日本:ミサイルのJ-アラートシステムの不調が政治論争の的になる
フランスの
『ルモンド紙』は、北朝鮮のミサイル発射の後に日本国民に送られたメッセージ(J-アラート) が住民に対して科せられた実際の危険性を反映していなかったことを受け、多くの国民はJ-アラートの使い道や、真の目的について疑問を投げかけていると報じている。
10月8日、北朝鮮は、最近頻繁にミサイル発射を通常の自衛のための訓練と呼んで行っているが、他方、朝鮮半島周辺では米国と韓国の間の海上軍事演習を繰り広げている。日本では、北朝鮮のミサイルに対するJ-アラートシステムが誤作動していることや、政府による使用方法に疑問が投げかけられている。
岸田首相は10月7日金曜日、国会で野党側からの質問に答えて、「問題をとても真剣に受け止めている。誤作動の再発防止に最大限に努力する。...
全部読む
10月8日、北朝鮮は、最近頻繁にミサイル発射を通常の自衛のための訓練と呼んで行っているが、他方、朝鮮半島周辺では米国と韓国の間の海上軍事演習を繰り広げている。日本では、北朝鮮のミサイルに対するJ-アラートシステムが誤作動していることや、政府による使用方法に疑問が投げかけられている。
岸田首相は10月7日金曜日、国会で野党側からの質問に答えて、「問題をとても真剣に受け止めている。誤作動の再発防止に最大限に努力する。」と答えた。なお、それ以前に松野官房長官が「不要な不安を生じたこと」に対して陳謝している。
ところでJ-アラート、国民に対してミサイル発射などの緊急状態を事前に知らせる全国瞬時警報システムで、2007年に消防庁で開発整備された。衛星通信を利用しており、地震や津波やテロリスト攻撃に対する警報を目的としていた。最近は、北朝鮮のミサイルが日本の領海に侵入した場合や日本上空を通過した場合にもJ-アラートが発せられる。
10月4日は北朝鮮の中距離弾道ミサイルが日本上空を通過してJ-アラートが各地域に発せられた。しかし、J-アラートは調整が不充分であったようで太平洋の東京都の離島住民の携帯にもメッセージが送られたという。
10月4日のJ-アラートのメッセージは、ミサイル発射後数分してから発せられたことと、970km上空のミサイル通過は日本にとって脅威ではないのに発せられたこと、および避難場所の指定されている9.4万箇所の1.4%のみしか避難にふさわしい地下室を所有していないことなどの問題が浮き彫りになった。
『ルモンド紙』は、J-アラートの使い道を疑問視する声が出ている多くでているが、このメッセージを出すことで政府としては、国民の恐怖を煽り、国防予算を増やすように世論を誘導しているのではないかという意見も紹介している。
閉じる
ロシア版ダボス会議、フランスメディアが参加者の本音を報道
ロシアで開催されるロシア版ダボス会議とも呼ばれるサンクトペテルブルク国際経済フォーラムが、6月18日に終了した。ウクライナ戦争で欧米諸国がボイコットする中、フランスのメディアは参加者たちの本音を報じている。
仏
『ルモンド』紙によると、フォーラム最終日に登場したプーチン大統領は、「ロシアに対する経済制裁は失敗した」と繰り返し述べ、「ビジネス関係の破壊、欧米企業の強制撤退、国家資産の凍結、産業と金融への打撃によるロシア経済の崩壊は起こっていない。経済状況は一歩一歩正常化にすすんでいる。」と強調した。
大統領は、ウクライナでの「特別軍事作戦」後の欧米からの制裁は、特に供給、物流、特定の技術へのアクセスという点で多大な影響を与えていることを認めながらも、「これは生産、科学の面で我々の潜在能力を完全に実現し、主権を拡大するための刺激である。...
全部読む
仏
『ルモンド』紙によると、フォーラム最終日に登場したプーチン大統領は、「ロシアに対する経済制裁は失敗した」と繰り返し述べ、「ビジネス関係の破壊、欧米企業の強制撤退、国家資産の凍結、産業と金融への打撃によるロシア経済の崩壊は起こっていない。経済状況は一歩一歩正常化にすすんでいる。」と強調した。
大統領は、ウクライナでの「特別軍事作戦」後の欧米からの制裁は、特に供給、物流、特定の技術へのアクセスという点で多大な影響を与えていることを認めながらも、「これは生産、科学の面で我々の潜在能力を完全に実現し、主権を拡大するための刺激である。私たちはそれを望んでいる人々、つまり世界の人口の大多数との関係を強化するのです。」と語った。
仏『レゼコー』紙によると、大統領の強気の演説に対して、フォーラムに参加した一人は、「プーチンの言うことを信じている人は1%にも満たない」と、大統領の演説を放映する巨大スクリーンの前で述べたと伝えている。同紙は、日中は公開討論会、夜はパーティー、近代的なブースが多く並ぶ、今年のこの「国際」フォーラムは、違和感を覚えるとも指摘。欧米人はほとんど見かけることなく、アフリカ、中国、エジプト、そしてタリバンの関係者などが主賓として参加した。
なお、プーチン大統領と主要な国際投資家との会談は中止された。ロシアとヨーロッパのこれまでの産業協力の立役者の一人であるセルゲイ・クラシニルコフ氏は、「今年は主要な投資家がフォーラムに参加しなかったからだ。残念ながら、この状態は今後も長く続くと思われる」と語った。ロシアのある大手企業グループの社長は、「我々は孤立しているのではなく、世界システムから切り離されている。古いつながりが消えていく中、新しいつながりをつくることに苦労している」と述べた。
フォーラムに参加したロシアの著名な国際関係専門家フィオドール・ルキアーノフ氏は、プーチン大統領がカザフスタンのトカエフ大統領と、ビデオ映像でエジプトのアッシーシー大統領、そして中国の習近平国家主席の3名だけと対談を行ったことに対して、「プーチンは孤独だ、いずれにしても、自らをピョートル大帝になぞらえ、もはや相手など必要ないという印象を与えている」と懸念を表明した。
あるロシア人の社長は、「今日は、実はほとんどロシア人同士なのです」と冗談を述べ、「内心、遠回しに(侵攻を)批判しています。しかし、一言でも余計なことを言えば、国外亡命への片道航空券を受け取ることになるのです。」と語った。冶金コンビナートの経営者は、10年前からフランスの企業と組んで仕事をしているものの、フランス企業が離れることになれば、質が下がる中国企業と組むしかないと述べた。
仏ラジオ局『RFI』によると、ロシア当局が欧米の経済制裁でより大きな被害を受けているのは、欧米自身だと主張していることに対して、経済フォーラムに参加したロシア連邦中央銀行総裁のエルビラ・ナビウリナは、プーチンの側近たちが提示するよりもはるかに暗い現状を描いた。総裁は、物価が18%近く上昇したインフレを指摘し、GDPの落ち込みに懸念を示した。ロシア政府がGDP5%減と発表しているのに反して、総裁は1年間で10%減になると予測している。また、ロシア経済が石油とガスに依存しすぎていることにも懸念を示した。
閉じる
その他の最新記事