既報どおり、米国他数ヵ国が、新疆ウィグル自治区のウィグル族に対する人権弾圧問題等を理由にして、来年2月初め開催の北京オリンピックへの“外交ボイコット”を実施すると表明している。これに対して、中国共産党政府はいつもどおり、戯言だとか虚偽ニュースだとして全面否定している。しかしこの程、米メディアが実際に人権蹂躙の被害を受けた生き証人の証言について詳細報道している。
12月18日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「ウィグル族女性、強制収容所で受けた強姦や強制不妊措置の被害について証言」
米上院議会は12月16日、2日前に下院で採択されていた「ウィグル族強制労働防止法案」を全会一致で可決した。
これによって、新疆ウィグル自治区において強制労働によって生産された原材料・製品の輸入が禁止される。
あとは、ジョー・バイデン大統領(79歳)署名による発効を待つばかりであるが、本法案が議会で採択されるに至ったのは、中国共産党政府が全否定している同自治区における強制労働等の人権侵害行為について、複数の生き証人が証言しているからである。
『ニューヨーク・ポスト』も直接インタビューしたが、次の証言を得ている。
●タースネイ・ジャウドゥン(女性、43歳):2020年、政治難民として米国に移住。
・2017年4月、新疆ウィグル自治区の通りで逮捕され、刑務所に留置。そこで、愛国心を表す共産党賛歌を強制的に歌わされ、また、イスラム教など存在しないと何度も言わされた。
・1ヵ月後、胃腸に支障を来し気絶してしまい、入院を余儀なくされたことから退院後に釈放された。ただ、今になって思うと、“あのとき、入院していなければ、落命していたかも知れない”と証言。
・しかし、2018年3月、再び逮捕され、教育が必要だと言われて、“再教育キャンプ”に強制収容。その際、短髪にさせられ(恐らく、切られた髪はかつら用に売られた可能性あり)、イアリングを無理やりむしり取られる等、“動物のような扱いを受けた”とも証言。
・また、“輪姦され、陰部に無理やり刺青を入れられたときは打ちのめされて泣き叫んだ”とし、“このような恥辱を受けて胸が張り裂けそうだった”とも吐露。
・更に、“強制不妊措置をされた”とし、“今考えると、現在子供が持てないのはこの時のことが原因だ”とも言及。
●ガルジラ・オールカン(女性、41歳):2021年初め、政治難民として米国に移住。
・2017年9月、“不適切な思想”を理由に逮捕されて、工場でただ同然の労賃で強制労働。
・『ニューヨーク・ポスト』のインタビューに答えて、“監視カメラや見回り警官に常時監視され、1日14時間立ったまま革製手袋の縫製作業に従事させられた”とし、“働きたくなければ、収容所に入れる、と脅され同作業を継続した”と証言。
・更に、“収容所に入れられると、拷問や強姦等されると聞いていたため、労働に従事する他なかった”とし、結果、2019年1月までの16ヵ月間も家族から引き離された、とも言及。
●クザット・アルテイ(男性、40代、ウィグル族企業家):2008年、難民として米国移住。
・2015年にサイバーテックを立ち上げ、23ヵ国の5千人以上にIT技術の教育実施。2018年にウィグル族企業家ネットワークを組織、また、2019年に米国ウィグル人協会(1998年設立のNPO法人)代表に就任して、ウィグル族擁護の人権活動に専念。
・『ニューヨーク・ポスト』のインタビューに答えて、“中国は何百もの収容所を構え、そこで拘束したウィグル族にただ同然で労働を強制している”と詳述。
・“何百もの工場で、靴、衣服、太陽光パネル等々を安価な費用で生産させ、世界市場に価格競争力で以て殴り込み、市場シェアを拡大してきている”と言及。
・“その結果、シリコンバレー(IT産業)、ハリウッド(映画産業)、果てはウォール街(金融市場)に至るまで、中国資本が席捲しているが、それらは全て奴隷制的労働によって生み出された利益に依っている”と糾弾。
・アルテイ氏の父親(67歳)は2年間も強制収容所に入れられてしまっていたが、“その2年間、父の生死が全く不明で、毎日泣き暮れていたが、これは一種の精神的拷問だ”と強調。
・父親は幸い、臓器を摘出されることはなかったが、“他の多くのウィグル族は中国当局によって、臓器を摘出されて中東などに売り渡されている”とし、“何故なら、アルコール・豚を摂取しないウィグル族の腎臓はきれいなため、中東の金持ちに重宝されたからだ”と証言。
以上のような悲惨な話は特異なことではなく、2016年頃から多くのウィグル族が逮捕され、“再教育キャンプ”に強制収容されている。
そこでは、拷問、強姦が日常茶飯事で、殺された人も多いと言われる。
しかし、中国共産党政府が言うには、同キャンプでウィグル族に対して商売等を教えながら、愛国心を目覚めさせているという。
なお、米議会が制定した「ウィグル族強制労働防止法案」について、ジャーナリストのアメリア・パン氏(「中国製:囚人、SOSレター等から読み解く、米国で売買される商品が安価な理由」の著者)は、“同法案によって、中国政府の野望を阻止する大きな力となる”とした。
“何故なら、彼らは中央アジア、欧州、中近東で展開する「一帯一路経済圏構想(BRI)」実現のため、新疆ウィグル自治区経由の商取引の拡大が重要と捉えており、この問題が大きく取り上げられることでBRI展開が毀損されることを大いに懸念しているからだ”とする。
但し、同法案の実効性を上げるためには、“世界企業の幹部らの協力、支持が必須”だとする。
オーストラリア国防省傘下のシンクタンク・豪州戦略研究所(2001年設立)の調査によると、ナイキ(1964年オレゴン州で設立のスポーツ関連商品を扱う多国籍企業)、BMW(1912年ドイツ・バイエルン州で設立の高級車メーカー)、アップル(1976年カリフォルニア州で設立のIT多国籍企業)等の大手国際企業が、新疆ウィグル自治区の強制労働によって生産された部品や商品を、直接あるいは間接的に使用しているという。
従って、パン氏は『ニューヨーク・ポスト』のインタビューに答えて、“大手企業幹部には、自社が仕入れている部品や商品が、正規の労賃に見合う工程で生産されているのかどうか、奴隷制のような強制労働によって生産されたものではないのか等、しっかり見極めて欲しい”と訴えた。
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米
『ニューヨーク・ポスト』と英
『デイリーメイル』によると、バイデン政権による米軍の突然のアフガニスタン撤退のために、アフガニスタン国内に置き去りにされていた39人のアメリカ市民と永住権保持者が、今月17日に無事国外退避しアメリカに到着したという。
元軍人や軍人予備軍が率いる民間のボランティア団体であるプロジェクト・ダイナモは、タリバンが支配する地域から、12人以上の子供や乳児を含むアメリカの人々を救出したと発表した。
同団体のスポークスマンであるジェームズ・ジャッジ氏は、「これは、8月に米国政府がアフガニスタンの国を放棄して以来、アフガニスタン国内からアメリカの軍人による初めての本格的な空輸による救助活動だ」と声明で述べた。「困難な状況にもかかわらず、私たちがこのような活動を行うのは、だれか人が困っているときに行うべき正しいことだからであり、同胞のアメリカ人を決して取り残してはならないからだ。」と述べている。
プロジェクト・ダイナモのメンバーであるブライアン・シュターンとアブドゥル・ワシットの2名が、先週初めに、ある近隣国からアフガニスタンに飛行機を使って入国し、少数のボランティアチームの助けを借りて、避難民をカブール近くの隠れ家まで連れてきたという。避難先では、食糧と水が配給されただけでなく、PCR検査とともに、新型コロナワクチンやその他の必要な予防接種を提供したという。その後、避難者たちは車に乗せられ、カブール国際空港に案内され、現地時間午後4時頃にベリー・アビエーションが提供した2機の飛行機に乗り込んだ。
避難者は全員、米国務省の事前調査で受け入れ許可を得ているが、18日の朝にニューヨークのケネディ国際空港に到着した後、税関を通過する必要があるという。シュターン氏は、8月末の大混乱を招いた米軍撤退の後、タリバンがこの国を支配して以来、難民キャンプを使用せずに行われた初の避難である、と語った。「米国人または永住権保持者が、米国内の自分の家族、家、コミュニティに戻ろうとしているのに、難民キャンプに滞在することを強制されてはならない」と声明で述べた。また、外国人避難民8人を乗せた3機目が19日朝に到着した。
同団体は、8月31日以降、479人の市民と450人の合法的永住権保持者の脱出を支援したとし、現在は、米国への帰国を希望し、必要な書類を持っている「10人未満の米国市民と連絡を取っている」ことを明らかにした。
8月の米軍撤退後、タリバンはわずか11日で再び支配権を取り戻した。それ以来、現地は混乱に陥り、アフガニスタンの人々は、食糧を購入できずに飢えと戦っており、一部の人々は残りの家族を養うために、わが子を売ることを余儀なくされているという。
最近では、女子バレーボール代表選手が、同国の女性アスリートが直面している危機について発言した後、タリバンに首をはねられたという。10月には、タリバンが再び公開処刑を行っていることを示す写真も公開された。アフガニスタンはイスラム過激派グループの数十年前の残忍な統治が再び戻ってた。
米『フォックスニュース』によると、バイデン政権は12月13日、当初発表されていた100人から200人という人数よりも、さらに数百人多くの米国人がアフガニスタンに置き去りにされていることを認めた。
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