ウクライナやロシアからの小麦や肥料に大きく依存している中東・北アフリカとバルカン諸国は、価格高騰と食糧危機に直面している。こうした諸国に対するロシアの影響力に対抗するために、欧州連合(EU)が積極的な「食料外交」を展開しようとしている。
カタールのメディア
『アルジャジーラ』によると、EU外交筋は、食料不足がウクライナやロシアに依存している国々に「憤り」をもたらしているものの、ロシア当局は西側の対ロシア制裁の結果であるという説明を展開していると指摘している。これはEUの影響力に対する潜在的な脅威であるため、EUは「食料外交と情報戦」によって対抗する計画だという。
中東・北アフリカ諸国、特にエジプトとレバノンは、ロシアがウクライナに侵攻して以来、供給が減少し、価格高騰に直面している。...
全部読む
カタールのメディア
『アルジャジーラ』によると、EU外交筋は、食料不足がウクライナやロシアに依存している国々に「憤り」をもたらしているものの、ロシア当局は西側の対ロシア制裁の結果であるという説明を展開していると指摘している。これはEUの影響力に対する潜在的な脅威であるため、EUは「食料外交と情報戦」によって対抗する計画だという。
中東・北アフリカ諸国、特にエジプトとレバノンは、ロシアがウクライナに侵攻して以来、供給が減少し、価格高騰に直面している。EUは「この地域を失うリスクは冒せない」と危機感を募らせている。
EUは、不足の影響を緩和するための国際的な取り組みを強化したいと考えており、国連世界食糧計画とともに、近く新たな取り組みを発表する予定である。EU最大の農業生産国であるフランスは、「FARM」と呼ばれる構想を推進しており、これには貧しい国々への世界的な食糧分配制度が含まれることになる。フランスのルドリアン外相は、ローマで行われたEU当局者と国連食糧機関との協議の後、6月のEU議長国任期終了までにこの計画に関する国際合意を目指していることを明らかにした。
EUのジョゼップ・ボレル外交政策上級代表は11日、ロシアが港を攻撃し、小麦の貯蔵所を爆撃することで、ウクライナの農産物出荷を困難にしていることを明らかにした。小麦の輸出を制限しているロシアは、ウクライナの複数の燃料貯蔵施設を空爆している。ウクライナは、小麦の貯蔵施設は満杯であるものの燃料不足のため輸出ができないでいるという。こうした状況を受けて、EUはポーランド経由で食料の輸出を促進しており、状況緩和のためにウクライナの農家への燃料の配送を支援している。
仏『ルモンド』によると、3月24日にマクロン大統領が発表したFARM構想は、3つの柱で構成されている。在庫の透明性を高め、価格を記録的な水準に押し上げている投機的現象を抑制する商業的軸、ウクライナからの穀物輸出の停止に影響を受けている諸国への連帯的軸、そして、地中海周辺とアフリカの輸入国である国々の農業部門の発展を支援する、より長期的な支援的軸である。
仏『レゼコー』によると、世界ではすでに1億6100万人が深刻な食糧不足に直面しており、国連は、ロシアとウクライナの紛争の結果、さらに800万人から1300万人が近いうちに栄養不足に陥る可能性があると推定している。こうした状況に対処するために、フランスのルドリアン外相は、6月末までにG7諸国と「組織、機構、調整メカニズム」を構築することを希望しているが、この構想の実施と成功は、インドや中国など、かなりの穀物在庫を抱えるG20諸国の参加にもかかっている。
閉じる
フランスのマリーヌ・ル・ペンは10日のフランス大統領選の第1回投票で23.15%の票を獲得し、国民連合党党首としては過去最高の成績を収めた。再選を目指すマクロン大統領とはわずか4ポイント差であった。2人は24日に第2回投票で直接対決することになるが、世論調査では2017年の戦いよりも僅差の対決になると予想されている。ル・ペン候補は第2回投票で49%の票を獲得し、勝利の誤差の範囲に収まると現時点では予測されている。
英
『デイリーメイル』は、マクロン政権による黄色いベスト運動、燃料費高騰、欧州連合への統合の強化を5年間我慢してきたフランスの労働者層は、決選投票でマリーヌ・ル・ペン候補を政権に押し上げることになるかもしれない、と報じている。
極左の指導者ジャン・リュック・メランションなど、敗れた候補者の多くが第2回投票でル・ペンを支持しないよう支持者に伝えているものの、生活者目線のル・ペンのメッセージが政党を超えて共感を集めている。...
全部読む
英
『デイリーメイル』は、マクロン政権による黄色いベスト運動、燃料費高騰、欧州連合への統合の強化を5年間我慢してきたフランスの労働者層は、決選投票でマリーヌ・ル・ペン候補を政権に押し上げることになるかもしれない、と報じている。
極左の指導者ジャン・リュック・メランションなど、敗れた候補者の多くが第2回投票でル・ペンを支持しないよう支持者に伝えているものの、生活者目線のル・ペンのメッセージが政党を超えて共感を集めている。
エコノミスト誌のパリ支局長、ソフィー・ペデルは、「彼女はブルーカラーの有権者、低賃金者、サービス業に従事する人々、月末の請求書の支払いに苦労している人々、ガソリンを車に入れるのに本当に苦労している人々にとても人気がある。彼らの多くは地方に住んでいたり、通勤に車が必要な地域に住んでいたりします。彼女が持つこの生活者目線は、急進左派のメランション支持者にはとてもよく響くのです。」と述べている。
選挙戦を通じてル・ペンは、黄色いベスト運動が巻き起こった町や村の市場を訪れ、労働者階級の有権者に会い、マクロンがフランスを分裂させ、自分こそがフランスを統一するというメッセージを押し出してきた。あるル・ペン支持者は、「彼女は素晴らしい選挙活動をした。人々に近かった。テレビにはあまり出ず、現場や街で私たちと一緒に行動していた。2017年はマクロンが新人で、誰も彼を知らないから、まあ試してみようかという感じで、みんなマクロンに投票した。試してみたら、ひどかった」と語っている。
今回のル・ペンとマクロンの決選投票は、2017年の大統領選と同じ顔合わせである。第1回投票の結果はマクロン24.01%、ル・ペン21.03%だった。その後、マクロンは決選投票で66パーセントと圧倒的な強さでル・ペンを打ち負かした。
しかし、専門家たちによると、今回の選挙は、マクロン大統領がグローバル主義、親ヨーロッパ政策を5年間続けてきたことに対して有権者が幻滅しており、ル・ペンは反マクロンのメッセージで有権者の結束を図ろうとするため、大きく異なるものになるだろうという。
元国民戦線の議員であったブルーノ・ゴルニッシュ氏は、「マクロン氏の政策に失望している人が多いので、5年前とは状況がかなり違うと思う。右派であれ左派であれ、今の本当の議論は、一方ではグローバリズム、他方では国家主権という違いになるだろう」と指摘している。
仏ニュースサイト『ランテルノート』によると、ル・ペン候補は、特に移民問題でフランス国民を優先する政策を展開していきたいと訴えている。例えば、フランスでの滞在権を獲得した外国人が残りの家族をフランスに呼び寄せることが出来るという権利の廃止、出生地主義の廃止、帰化の厳格化、亡命申請を海外のみで処理など、いくつかの施策を提案している。また、社会扶助の利用を少なくとも5年間の就労を条件とすることを目指している。社会住宅や雇用へのアクセスについても市民権を持つ国民を優先させ、過去12ヶ月間働いていない外国人に対する滞在許可を廃止、そして、不法移民や外国人犯罪者を「組織的に」追放することも望んでいる。
新型コロナウイルスに関しては、「停職になったワクチン未接種の医療従事者をすべて復帰させる」と宣言している。また、ワクチンパスポートは「個人の自由を侵害する」ものだと述べており、子供のワクチン接種や強制接種に反対していることを明らかにしている。
欧州政策に関しては、2017年のようにEU離脱を望まなくなった一方で、「国家で構成されたヨーロッパ」を擁護し、EUを「元の場所に戻す」とし、欧州法に対する各国の憲法の優位性を確立したいと述べている。
購買力に関しては、エネルギーの付加価値税を20%から5.5%に下げ、雇用者負担を免除して給与を10%上げることを認め、高速道路会社を再国有化し、公共放送を民営化したいと考えている。
仏日刊紙『ルモンド』は、4月24日は、「経営者と退職者のフランスvs従業員と労働者のフランス、都市vs周辺部、欧州統合vs国家主権」の国民による選択になると伝えている。
閉じる