【Globali】
中国経済を廻る論争への一つの見解
先月スイスで行われたダボス会議でヘッジファンドの大御所であるジョージソロス氏が中国経済について、通貨管理の失敗により経済が破たんするという悲観的な見方を発表した。それに対して中国政府は激怒し、中国の人民日報その他メディアを通じて中国政府は経済を十分コントロール可能であると反論、中国経済の行方について欧米メディアやエコノミストを巻き込んで一種の論争となった。一方でソロス氏を含む欧米のヘッジファンドは人民元の空売りを仕掛けており、それを迎え撃つ中国人民銀行との間の攻防は続いている。ソロス氏は1992年に英国中央銀行のイングランド銀行を相手に英ポンドを売り浴びせ、イングランド銀行は一日に二度も公定歩合を引上げたが防戦しきれなかった。また1997年にはタイのバーツなど東南アジア通貨に対する空売りによりアジア通貨危機を招いたとしてマレーシアの当時のマハティール首相らから批判を浴びたこともあった。今回の戦いの結果がどうなるかはさておき、中国の英字紙「チャイナデイリー」が、今回の論争に対する一つの見解を掲載しているので紹介する。なお、記者はチェコの大学の講師と紹介されている。
2月3日付
『チャイナデイリー』は、「中国に対する不吉な予言者は何故間違っているか」という見出しの記事を掲載した。同記事によれば、最近の中国経済に対する欧米の見方が混乱している一つの理由は、13億の人口を抱える中国経済が工業生産中心からサービス産業中心の経済に転換するという、人類の歴史の中でかつてない大転換の難しさにあるが、もう一つは欧米のメディアや金融アナリストの間に生まれている恐怖心から来ているという。...
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2月3日付
『チャイナデイリー』は、「中国に対する不吉な予言者は何故間違っているか」という見出しの記事を掲載した。同記事によれば、最近の中国経済に対する欧米の見方が混乱している一つの理由は、13億の人口を抱える中国経済が工業生産中心からサービス産業中心の経済に転換するという、人類の歴史の中でかつてない大転換の難しさにあるが、もう一つは欧米のメディアや金融アナリストの間に生まれている恐怖心から来ているという。そしてこの恐怖心は三つのことを示している。一つは、今や中国が世界経済の最大の推進役であり、中国で起こることが21世紀の全人類の未来に影響するという恐怖心。二つめは、そのような中国の重要性を認めたうえで、これまでの時代の変転の主役であった欧米から今後の主役が中国に乗り替わること、またそういう動きに対して欧米が何らコントロール出来ないことへの恐怖心。三つめは、2008年のリーマンショックで大きな損害を被った欧米の金融機関は、当時から未だ十分に経営改善が進んでいないので、近い将来再び金融危機に見舞われるのではないかという恐怖心である。これらは端的に言えば、中国の価値観、今後の方向性についての不信感の現れであり、再度危機が到来したときのために予め責任回避の言い訳作りをしておきたいという願望の現れであるという。
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世界が見る安保関連法案の衆院通過(2)
政府与党が主導した安保関連法案が衆院を通過した。各国は、安保関連法案の衆院通過について以下のように報じた。
7月21日付
『THE AGE』(オーストラリア)は、「安保法案の衆院通過は日本の歴代首相が成し得なかったことであり、安倍首相の足跡をしるすという意味では、大きな政治的成果であった。しかし同時に支持率の急落という大きな代償を支払った」と報じた。
7月20日付
『チャイナデイリー』(中国)は、「安保法案の可決は地域の安定に脅威をもたらす」との見出しで、安保法案の衆院通過について、「それは地球規模の安全保障に日本が参加し、中国との緊密な連携に動き、アジア地域の利益の共有に向けて日本が動いた場合には日本にとって多くの利益につながる一方で、日本が西欧列強との伝統的な経済的同盟関係に固執したり再軍備を図るなどの行為は、地域の安定に脅威をもたらすので行うべきではない」と報じた。...
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7月21日付
『THE AGE』(オーストラリア)は、「安保法案の衆院通過は日本の歴代首相が成し得なかったことであり、安倍首相の足跡をしるすという意味では、大きな政治的成果であった。しかし同時に支持率の急落という大きな代償を支払った」と報じた。
7月20日付
『チャイナデイリー』(中国)は、「安保法案の可決は地域の安定に脅威をもたらす」との見出しで、安保法案の衆院通過について、「それは地球規模の安全保障に日本が参加し、中国との緊密な連携に動き、アジア地域の利益の共有に向けて日本が動いた場合には日本にとって多くの利益につながる一方で、日本が西欧列強との伝統的な経済的同盟関係に固執したり再軍備を図るなどの行為は、地域の安定に脅威をもたらすので行うべきではない」と報じた。
7月17日付
『北京タイムズ』(中国)は、「安倍首相が平和憲法を無視して、新しい安保法案を通した背景には彼の歴史修正主義観があり、このような考え方は、戦前の日本に対する彼の盲目的な崇拝だけではなく、第二次世界大戦後の日本の平和主義の上に築かれた日本の発展に対する軽蔑がある」と報じた。
7月17日付
『人民解放軍デイリー』(中国)は、「日本は独自の安保法案だけでなく、アジアの繁栄のために中国と協力すべきで、この道を進めば日本は世界平和の維持に貢献することになる」と報じた。
7月20日付
『ヘラルド経済』(韓国)は、「安倍政権は、憲法学者の90%が違憲であるとし、国民の大多数が反対している安全保障に関連する法案を衆院本会議で通過させた」と報じた上で、「安倍首相は、海の日を迎え、中国を念頭に“自由な海で強者が弱者を苦しめてはならない”と、中国を牽制する発言をした。同日、中国のチャンワンチュウィアン国防部長兼国務委員は、“中国の海岸警備を強化する”と発表した」と報じた。
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