中国、高齢化で定年段階的引き上げへ(2024/07/24)
中国共産党は、中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)」の決定事項で、少子高齢化対策として、今後5年のうちに法定定年年齢を段階的に引き上げる方針を示している。
7月23日付英
『BBC』:「中国、人口高齢化にともない退職年齢引き上げへ」:
中国は、高齢化や年金対策として、今後5年で段階的に法律で定められた退職年齢を延長する。
中国人の寿命は、1949年の共産革命から僅か36年で米国を超え78歳となったが、定年年齢はホワイトカラーの男性で60歳、女性が55歳、労働者階級の女性では50歳と、世界で最も低いレベルとなっている。
定年引き上げは、先週行われたの「第三プレナム」として知られる中国共産党全体会議で採択された決議の一環となる。...
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7月23日付英
『BBC』:「中国、人口高齢化にともない退職年齢引き上げへ」:
中国は、高齢化や年金対策として、今後5年で段階的に法律で定められた退職年齢を延長する。
中国人の寿命は、1949年の共産革命から僅か36年で米国を超え78歳となったが、定年年齢はホワイトカラーの男性で60歳、女性が55歳、労働者階級の女性では50歳と、世界で最も低いレベルとなっている。
定年引き上げは、先週行われたの「第三プレナム」として知られる中国共産党全体会議で採択された決議の一環となる。中国では3億人が年金受給者となる。
引き上げ幅の具体案や時期は示され無かったが、2023年末の中国年金発展報告書には、「調整を経て65歳に落ち着く可能性」が記されている。中国では年金資源が縮小する中、定年引き上げ案は数年前から視野にあった。
国営中国社会科学アカデミーは2019年、主な年金基金は2035年までに資金が枯渇すると予測。これは中国経済に大打撃を与えることとなったコロナ禍前の試算であった。同時に、出生率が低下する中、巨大人口も2023年には2年連続で減少となった。
中国のネット上ではこの施策に疑問の声が上がっている。中国版「X」の「Weibo]では、「早期退職を願うのは燃え尽きた労働者階級の一方、比較的快適で儲かる仕事につくホワイトカラーは退職を選ばない」、「定年までにまだ仕事があるかも保証されていない」などのコメントがみられた。
7月24日付米『ビジネスインサイター』:「中国政府の定年延長策、国民は受け入れ難く」:
中国共産党は定年を延長する方針を明らかにしたが、ネット上などからは反発がみられる。
共和党は、現状では都市部労働者の男性で60歳、女性で50歳から55歳となっている退職年齢を引き上げる計画で、中国では政府基金が退職者への年金に充てられている。
21日の発表後、ソーシャルメディア「Weibo」では、この話題がすぐにトレンド入りした。中国版インスタグラム「小紅書(Xiaohongshu)」でも1億人に視聴され関心が高まっている。
その中には「若者は求職困難だが、高齢者は退職できない」等というコメントが見られたが、米メディアによると、オンライン上の一部のチャットはその後途絶えたとのことで、政府の検閲が働いたのではと憶測されている。
発表への反応を意識してか、週末の政府の声明は注意深く、言葉を選んだもので、「適切な柔軟性のもと、任意参加の原則に従い、慎重に順をおって段階的に引き上げる改革を進める」とし、定年引き上げは任意のものとなる可能性を示していた。改革は2029年までに行われると報じられている。
中国は先進国の中でも定年年齢が最低の国の一つ。寿命が今より非常に短かった時代と変わらない。だが、出生率低下にともなう急速な高齢化が年金予算を締め付けている。2023年末現在、60歳以上が人口の21.1%を占める。2億9700万人は米国の全人口に近い。
政府は、高齢者は購買力が若い世代より高いと主張する。しかし実際は違うようで、高齢者ではパートタイムが主流で、年金条件が悪ければ、多くの人がリタイヤできなくなるとも報じられる。
昨年2月には、中国国内の複数都市で、福利手当がカットされたとして数千人規模の抗議デモが行われた。米メティアでは「低賃金に甘んじる代わりに退職制度で恩恵を受けられるとした社会契約への違反行為とみなされている」等と報じられていた。
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シンガポール港沖でまたしてもタンカー衝突事故【欧米・シンガポールメディア】(2024/07/21)
6月28日付GLOBALi「
過激派フーシ派の紅海航行の商船攻撃の影響によりアジア諸港でコンテナ船異常滞留」で報じたとおり、多くのコンテナ船(原材料・精密部品・食料品・雑貨等の輸送船)が紅海を避けてアフリカ大陸南端喜望峰への大迂回を強いられたことに伴い、シンガポール等のハブ港での小型貨物等への積み替え頻発によるコンテナ船異常滞留が引き起こされている。かかる背景もあってか、シンガポール港沖で、先月に続いてまたしてもタンカー衝突事故が発生してしまっている。
7月19日付
『ロイター通信』、20日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙は、シンガポール港沖で大型タンカー2隻の衝突事故が発生したと詳報している。
シンガポール港は、アジア最大の原油積揚げ港であると同時に世界最大のバンカーリング港(燃料補給)である。
同港では、今年に入ってからコンテナ船を含む多くの貨物船の異常滞船が発生している。
そうした中、先月の浚渫船とタンカー衝突事故に続いて、またしても7月19日早朝、大型タンカー2隻の衝突事故が発生した。...
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7月19日付
『ロイター通信』、20日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙は、シンガポール港沖で大型タンカー2隻の衝突事故が発生したと詳報している。
シンガポール港は、アジア最大の原油積揚げ港であると同時に世界最大のバンカーリング港(燃料補給)である。
同港では、今年に入ってからコンテナ船を含む多くの貨物船の異常滞船が発生している。
そうした中、先月の浚渫船とタンカー衝突事故に続いて、またしても7月19日早朝、大型タンカー2隻の衝突事故が発生した。
シンガポール海事港湾庁(MPA、1996年設立)発表によると、衝突したのはシンガポール船籍“ハフニア・ナイル号(2017年建造)”とアフリカ大陸ギニア沖サントメ・プリンシペ船籍“ケレスI(2001年建造、船主は中国企業)”で、衝突場所はシンガポール領のペドラ・ブランカ島55キロメートル(34マイル)東沖の海上であるという。
また、前船の乗組員22人及び後船の40人のうちの14人は、MPA及びシンガポール海軍によって救出され、後船の26人は現在も本船消火に当たっているという。
前船は、総積載量7万4千トンで30万バレル(約4万7,700キロリットル)のナフサ(粗製ガソリン)を積載しており、後船は総積載量30万トンの超大型船だが積み荷は不詳である。
但し、“ケレスI”は、船舶追跡データによると今年3~4月にはイラン産原油を運送していた。
イラン産原油については、米国が昨年11月から強化した制裁下にあって、輸送に関わった船舶や関係企業が制裁対象になっている。
船舶追跡データを扱うLSEG(2007年設立)によると、“ケレスI”はイラン原油の他、同じく米国制裁対象となっているベネズエラ産原油をここ数年中国向けに輸送しているという。
更に、同社データでは、本船は7月11日以降、今回衝突したペドラ・ブランカ島沖に停泊したままとなっていた。
船舶情報全般データ提供会社ロイド・リスト・インテリジェンス(2017年設立、本拠英国)のミシェル・ワイズ・ボックマン首席アナリストは、“彼の地(ペドラ・ブランカ島沖)は、以前から米国制裁対象のイラン産原油を密かに輸送する船団が集まる場所と知られている”とした上で、“ケレスIは、イラン産原油をしばしば輸送していて、明らかに米国制裁破りをしていた”とコメントした。
また、同じく船舶追跡データを扱うKpler(2014年設立)のマット・スタンレー市場担当責任者も、“ケレスIは、イラン産原油を中国向けに輸送していることが分かっている”と追認している。
なお、船舶情報データ専門家情報によれば、米国の制裁対象となっているイラン・ベネズエラ産原油に加えて、欧米の制裁対象のロシア産原油を密かに輸送する闇の船団は850隻にも上るという。
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