昨今、インターネットの弊害が懸念されており、規制に至る場合もあるが、インターネット使用と生活満足度に関する最新研究によると、概ねネットと健康の関係性は、「良好で肯定的なもの」と判断されたという。
5月13日付
『Yahooニュース』(PA media):「インターネット使用が健康に関係するとの研究」:
国際的な研究によると、インターネットを使うことは、健康によいと言えるかもしれない。
一般的にインターネットの使用は問題視されがちだが、オックスフォード大学オックスフォード・インタネット・インスティテュートの研究者らが、168カ国200万人のデータを調査したところ、インターネットと健康の関係性は良好なものだと判断された。
ネットアクセスが有る人の「生活への満足度」はそうでない人に比べ8.5%高く、肯定的な経験も8.3%高い結果となった。調査された3.3万の項目のうち84.9%でネット環境と健康の関係性が肯定的とされた。
研究では、健康を8つの指標、生活の満足度、日常の肯定的や否定的経験、2つの社会的健康(住む所とその安全性に関する幸福度)、身体的健康、コミュニティの健全性、目的達成経験で測定。教育、収入、健康も考慮されているが、ソーシャルメディアの使用については除外されている。
同研究所のアンドリュー・プシビルスキ教授は、「若者のソーシャルメディアやネット使用を心配する必要のない時代が来るだろう。この結果が、スクリーンタイム関連の議論に発展し、規制等の政策を決める上での有用な資料になる」としている。
アメリカ心理学会による「テクノロジー、マインド、ビヘイビア(TMB)」に掲載された同研究では、ギャラップ世界世論調査の168カ国241万人による2006~2021年の調査が用いられている。
同日付英『BBC』:「インターネットアクセスが健康に関係するとの研究」:
EUや英国等、世界の大部分においては、ネットの弊害が懸念されており、規制に至る場合もある。
オックスフォード・インターネット・インスティテュートによる「インターネット使用と健康との関係」を調べた研究では、ソーシャルメディア使用や、若い女性の間でのうつ症状と一定の関係があるとしながらも、全体的な利点は、客観的なデータとして利用されるべきだとしている。
南米、アジア、アフリカ等各国15~99歳の200万人から、2006~2021年にデータを抽出。ネット接続があり、積極的に利用する環境にある人々が、より大きな生活上の満足感を得て、社会的に健康だと報告されている。
ネットの安全性を議論する上で中心となる「ソーシャルメディア」については触れていないが、より広範なインターネットアクセス全般へのアプローチを行っている。
研究では、生活の満足度、日常の気分変化(楽観や悲観)、コミュニティへの満足度など、8つの健康チェック項目を使用した。約3万4千の統計モデルや部分データを分析。その結果、85%がネット環境と健康の関係は、「良好で肯定的なもの」と判断された。
5%は、ネット環境やコミュニティ関係が「好ましくない、否定的なもの」と判断された。これは15~24歳の若い女性の間で顕著だった。これはネットが不幸を生むというより、既存の「サイバーいじめ、ソーシャルメディア使用とうつとの関係」の既存研究に関連するものだと強調されている。
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日本は、男女平等ランキング(GGI、注後記)2023年版で世界146ヵ国中125位と先進国中どん尻である。そうした悪名高い日本において、1250年余りも続く伝統行事の神事・裸祭りに女性が初めて参加(但し、法被着用)したことから、男女不平等是正につながる新たな事例となるかと米メディが報じている。
5月11日付
『CNNニュース』は、伝統行事の“神事・裸祭り”も少子高齢化に勝てず女性初参加となるも、果たして男子優位の風習への変革となるかどうかと詳報している。
今年2月22日、愛知県西部稲沢市の国府宮神社(こうのみやじんじゃ、正式名称尾張大國魂神社(おわりおおくにたまじんじゃ、奈良時代後期建造)で1250年余りも続く伝統行事の神事・裸祭りに、41人の女性グループが初めて参加(法被着用)した。
この儀式は、日本の伝統と文化遺産に対する揺るぎない敬意を示している一方で、女性を排除すること(日本の伝統文化では、男性だけが純粋であると考えられている)は、日本の最大の問題の一つである男女不平等の典型例であった。
しかし、少子高齢化が急速に進む日本において、当該伝統行事も、男性参加者が激減する状況から、女性にも門戸を開放せざるを得ない状況に追い込まれている。
神事を司る実行委員の一人(57歳)は、“2023年の祭り参加者は僅か1,700人と、コロナ禍前の5分の1となっていた”とした上で、“元々女性参加を禁じていた訳ではないが、これ程多くの女性が参加したのは初めてのことだ”と語った。
同神事のメインイベント(もみ合い)の前行事(儺追笹奉納)を仕切ることになった「縁友会」の一人(56歳)は『CNNニュース』のインタビューに答えて、“日本では長らく男性を表に立て、女性は後ろで控える他なかったが、これからは少しでも女性の役割を表に出していきたい”とコメントした。
なお、今回を契機に、今後の日本における男女不平等の事態はどう展開していくか、以下の人たちが真摯に語っている。
●法政大学(1920年設立の私立大)衛藤幹子法学部名誉教授(ジェンダー政治学専門)
・今回の裸祭りで女性参加が歓迎されたのは、中心となるべき男性参加者の激減が背景にあるが、好機ととらえるべき。
・社会全体をみても、少子高齢化が日本経済に与える影響は甚大である以上、今こそ女性がどんどん労働市場に参画していくべき。
・すなわち、少子高齢化自体を契機に、男女不平等を是正していく絶好の機会。
・ただ、政治の世界では全く改善がみられず、欧州諸国で盛んに導入されている「クオーター制(議員候補者や議席の一定数を女性に対して割り当てる制度)」等の革新的政策の欠如が大きな原因。
・更に、人口減少危機は小さな街や伝統的行事に留まらず、いろいろな場面で様々な問題となっているのに、何故政府や企業は、女性は家庭に留まっているべきとの固定観念から脱しえないのか。
●法政大学・堅田香緒里社会学部准教授(社会政策・福祉社会学専攻)
・女性にはより多くの機会が与えられるようになっているとは言え、女性の社会進出について依然偏見や固定観念は根強く残っている。
・女性は、幼稚園の保育や介護などの下級職や介護職に限られており、一般的に男性よりも賃金が低い。
・家事、育児という足枷から、責任ある仕事に就きづらく、パートタイム等で甘受せざるを得ない。
●アマチュア相撲の今日和選手(こんひより、26歳、2018年Netflix製作ドキュメント映画主人公)
・女人禁制の相撲界(プロ)において、自分なりに相撲道を突き進んでいる。
・ただ、日本では男女平等に行きつくまで道のりは長く、しばしば困難に遭遇。
・例えば、男性相撲選手から、“相撲を続けると結婚ができなくなるから、早いうちに辞めた方が良い”と言われた。
なお、上記の人たちのコメントを裏付ける日本の事情は以下である。
① 2023年GGI評価で、日本は過去最低の125位。日本より後位は、インド(ヒンズー教)、サウジアラビア(イスラム教)等宗教上の男女差別が決定的な国やアフリカ等の途上国のみ。
② 厚生労働省公表のデータによると、2023年の出生数は75万8,631人と史上最低だった2022年から更に▼5.1%減で、かつ8年連続減少。
③ 合計特殊出生率も、2021年1.30、2022年1.26、2023年1.20と更に減少傾向にあって、人口維持するために必要とされる2.1を大幅に下回る。
④ 経済協力開発機構(OECD、1961年設立)が今年1月リリースした報告書によると、2023年の日本の労働人口(外国人労働者含む)は6,600万人だが、上記の出生率が続くとすると、今世紀末には3,200万人まで半減すると予測。
⑤ 日本航空(1953年設立)で今年4月、同社初の女性社長(鳥取三津子氏、59歳)が登用されたが、日本企業における女性管理職比率は依然12.7%と低迷。
⑥ 上川陽子衆議院議員(71歳、2000年初当選)が昨年9月、二十数年振りに女性外務相に選任されたものの、岸田文雄内閣の女性閣僚は全20名中僅か5名。
(注)GGI:経済・教育・政治参加などの分野での世界各国の男女間の不均衡(ジェンダー・ギャップ)を示す指標。2006年から、非営利財団の世界経済フォーラムが公表。指標は経済・教育・政治・保健の4分野の14の変数を総合してつけられている。2023年指標では、1~5位が北欧及びNZで占められ、6位ドイツ、15位英国、17位(アジアトップ)フィリピン、40位フランス、43位米国、104位韓国、107位中国、そして125位が日本で先進国最下位。日本より下位は中東のイスラム諸国、アフリカの途上国のみ。
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