ジョン・ボルトン氏(74歳)は、かつてドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)の国家安全保障問題担当大統領補佐官(2018~2019年在任)を務めていた。しかし、袂を別って後の2020年には、トランプが2020年大統領選で勝利できるよう習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)に裏工作を依頼していた等を暴露した回顧録を出版している。そしてこの程、トランプが自画自賛していた金正恩朝鮮労働党総書記(39歳、2011年就任)発信の書簡は、実は偽物で同党扇動的宣伝部門が作成したものだと暴露している。
6月4日付
『ポリティカスUSA』や6月5日付
『ハフポスト』は、ドナルド・トランプ前大統領の補佐官だったジョン・ボルトン氏が、金正恩朝鮮労働党総書記からもらっていた書簡は偽物だったと、またしてもトランプの恥部を暴露したと報じている。
ドナルド・トランプ前大統領の元国家安全保障問題担当補産官だったジョン・ボルトン氏が6月4日、同前大統領が“ラブレター”だと自賛していた金正恩朝鮮労働党総書記からの書簡は、実は同党扇動的宣伝部門が作成したものだと暴露した。
同氏が、『CNN』ニュー番組総合司会者ジム・アコスタ氏(52歳)のインタビューに答えたもので、同書簡に“大統領は素晴らしい”等々トランプを喜ばせる美辞麗句で溢れていたことから、妄信してしまったものだと言及した。
更に同氏は、“トランプは、金総書記を始め、習国家主席、ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)等の独裁者と親密になることは、どれだけ米国及びその同盟国を危うくすることになるのか全く理解していなかった”と非難した。
その上で同氏は、金正恩との関係を誇らしげに語るような人物が、再び大統領職に就くことは大変不適当だと思う理由だ“とも強調している。
なお同氏は先月、トランプが多くの外国首脳から慕われていた、と言及していることに対して、“それは全くの妄想で、彼らはトランプと会談している際、内心は「愚かな笑い者」と思っていたはずだ”ともコメントしていた。
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東京都が2022年3月に決定した都市計画決定に基づき、民間の共同事業体が策定・提案していた「明治神宮外苑再開発プロジェクト(外苑再開発、注1後記)」が、2024年よりいよいよ本格工事が始められる見込みである。しかし、国際NGO国際記念物遺跡会議(ICOMOS、注2後記)の日本委員会による、同事業体が提出していた「環境アセスメント」に虚偽や事実誤認があるとの指摘に対して、都の環境アセスメント審議会が5月18日、全く問題ないとして再調査の必要性を否定する見解を発表した。そこで米メディアが、環境保護団体やスポーツ業界重鎮らの批判コメントを掲載して、開発事業そのものを疑問視する報道をしている。
5月21日付
『AP通信』は、外苑再開発に関わる環境アセスメントは不十分等と批判的に報じている。
外苑再開発は、神宮球場や秩父宮ラグビー場を解体した上で場所を入れ替えて建て替えたり、650フィート(約195メートル)の高層複合ビルを新たに建設する大規模プロジェクトである。
推進する共同事業体は民間企業が主体とされているが、本質的には、東京都の小池百合子都知事(70歳、2016年就任)、三井不動産(1941年設立)、及び外苑の土地所有者である宗教法人明治神宮(1951年設立)が主導していると言える。...
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5月21日付
『AP通信』は、外苑再開発に関わる環境アセスメントは不十分等と批判的に報じている。
外苑再開発は、神宮球場や秩父宮ラグビー場を解体した上で場所を入れ替えて建て替えたり、650フィート(約195メートル)の高層複合ビルを新たに建設する大規模プロジェクトである。
推進する共同事業体は民間企業が主体とされているが、本質的には、東京都の小池百合子都知事(70歳、2016年就任)、三井不動産(1941年設立)、及び外苑の土地所有者である宗教法人明治神宮(1951年設立)が主導していると言える。
何故なら、同都知事も、三井不動産前会長の岩沙弘道氏(80歳、2011~2023年在任)も、同宗教法人の理事職に就いているからである。
この点について、上智大学(1928年設立の私立大)政治学者の中野晃一教授(52歳)は、“宗教法人が関わる事業に私企業と政治家が関与するという利益相反問題が指摘される”とした上で、“日本の大手紙はほとんど報じていないばかりか、この指摘に関わる問題提起のメールについて知事事務局は無視している”と非難している。
また同教授は、同事業に関して、三井不動産、明治神宮、そして政治家である小池都知事及び森喜朗元首相(85歳、2000~2001年在任)は癒着の関係にあると断じている。
同教授によると、森氏は日本ラグビーフットボール協会(1928年前身設立)の元会長(2005~2015年)であったし、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(2014年設立)の前会長(2016~2021年)であったことから、同事業に裏で深く関わっているに違いないとする。
更に同教授は、“神宮外苑はスポーツ施設を備えた公共公園であり、その再開発は公共事業であるはずなのに、政治家が関わった宗教法人と不動産開発事業者による民間事業として決定・推進されている”とした上で、“日本は第二次大戦後に政教分離がなされたはずなのに、この例でも明らかなように、政治と宗教が隠れた「依存関係」にある”とも問題提起している。
一方、ICOMOS日本国内委員会やその他環境保護団体等は、再開発で多くの樹木が伐採されることに伴う環境への悪影響や、名所のイチョウ並木の維持にも問題が生じかねないとして批判の声を上げている。
また、神戸親和大学(1966年設立の私立大)スポーツ教育学の平尾剛教授(47歳、1999~2007年ラグビー日本代表選手)は、“スポーツの名を借りて環境を破壊するこの再開発は、正に「スポーツウォッシング(注3後記)」であり、ラグビーを愛する我々にとって到底受け入れられない話だ”と非難して反対運動の署名活動を始め、既に25万筆の署名を集めている。
更に、今年3月28日に逝去した世界的音楽家の故坂本龍一氏(享年71)も、外苑再開発に反対する書簡を小池都知事宛に送っていたことが分かっている。
なお、再開発地の外苑には、東京オリンピック・パラリンピック大会用として2019年に建て替えられた新国立競技場があるが、その総工費は14億ドル(1,569億円、2019年当時のレート換算)で、建設工事に当たって約1,500本の樹木が伐採されている。
また、2021年の同大会開催後以降は、大きな事業収入が得られておらず、毎年1,500万ドル(約20億円)の赤字が税金で賄われている。
(注1)外苑再開発:新宿区、港区、渋谷区にまたがる神宮外苑の大規模事業で、神宮球場や秩父宮ラグビー場が場所をかえて建て替えられる他、商業施設が入る高層ビルが建設される。全体の整備は13年後の2036年に完了する計画で、総事業費は約3490億円。共同開発事業体は、三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター(2003年設立)、及び伊藤忠商事(1858年前身設立)。
(注2)ICOMOS:世界の歴史的な記念物(あるいは歴史的建造物)、文化遺産および遺跡の保存に関わる専門家の国際的な非政府組織。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記念物および遺跡の保存修復憲章」(通称:ベネチア憲章、1964年)に基づき、1965年に設置された記念物および遺跡の保護に関するユネスコの諮問機関。
(注3)スポーツウォッシング:2018年にオックスフォード辞書に認められた英語の新語のひとつで、国家や団体・人物などが、スポーツを利用して自らのイメージを高めようとしたり、不都合な事実から目を背けさせようとすること。
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