欧州諸国、労働力不足に直面(2022/02/17)
新型コロナウイルスのパンデミックから経済回復の兆しを見せ始めているEUでは、失業率が6.4%まで低下しており、多くの企業が採用難に直面している。
仏紙
『ルモンド』によると、欧州連合(EU)では、労働力不足が叫ばれている。長年高い失業率に苦しんできた南部諸国でも、2021年12月時点でユーロ圏の労働力人口の7%と、少なくとも単一通貨誕生以来の最も低い水準となった。EU全体では6.4%となっている。
こうした背景には、ロックダウン政策による不況を緩和するための政府の支援のおかげで、パンデミックが当初心配されたような深刻な打撃をもたらさなかったことがあげられる。...
全部読む
仏紙
『ルモンド』によると、欧州連合(EU)では、労働力不足が叫ばれている。長年高い失業率に苦しんできた南部諸国でも、2021年12月時点でユーロ圏の労働力人口の7%と、少なくとも単一通貨誕生以来の最も低い水準となった。EU全体では6.4%となっている。
こうした背景には、ロックダウン政策による不況を緩和するための政府の支援のおかげで、パンデミックが当初心配されたような深刻な打撃をもたらさなかったことがあげられる。経済が回復するにつれ、2021年第3四半期の求人倍率は2.4%に達し、過去10年間の平均のほぼ2倍になった。ベルギー、オランダ、チェコでは、さらにその2倍を記録している。チェコは今、ウクライナやスペイン、さらにはフィリピンから労働者を呼び寄せ、人手不足を補おうとしている。
当初、労働力不足は、キャリアアップの見込みが立たない人々が、失望して労働市場から撤退したと思われていたが、そうではなかったことが分かってきた。欧州では、米国で見られたような「大量辞職」現象は起こっていない。実際、欧州の雇用率は2021年第3四半期に69.3%と、米国の62%に比べて、パンデミック前の水準に戻ってきている。欧州の労働市場は確実に良くなってきている。
ただし、国によってその様相は大きく異なっている。欧州北部の国々は完全雇用に近づいているのに対し、南部の諸国はまだ遠い。雇用率はドイツが77%であるのに対し、フランスは68%、スペインは64%、イタリアとギリシャは60%にとどまっている。このような状況に対処するため、企業も政府も、従業員、特に有能な人材を集めるための戦略を次々と打ち出している。
仏公共ラジオ放送局『RFI』は、EUでの労働力不足は長期的な問題であると指摘している。最新の研究によると、2050年までにヨーロッパでは労働者が9500万人減少し、大幅な人手不足に陥ることが予想されているという。特に情報技術や通信など、一部の分野ではすでに人手不足が顕著になり始めている。この人手不足に対応するため、アフリカ大陸で採用活動を行う取り組みが盛んに行われ始めているという。例えばリトアニアでは、ナイジェリアからの人材を採用するためのプログラムが実施されている。
IT系のスペシャリストが不足しているリトアニアでは、技術系の人材が豊富なナイジェリアからの優秀な社員を呼び寄せている。コンピューターソフトウェア開発会社「テレソフタス」の人事部長を務めるガビヤ・サルキテ氏は、「プログラミングは経験が必要なものであり、需要に対して供給が伸びていない。ナイジェリアには、優秀な人材を選ぶことができる巨大な人材プールがあり、採用することで、企業が大きく成長した。」と話している。
OECD開発センターの移民・技能部門の責任者であるジェイソン・ギャニオン氏は、ヨーロッパへの外国人労働者の助けは必要不可欠だと断言している。「労働力不足は予測されている。欧州委員会が作成した報告書では、欧州で不足する主な28の職業が明らかになった。アフリカは需要のある分野で最新技術を教えることに力を入れている。アフリカからの人材の供給が期待できる」と述べている。
閉じる
フランス下院、中国によるウイグル人の大虐殺を認定(2022/01/21)
北京冬季オリンピックの開幕を数日後に控え、フランス国民議会(下院)は20日、中国によるウイグル人の「大量虐殺」を非難する決議を採択した。
仏紙
『ルモンド』によると、フランス国民議会は、中国の共産主義政権によって迫害されている新疆ウイグル自治区のイスラム系少数民族、ウイグル族の「大量虐殺」を非難する、野党社会党による決議を169票対1票で採択した。
ヨーロッパでは、2021年のうちにすでに5つの議会(ベルギー、オランダ、チェコ、リトアニア、イギリス)で、このような文章が採決されている。カナダ下院は昨年2月に、野党保守党が提出した同様の動議を可決した。...
全部読む
仏紙
『ルモンド』によると、フランス国民議会は、中国の共産主義政権によって迫害されている新疆ウイグル自治区のイスラム系少数民族、ウイグル族の「大量虐殺」を非難する、野党社会党による決議を169票対1票で採択した。
ヨーロッパでは、2021年のうちにすでに5つの議会(ベルギー、オランダ、チェコ、リトアニア、イギリス)で、このような文章が採決されている。カナダ下院は昨年2月に、野党保守党が提出した同様の動議を可決した。ただし、採決の際、トルドー政権の与党自由党の閣僚たちは棄権した。一方米国では、政府がウイグル人権侵害はジェノサイド(大量虐殺)であることを認定している。
強制労働、広範囲にわたる監視、拷問、性的暴力、組織的レイプ、集団抑留、強制不妊政策、中国化、ウイグル文化・アイデンティティの根絶、子供の家族からの引き離し。決議文はこうした犯罪は、「現在広く文書化されており(中略)、ウイグル人のアイデンティティ、コミュニティの絆、親子関係、世代間の絆を破壊し、より一般的には、生物学的にも、ウイグル人そのものを破壊しようとする意図を示すものである」と述べている。「中国国家によって練られ、計画された、この極端で組織的な政治的暴力は、大量虐殺を構成するものである。」と結論付けている。
なお、フランス国家はこの認定には関与しておらず、仏『ル・フィガロ』は、この決議には拘束力はないものの、北京での冬季オリンピック開幕を2週間後に控えた象徴的な重要性を持っていると伝えている。
この提案は大多数の議員の支持を得た一方で、左派である「不服従のフランス」党の4人の議員と共産党議員1人が投票を棄権した。「不服従のフランス」党が棄権したことに対して、「(党首の)ジャン=リュック・メランションは中国共産党とつながっている」ため「投票しなかったことは驚くべきことではない」という声があがっている。
なお、170人の議員のうち、反対票を投じたのは、与党「共和国前進」党の議員で、中国系カンボジア人をルーツとしているブオン・タン氏1人だけであった。
閉じる
その他の最新記事