シンガポール港沖でまたしてもタンカー衝突事故【欧米・シンガポールメディア】(2024/07/21)
6月28日付GLOBALi「
過激派フーシ派の紅海航行の商船攻撃の影響によりアジア諸港でコンテナ船異常滞留」で報じたとおり、多くのコンテナ船(原材料・精密部品・食料品・雑貨等の輸送船)が紅海を避けてアフリカ大陸南端喜望峰への大迂回を強いられたことに伴い、シンガポール等のハブ港での小型貨物等への積み替え頻発によるコンテナ船異常滞留が引き起こされている。かかる背景もあってか、シンガポール港沖で、先月に続いてまたしてもタンカー衝突事故が発生してしまっている。
7月19日付
『ロイター通信』、20日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙は、シンガポール港沖で大型タンカー2隻の衝突事故が発生したと詳報している。
シンガポール港は、アジア最大の原油積揚げ港であると同時に世界最大のバンカーリング港(燃料補給)である。
同港では、今年に入ってからコンテナ船を含む多くの貨物船の異常滞船が発生している。
そうした中、先月の浚渫船とタンカー衝突事故に続いて、またしても7月19日早朝、大型タンカー2隻の衝突事故が発生した。...
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7月19日付
『ロイター通信』、20日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙は、シンガポール港沖で大型タンカー2隻の衝突事故が発生したと詳報している。
シンガポール港は、アジア最大の原油積揚げ港であると同時に世界最大のバンカーリング港(燃料補給)である。
同港では、今年に入ってからコンテナ船を含む多くの貨物船の異常滞船が発生している。
そうした中、先月の浚渫船とタンカー衝突事故に続いて、またしても7月19日早朝、大型タンカー2隻の衝突事故が発生した。
シンガポール海事港湾庁(MPA、1996年設立)発表によると、衝突したのはシンガポール船籍“ハフニア・ナイル号(2017年建造)”とアフリカ大陸ギニア沖サントメ・プリンシペ船籍“ケレスI(2001年建造、船主は中国企業)”で、衝突場所はシンガポール領のペドラ・ブランカ島55キロメートル(34マイル)東沖の海上であるという。
また、前船の乗組員22人及び後船の40人のうちの14人は、MPA及びシンガポール海軍によって救出され、後船の26人は現在も本船消火に当たっているという。
前船は、総積載量7万4千トンで30万バレル(約4万7,700キロリットル)のナフサ(粗製ガソリン)を積載しており、後船は総積載量30万トンの超大型船だが積み荷は不詳である。
但し、“ケレスI”は、船舶追跡データによると今年3~4月にはイラン産原油を運送していた。
イラン産原油については、米国が昨年11月から強化した制裁下にあって、輸送に関わった船舶や関係企業が制裁対象になっている。
船舶追跡データを扱うLSEG(2007年設立)によると、“ケレスI”はイラン原油の他、同じく米国制裁対象となっているベネズエラ産原油をここ数年中国向けに輸送しているという。
更に、同社データでは、本船は7月11日以降、今回衝突したペドラ・ブランカ島沖に停泊したままとなっていた。
船舶情報全般データ提供会社ロイド・リスト・インテリジェンス(2017年設立、本拠英国)のミシェル・ワイズ・ボックマン首席アナリストは、“彼の地(ペドラ・ブランカ島沖)は、以前から米国制裁対象のイラン産原油を密かに輸送する船団が集まる場所と知られている”とした上で、“ケレスIは、イラン産原油をしばしば輸送していて、明らかに米国制裁破りをしていた”とコメントした。
また、同じく船舶追跡データを扱うKpler(2014年設立)のマット・スタンレー市場担当責任者も、“ケレスIは、イラン産原油を中国向けに輸送していることが分かっている”と追認している。
なお、船舶情報データ専門家情報によれば、米国の制裁対象となっているイラン・ベネズエラ産原油に加えて、欧米の制裁対象のロシア産原油を密かに輸送する闇の船団は850隻にも上るという。
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タイで日本での投資を巡る毒物事件(2024/07/18)
タイ・バンコクのホテルで宿泊客のベトナム人男女ら6人が遺体で見つかった事件で、警察によると、宿泊者らには日本での投資を巡りトラブルがあっており、そのうち1人が5人を毒殺したとみられている。同国では昨年にも同様の毒物事件がおきている。
7月17日付泰
『バンコクタイムズ』:「投資トラブルで毒物ティーパーティー」:
警察の捜査から、56歳の米国籍をもつベトナム出身の女性シェリン・チョン容疑者が、金銭トラブルを巡って高級ホテルで5人と会合し、シアン化物を使ったとみられる。
17日の警察の発表によると、グランドハイアットエラワンホテルのスタッフは15日、5階502号室で女性が一人で被害者らを待っていたと証言しているという。...
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7月17日付泰
『バンコクタイムズ』:「投資トラブルで毒物ティーパーティー」:
警察の捜査から、56歳の米国籍をもつベトナム出身の女性シェリン・チョン容疑者が、金銭トラブルを巡って高級ホテルで5人と会合し、シアン化物を使ったとみられる。
17日の警察の発表によると、グランドハイアットエラワンホテルのスタッフは15日、5階502号室で女性が一人で被害者らを待っていたと証言しているという。ルームサービスで食事と飲み物を事前に注文し、スタッフがお茶を淹れるのを断っていた。セキュリティカメラには、5人のベトナム人が荷物をもって到着した様子が確認されているという。
15日午後2時17分から誰も部屋を出ておらず、翌日16日夕方にこの部屋から遺体が見つかった。死亡者にチョンも含まれている。
チョン容疑者は被害者らは30代から50代の5人に建設プロジェクトへの投資話を持ちかけ、そのうち夫婦が日本の病院への1000万バーツ(約4330万円)の投資計画が勧められていたという。しかし、このプロジェクトが進展していなかったため、彼らは法的措置をとっていたという。
6人は2週間後に裁判所で面会する予定となっていたが、チョン容疑者が5人に示談交渉を提案しており、日本で行う予定だったもののビザの関係で実現せずバンコクでの交渉に至った。
5人は15日正午ころチェックアウトを済ませたが、チョン容疑者が部屋の宿泊を延長し、示談交渉が再開されたという。6人のティーカップからシアン化物が検出され、鑑識によると、部屋にあったティーバックからも検出されたという。警察は、違法に持ち込まれたものか国内で入手されたものかを含め、毒物の入手先を捜査している。
同日付米『NBCニュース』:「バンコクの高級ホテルでベトナムと米国人6人の血液中からシアン化物検出される」:
タイ当局によると、バンコクの高級ホテルでベトナム国籍と米国籍の6人の客が死亡した事件で、解剖結果により死因はシアン化物と判明したという。
17日の記者会見で、バンコク警察のティティ・サンサワン署長は、死亡したのは37歳から56歳の米国二重国籍をもつ2人とベトナム男性3人と女性3人だとした。セター首相は、事件を受け当局は米国とベトナム大使館と連携しており、米中央情報局(FBI)も捜査を開始する予定だとしている。
タイ警察の捜査から、6人のうち4人が共同で投資を行っており、資金回収を巡るトラブルとなっていたとみられる。
バンコク警察のノッパシン・プンサワット副警察署長は記者会見で、投資は日本の病院建設が目的だったとしている。一方、事件の状況から「これはテロやセキュリティ違反ではない」と述べ、当ホテル17日に予定されているロシアエネルギー相との会合への影響はないとしている。
タイでは2023年にもシアン化物を使った毒物事件により15人が被害にあっている。「エム・サイヤナイド」とも呼ばれる連続殺人者の女性が15人に体内の酸素吸収を阻害する劇薬を使い、14人が死亡、1人が一命をとりとめている。
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