派生の芽を摘み取るべく、野党勢力や反戦活動家らを益々厳しく取り締まるばかりか、即時停戦を表明するロシア正教会(注後記)司祭らに対しても強硬な政治圧力をかけているからである。
8月12日付
『ニューヨーク・ポスト』紙、
『AP通信』、英国
『ジ・インデイペンデント』紙、ロシア
『ロシア・ヘラルド』紙等は、ウクライナ戦争即時停戦を表明しているロシア正教会司祭らが、正教会のみならずプーチン政権からも厳しい迫害を受けていると報じている。
ロシア正教会の司祭らが2022年3月初め、前月下旬に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻の即時停止と和解を求める公開書簡を発表した。
同書簡には、約4万人いる聖職者のうち、長司祭や司祭、輔祭ら286人が署名している。
しかし、それから1年5ヵ月経過した現在でも、ウクライナ戦争は収まる気配がみえない。
そうした中、依然ロシア正教会の少なくとも30人の司祭が即時停戦を求める声を上げ続けている。
ただ、人権団体「反戦キリスト教徒の会」まとめ役のナターリア・バジレビッチ氏(ベラルーシ正教会所属)によると、この司祭らに対して、ロシア正教会のみならずプーチン政権から強硬な圧力がかけられているという。
何人かの司祭は、更なる報復を恐れて口を閉ざさざるを得なくなっているとする。
例えば、ロアン・コーバル司祭は、昨年9月にロシア正教会のキリル1世首座主教(76歳、2009年着座)から、“正教会の全ての聖職者は「勝利」を祈る”ようにとの命令が出された後も、ウクライナに平和をと祈ったことから、降格させられてしまったという。
同司祭は、“戦争の惨さを目の当たりにしているのに、聖職階級制度下の上意下達に唯々諾々と従うことはできない”と吐露している。
リトアニアのビリニュス大(16世紀設立)言語学専攻で長らくロシア正教会を研究してきたアンドリュー・デスニツキ―教授は、“ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)が戦争批判する活動家らを新たな立法化によって厳しく取り締まっていることを真似て、キリル1世も同様の締め付けを行っている”とし、“彼は、忠誠を尽くせない者には教会での居場所はないとして脅しをかけている”とコメントした。
一方、ロシア正教会のバフタン・キプシゼ副報道官は、“戦争反対と叫ぶ聖職者は政治活動に加担し、教会での聖職活動を停止したと見做されるので、教会法に基づいて罰が下されることになる”と表明している。
なお、バジレビッチ氏によると、戦争支持を表明した聖職者は、教会のみならず政権からも評価されているという。
(注)ロシア正教会:ギリシャ正教もしくは東方正教会とも呼ばれる、キリスト教の教会(教派)の一つで、1488年独立教会の宣言、1589年正式に承認されている。信徒数は約9千万人。正教会は原則的に、1ヵ国にひとつの教会組織をそなえていて、ロシア正教会以外にウクライナ正教会(2018年宣言、2019年承認)、ギリシャ正教会、ジョージア正教会、ルーマニア正教会、ブルガリア正教会、日本正教会などがある。これら各国ごとの正教会が異なる教義を信奉している訳でわけではなく、同じ信仰を有している。
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