仏大統領のスウェット姿、大統領選挙に向けてゼレンスキー風のイメージ戦略か(2022/03/15)
常に完璧なスーツスタイル姿で知られるフランスのエマニュエル・マクロン大統領。突如、大統領の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が、自身のインスタグラムでこれまでに見たことのなかったカジュアルなスウェット姿の大統領の写真を公開したことで、国内外で多くの反響を呼んでいる。
フランスの地方日刊紙
『ミディ・リーブル』電子版によると、インスタグラムで公開された写真は、寝不足で目の下にクマがあり、乱れた髪で、ジーンズに黒いスウェットを着た大統領であった。同紙は、マクロン大統領は、3月14日のインスタグラムで、勤勉な大統領であり国際外交官であることをアピールしていると伝えている。
写真を公開した大統領府の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエールのアカウントには、様々な見解が寄せられている。...
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フランスの地方日刊紙
『ミディ・リーブル』電子版によると、インスタグラムで公開された写真は、寝不足で目の下にクマがあり、乱れた髪で、ジーンズに黒いスウェットを着た大統領であった。同紙は、マクロン大統領は、3月14日のインスタグラムで、勤勉な大統領であり国際外交官であることをアピールしていると伝えている。
写真を公開した大統領府の公式カメラマンであるソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエールのアカウントには、様々な見解が寄せられている。4月の大統領選に向けて、ロシアの攻撃開始以来、SNSでTシャツと私服姿を披露しているウクライナのゼレンスキー大統領ばりのPRスタントだと見る向きもある一方で、選挙戦中の大統領が国家儀礼から離れ、「人々の日曜日の服装と同じようなカジュアルな姿」を披露したと見る向きもある。ドイツのあるネットユーザーは、「もしエマニュエル・マクロンがまだ今年の選挙で大本命でなかったら、この写真で本命になっていただろう」とコメントしている。
仏日刊紙『ルモンド』は、ツイッター上でもコメントが飛び交っていると伝えている。「これで明らかになった。彼は自分がゼレンスキーだと思っている、想像以上にひどい。」、 「スウェットが格好いいから、彼に投票することにしたよ」、「10代のパーカーを着て写真を撮るのは、80代以上とは違う層にアプローチしようとするためだ」、「英語の口頭試問で高校生風のスウェットを着た大統領。これはフェイクか?」、「マクロン大統領はパーカーとスキニージーンズでゼレンスキーのようなカジュアルっぽさを演じている。すごい演出だ!」と 様々な反応が集まっている。
海外メディアも写真に注目している。米ニュースサイト『TMZ』は、「ゼレンスキー大統領はその勇敢さで人々の心を掴んでいるが、ファッションでも勝利を収めているかもしれない、というのも、別の国の指導者が彼から服装のヒントを得ているようなのだ。」と報じている。普段のマクロン大統領はスーツに革靴、髭も剃っている。一方、常にカジュアルな姿のゼレンスキー大統領は国民の味方というイメージが強い。同ニュースサイトは、「問題は、バイデン大統領もそのうちテニスシューズとおじさん帽子でホワイトハウスにやってくるかどうかだ。」とコメントしている。
英『エクスプレス』は、マクロン大統領が4月の再選挙を控え、現在約53%の有権者が不支持を表明しているため、ゼレンスキー風のイメージに刷新しようとしているようだと主張している。デイリーテレグラフの記者エド・カミングは、「フランスのマクロン大統領は、ウクライナの非の打ちどころのないメディアキャンペーンを、判断を鈍らせるほどの羨望のまなざしで見つめていることは明らかだ。エリゼから発信される一連の奇妙な写真撮影を他にどう説明すればいいのだろうか?」と指摘している。
また、「先週、プーチンとの電話会談が失敗に終わった後、白いシャツ姿のマクロンの、執務室の椅子の背もたれをひたすら握りしめている姿、鼻梁をつまんで苦悶している姿、顔の前で手を組んで苦悩している姿と3枚の写真を目にした。マクロン氏にとっての問題は、他の指導者と同様に、政治的な写真撮影は現実世界の出来事の重圧に見合うものでなければならないということだ。多少の身だしなみや演出は許せるが、重々しさを出すのは無理がある。ゼレンスキーがその仕事にぴったりな人のように見えるとしたら、マクロンはスティーブ・ジョブズのために働く男のように見える。戦時中のリーダーよりも、ウォーハンマー(ミニチュアゲーム)のリーダーのように見える。」と指摘している。
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ウクライナ危機、ロシアによるサイバー戦争の可能性(2022/02/25)
ロシアのプーチン大統領が24日、ウクライナへの大規模侵攻に踏み切った。このロシアの軍事攻勢に加えて、サイバー戦争の始まりの可能性が懸念されている。
仏
『BFMTV』は、ロシアは長年、サイバー攻撃のための兵器を準備してきたと伝えている。ロシア政府に近いとされるハッカー集団は、国家や機関、大企業などを標的としたハッキングによって、定期的にその存在感を示してきた。
最近では、例えば、欧州医薬品庁へのサイバー攻撃でロシアに疑惑の目が向けられた。また、2017年のフランス大統領選では、第2回目の投票の2日前に、共和国前進党の内部メール2万通がハッキングされ、偽情報と関連付けて流布された事件で、ロシアのハッカーが疑われた。...
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仏
『BFMTV』は、ロシアは長年、サイバー攻撃のための兵器を準備してきたと伝えている。ロシア政府に近いとされるハッカー集団は、国家や機関、大企業などを標的としたハッキングによって、定期的にその存在感を示してきた。
最近では、例えば、欧州医薬品庁へのサイバー攻撃でロシアに疑惑の目が向けられた。また、2017年のフランス大統領選では、第2回目の投票の2日前に、共和国前進党の内部メール2万通がハッキングされ、偽情報と関連付けて流布された事件で、ロシアのハッカーが疑われた。
ウクライナに対する攻勢の一環として、ロシアのハッカーたちは、紛争の激化に先立ち、すでに仕事に取り掛かっていた可能性も示唆されている。1月初旬、ウクライナの外務省や非常事態省など、複数のウクライナ政府機関のサイトが使用できなくなった。1月17日付けのルモンド紙では、犯人の目的としては、データの窃盗、脅迫の試み、ウクライナ人の指導者に対する信頼を損ねることなどの目的が考えられると伝えられていた。今回の紛争においては、例えばウクライナ軍の機密のやりとりを傍受するため、そして何よりも重要な場面で敵の通信を遮断するなどの目的があげられる。
サイバーセキュリティの専門家であるオリヴィエ・ローレリ氏は『BFMTV』の取材に対して、「このような攻撃は、即座に行われることはまずありえない。長期的にハッキングしてきたもので、休止状態のままにさせておいたスパイウェアを導入し、適切なタイミングで使用する。特に世界中の多くのサーバーに影響を与えるLog4Shellのようなものへの攻撃で、今後数カ月で流出が急増する可能性があると想定できる」と説明している。ロシアはおそらく中国と並んで、大規模なサイバー戦争に最も備えている大国だという。
2019年11月、ロシア国内では「インターネット主権」を支持する法律が施行され、国内ネットワークが他の地域から完全に独立した形でも動作できるようになった。アメリカやヨーロッパのサーバーへのアクセスが遮断されても、国内でのオンラインのやりとりを続けることができる。緊急時には、連邦通信監監督機関が全国のネット通信を一元管理する役割を担っている。ロシアのメディア「RBC」によると、これに関するテストが2021年の夏に実施されている。
米『ビジネス・インサイダー』によると、ロシアのサイバー攻撃に対して、ハッカー活動家たちの国際的ネットワーク「アノニマス」が現在進行中のロシア・ウクライナ戦争への介入をツイッター上で宣言した。ロシアがウクライナに対して攻勢をかけている中、アノニマスのハッカーたちは、ロシア政府のいくつかのウェブサイトと、国営テレビ局のウェブサイトをダウンさせたと主張している。
アノニマスによって停止させられたり、速度が低下したりしたサイトには、ロシア政府、下院、国防省のものが含まれる。ハッカー集団は、ロシアのインターネットサービスプロバイダーであるCom2Com、Relcom、Sovam Teleport、PTT-Teleport Moscowのウェブサイトに対する分散サービス妨害(DDoS)攻撃も行ったという。
一方、米『アクシオス』は、バイデン政権と米議会が、ウクライナ侵攻後のロシアによるサイバー戦争に備え、アメリカ企業に対する潜在的な攻撃に備えるよう警告していると伝えている。米当局は、プーチン大統領が米国に報復の責任があると考えた場合、サイバー紛争がエスカレートすることを懸念している。
ジョージタウン大学セキュリティ・新興テクノロジーセンターのカテリーナ・セドヴァ研究員は、ロシアのサイバー攻撃のターゲットとして、送電網やパイプラインなどの重要なインフラが考えられるとし、「必ずしも人命を危険にさらすわけではないが、米国の対ロシア活動に対する世論を揺るがすほどの不便をもたらすだろう」と語っている。
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