フィリピン・ドゥテルテ大統領の中国訪問(2016/10/19)
フィリピンのドゥテルテ大統領は就任以来最初の公式訪問国として10月18日から21日まで中国を訪問する。ドゥテルテ大統領は就任以来同国の麻薬犯罪撲滅に取り組んでいるが、そのやり方が非人道的であるとして米国オバマ大統領の批判を浴びたこともあり、アキノ前大統領時代に縮まった対米関係に距離を置こうとしている。逆に前大統領時代に南シナ海の領有権で国際仲裁裁判所に提訴までして争った中国との関係は急速に距離を狭めつつある。その中での中国訪問であり同大統領が習近平主席との会談でどのような対応をするかについて世界が注視している。
10月17日付
『ニューヨークタイムズ』は、「中国でロドリゴ・ドゥテルテ大統領とフィリピンは米国離れに踏み出す可能性あり」という見出しで、米国のアジアでの緊密な同盟国であるフィリピンのドゥテルテ大統領は、米国の軍事的影響力を減らし中国との緊密な関係を築きたいと語ったと報じた。但し大統領は中国が最も望むところである、米軍の同国の五つの基地使用権を認めた協定の破棄までは触れていない。大統領が対米、対中関係をどこまで変えるかは、今回の中国訪問での会談結果による。...
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10月17日付
『ニューヨークタイムズ』は、「中国でロドリゴ・ドゥテルテ大統領とフィリピンは米国離れに踏み出す可能性あり」という見出しで、米国のアジアでの緊密な同盟国であるフィリピンのドゥテルテ大統領は、米国の軍事的影響力を減らし中国との緊密な関係を築きたいと語ったと報じた。但し大統領は中国が最も望むところである、米軍の同国の五つの基地使用権を認めた協定の破棄までは触れていない。大統領が対米、対中関係をどこまで変えるかは、今回の中国訪問での会談結果による。若し中国が米比関係を薄めることに成功すれば、中国がアジアで進めてきた米国との同盟関係の弱体化の勝利であり、他の諸国にも大きく影響するであろうと専門家は見る。アジア諸国は中国の軍事的脅威を感じる一方で、経済的な関係強化が重要であると見ている。
ドゥテルテ大統領は、中国がマニラ・ミンダナオ間の鉄道建設へ協力することを望んでおり、また大統領に同行した財界人は中国が南シナ海の紛争以来課しているフィリピン産果物の輸入禁止を解除することを期待している。大統領は中国との関係改善のためフィリピン人で米ABCテレビの北京支局長を勤めたロマナ氏を駐北京大使に任命した。同氏は米国との同盟関係は続くと思うが、それは反中国ということではなくこれからは中国と様々な形の対話を進めて行くと述べたと報じている。
10月18日付
『チャイナデイリー』は、「ドゥテルテ大統領訪問は遅れていた中比関係改善を示す」という見出しで、長年の疎遠な関係の後、対比関係は不信から信頼へと変わり、ドゥテルテ大統領は火曜日雪解けのため中国を訪問すると報じた。アキノ前大統領が南シナ海の紛争を仲裁機関に提訴するという茶番劇で中比関係は最悪の状態になったが、ドゥテルテ大統領は関係改善を重視しており、中国を就任以来最初の訪問国とした。同大統領は領有権問題を二国間の話し合いで解決したいと言っており中国の主張と符合する。今回の訪問は大統領の真意を確認するリトマス試験紙であり、関係改善すれば政治、外交はもとより経済関係改善にも及ぶことになるだろうと報じている。
10月19日付フィリピンの
『マニラタイムズ』は、「フィリピン人は中国よりも米国を信頼-世論調査」という見出しで、フィリピン人はドゥテルテ大統領を信頼しているが、大統領の反米親中路線までも支持していないことが世論調査で明らかとなったと報じた。世論調査機関ソーシャル・ウェザー・ステーションズが同国の1,200人に対して行った世論調査の結果、中国を信頼している人の比率は22%で、信頼していない人の比率55%を下回った。一方米国を信頼している人の比率は76%であり、信頼していない人の比率11%を大きく上回っていると報じている。
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中国二大製鉄会社統合で世界第二位製鉄会社誕生(2016/09/21)
鉄鋼の供給能力削減が大きな課題となっている中国で、両方とも国営の宝鋼集団(上海市、世界4位)と武漢鋼鉄集団(湖北省、世界8位)の製鉄子会社統合が発表された。統合後の製鉄会社はルクセンブルグのアセロール・ミタルに次ぐ世界第二位の製鉄会社となる。中国では他にも、遼寧省の鞍鋼(世界7位)と本渓鋼鉄の合併や河北省の河鋼(世界3位)と北京市の首鋼(世界10位)の合併が噂されており、少しずつではあるが供給能力削減の動きが出てきている。
9月20日付
『ヤフーニューズ』(AFP通信引用)は、「中国、今週製鉄会社合併を公表との報道」という見出しで、中国の二大製鉄会社が火曜日合併計画を発表したが、中国の供給過剰で苦しむ世界の製鉄業界で第2位となると報じた(見出しは公表前のものを差し替えずに使用)。世界第二位の経済大国中国は、積年の課題である過剰生産を削減し世界と太刀打ち出来る製鉄所を作るため合併やリストラを使って、動きの遅い国営会社-特に製鉄会社の再編を試行している。...
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9月20日付
『ヤフーニューズ』(AFP通信引用)は、「中国、今週製鉄会社合併を公表との報道」という見出しで、中国の二大製鉄会社が火曜日合併計画を発表したが、中国の供給過剰で苦しむ世界の製鉄業界で第2位となると報じた(見出しは公表前のものを差し替えずに使用)。世界第二位の経済大国中国は、積年の課題である過剰生産を削減し世界と太刀打ち出来る製鉄所を作るため合併やリストラを使って、動きの遅い国営会社-特に製鉄会社の再編を試行している。合併は国有資産監督管理委員会の承認を得ており国務院(内閣)の承認を待つだけである。
経済成長の低下で中国の鉄鋼需要は低迷しているため世界の製鉄業界は過剰生産能力に苦しんでいる。アジア、欧州、米国の製鉄会社が赤字に喘いでおり政治的な問題にも発展している。アナリストは今回の合併は更に多くの合併の動きの先駆けだとしており、中国鋼鉄工業協会の事務次長が遼寧省の鞍鋼と本渓鋼鉄の統合を仄めかしたという報道もある。しかし別のアナリストは、今後の中国製鉄業は高級化を進める必要があるが、合併だけではその解決にならないとコメントしていると報じている。
9月20日付
『ロイター通信』は、「中国宝鋼と武漢との吸収合併で世界第二位の製鉄会社誕生」という見出しで、中国の宝鋼は借入の多い下位の競合先武漢鋼鉄を買収し世界第二位の製鉄会社となるが、疲弊した製鉄業界再編に向けての政府の動きを示すものであると報じている。宝鋼は利益を出しているが武漢は赤字で借金も多く、統合を成功させることは容易ではない。また、それぞれが既に古い設備を廃棄して新しい設備に更新しており、統合は単純に生産能力削減に結びつかないと見るアナリストもいると報じている。
9月21日付
『チャイナデイリー』は、「製鉄会社合併による大規模製鉄所誕生間近」という見出しで、中国の二大製鉄会社が子会社を合併し、世界第二位の製鉄会社を誕生させることで合意したと報じた。宝鋼は揚子江デルタ、珠江デルタ、新疆ウイグルに強く、武漢は湖北、雲南、広西チワン族自治区が基盤なので、合併後は両社の強みを生かすことが出来ると中国の業界関係者は語る。また両社とも現在都市近郊に製鉄所を持っているが、交通渋滞や環境問題を抱えている。統合後宝鋼は広東省の湛江港近く、武漢は広西チワン族自治区の防城港近くに製鉄所を構えれば、コスト削減に繋がるとみる業界コンサルタントもいると報じている。
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