中国のCOVID-19対策;春節控える中でのオミクロン株感染拡大を受けて多くの都市で厳格な行動制限【欧米・中国メディア】
中国では、毎年民族大移動が起こる春節を10日後に控える。更に、北京冬季大会が2週間後に始まることもあって、中国本土の多くの都市で厳格な行動制限措置を講じている。例えば、北東部のハルビン(黒竜江省)では、新規感染者が発生していないのにも拘らず、約1千万人の全市民に対して新型コロナウィルス(COVID-19)の検査を実施するという。
1月22日付欧米
『ロイター通信』:「ハルビン市政府、春節の長期休暇前に全市民のCOVID-19検査実施」
中国北東部のハルビン市政府は、約1千万人の全市民に対して1月24日からCOVID-19検査を実施すると発表した。
同市において直近ではCOVID-19新規感染者は発生していないが、春節の長期休暇を控えることから、予防対応のためだとしている。
同市政府は、ITアプリ「ウィーチャット(微信、IT大手テンセントが開発)」のオフィシャルアカウント上で、多くの人の移動が起こる春節を控え、“多くの都市でオミクロン株の感染が発生しており、これを防ぐため、厳しい対応を行う必要がある”と表明した。...
全部読む
1月22日付欧米
『ロイター通信』:「ハルビン市政府、春節の長期休暇前に全市民のCOVID-19検査実施」
中国北東部のハルビン市政府は、約1千万人の全市民に対して1月24日からCOVID-19検査を実施すると発表した。
同市において直近ではCOVID-19新規感染者は発生していないが、春節の長期休暇を控えることから、予防対応のためだとしている。
同市政府は、ITアプリ「ウィーチャット(微信、IT大手テンセントが開発)」のオフィシャルアカウント上で、多くの人の移動が起こる春節を控え、“多くの都市でオミクロン株の感染が発生しており、これを防ぐため、厳しい対応を行う必要がある”と表明した。
中国国内の多くの都市では、来月初めに北京冬季大会開催を控えることもあって、COVID-19感染拡大を防ぐために厳しい行動制限措置が取られている。
ただ、一部の国営メディアは、例えば東部河南省のある県当局が、この時期に故郷に帰るような“悪意に満ちた行動”を控える様にとの通達を無視した県民に対して検査を行い、陽性と判明すれば拘束する、と表明したことを酷評している。
『人民日報』は、ミニブログサイト「ウェイボ―(微博、新狼公司が運営)」上で、“春節時に故郷に帰りたいと思うのは人の常であり、それを悪意を持った行動と評するのは如何なものか”と苦言を呈した。
そして、“感染を抑えるのは重要な任務であるが、それは科学的かつ法に適う方法で行うことが肝要であり、故郷に帰りたいと思う人たちにもっと思いやりを持って接するべきである”と言及している。
なお、中国国家衛生健康委員会(NHC、1949年前身発足)は1月22日、1月21日の新規感染者は63人と、前日の73人より減少したと発表した。
そのうち、市中感染は23人で、残り40人は海外からの渡航者だとする。
1月21日現在の中国全土の総感染者は10万5,547人で、死者は出ておらず4,636人のままである。
同日付中国『チャイナ・ナショナル・ニュース』:「中国の新規感染者のうち23人が市中感染」
NHCが1月22日、前日に市中感染者23人が出たと発表した。
内訳は、北京10人、天津6人、河南省4人、広東省3人となっている。
また、中国全土で海外渡航者のうち40人の感染が確認されたとする。
中国政府は、北京等の大都市における新規感染者の発生を懸念しており、特に冬季大会開催を控える北京において、オミクロン変異株の感染者が出たことを憂慮している。
そこで、北京においては厳しい防御措置が取られることになり、例えば同市に入る全ての旅行者は、直近72時間前までのCOVID-19検査が必須とされている。
『北京日報(1952年発刊)』は、オミクロン株の早期発見及び感染拡大防止対策のため、当該措置が1月22日から3月末までの期間適用される、と報じた。
閉じる
世界の新エネルギー車の半分を生産する中国で、使用済み電池がもたらす深刻な汚染
中国政府が普及を促す新エネルギー自動車の生産が急速に拡大しており、世界の生産台数の半分が中国で生産されるようになった。一方、大量の使用済みバッテリーが生み出されている。しかし、中国ではまだ使用済みバッテリーの違法廃棄がまかり通っているため、深刻な環境問題をもたらす可能性があると、国有メディアの新華社通信が伝えている。
米
『エポックタイムズ』によると、新華社通信は、中国での累積使用済み電池量は、2020年には20万トン(約25GWh)に達し、2025年には78万トン(約116GWh)に増加すると伝えている。しかし、使用済み電池の半分以上は、適切なルートでリサイクルされず、不適格な小さな工場で処理されているという。
一般的に、新エネルギー自動車用バッテリーの耐用年数は約5~8年と言われている。...
全部読む
米
『エポックタイムズ』によると、新華社通信は、中国での累積使用済み電池量は、2020年には20万トン(約25GWh)に達し、2025年には78万トン(約116GWh)に増加すると伝えている。しかし、使用済み電池の半分以上は、適切なルートでリサイクルされず、不適格な小さな工場で処理されているという。
一般的に、新エネルギー自動車用バッテリーの耐用年数は約5~8年と言われている。もし適切に廃棄されなければ、これらの新エネルギー車は「クリーン」で環境に優しい設計であるにもかかわらず、環境に深刻な汚染をもたらすことになる。
北京理工大学のWu Feng教授は「20グラムの携帯電話のバッテリーは、標準的なプール3つ分を汚染し、土地に捨てられた場合は、1平方キロメートルの土地を約50年間汚染することになる 」と述べている。
携帯電話の電池に比べて、大型の新エネルギー車の電池による汚染は深刻になることが推測できる。これらの電池には、コバルト、マンガン、ニッケルなどの重金属が含まれており、自然には分解されない。例えばマンガンは、空気、水、土壌を汚染し、空気中に1立方メートルあたり500マイクログラム以上含まれるとマンガン中毒を引き起こしてしまう。2010年には、中国の広東省で、飲料水に含まれるマンガンが水質基準の安全レベルを超えたため、緊急事態が発生した。
使用済み電池のもう一つの大きな汚染源は、電解液である。電解液に含まれるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)は、空気中で容易に加水分解され、五フッ化リンやフッ化水素などの有害物質を生成してしまう。
しかし中国本土では、電池の電解液が処理されずにそのまま投棄されていることが少なくない。違法廃棄された電源による水や土地、空気を汚染しているという報告も増えている。
Synfuels ChinaのLi Yongwang社長は、新エネルギー車のバッテリーは、燃料自動車の排気汚染よりもはるかに深刻な汚染を引き起こす可能性が高いと述べている。排気ガスの汚染は抑制できるものの、新エネルギー電池のリサイクルは難しく、コストも高く、電気自動車の総台数が車両総数の10%に達すれば、「破滅的な」問題が発生するだろうと指摘している。
中国の産業情報技術省は2018年に「新エネルギー車電池リサイクル管理のための暫定措置」を発表し、電池のリサイクルの主な責任を自動車メーカーに負わせた。しかし、国有メディア「人民日報」は、多くの使用済みバッテリーが、適切な処理技術を持たない小規模メーカーに 高値で引き取られていると指摘している。
中国のメディア「Caixin」によると、合肥大学の教授でGuoxuan High-TechInstituteの元副所長Yang Xulai氏は、廃棄バッテリーや使用済みバッテリーは、主に自動車販売・サービス店、廃車、バッテリー企業の3ルートから来ると述べた。しかし、バッテリー企業の廃棄品のみ適切なリサイクル処理が行われており、他のルートからの電池の処理のされ方は実は誰も把握していないという。
一方『ロイター通信』は昨年10月、2021年から2030年の間に世界中で1,285万トンのEV用リチウムイオン電池が使用済みとなり、新しい電池のために1,000万トン以上のリチウム、コバルト、ニッケル、マンガンが採掘されると報じている。そして、再利用された使用済み電池は、中国の5Gステーションのバックアップ電源システムとして使用されたり、シェア型のe-bikeに再利用されたりする可能性があり、新規の電池製造に伴う6,300万トンの二酸化炭素排出量を削減できると試算されていると伝えている。
また、世界最大の電気自動車ユーザーであり、電気自動車用電池メーカーである中国は、今後予想される利用者の急増に対応するため、独自の電池リサイクル計画を立ち上げ、電池の製造から廃棄までの全寿命を追跡するシステムも導入している、と報じている。
閉じる
その他の最新記事