米軍;新型コロナウィルス問題の隙に中国による南シナ海覇権は許さじと強硬姿勢【米メディア】
5月15日付
『CNNニュース』:「米軍、トランプ政権によるCOVID-19問題での中国対峙が高まるのに呼応して南シナ海での中国監視活動活発化」
米国はここへきて、南シナ海における中国の活動を監視する体制を強化してきている。
これまでも米軍は、中国が、COVID-19問題の隙をついて、南シナ海周辺国への圧力を高めていると糾弾してきたが、直近二、三週間で、同海域への軍艦派遣の頻度を上げている。...
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5月15日付
『CNNニュース』:「米軍、トランプ政権によるCOVID-19問題での中国対峙が高まるのに呼応して南シナ海での中国監視活動活発化」
米国はここへきて、南シナ海における中国の活動を監視する体制を強化してきている。
これまでも米軍は、中国が、COVID-19問題の隙をついて、南シナ海周辺国への圧力を高めていると糾弾してきたが、直近二、三週間で、同海域への軍艦派遣の頻度を上げている。
これは、ドナルド・トランプ大統領及びマイク・ポンペオ国務長官が異口同音に、COVID-19感染初期段階での中国の失政と、依然詳細情報開示を果たそうとしていないとして、中国側を攻め立てていることに呼応する動きである。
そして、米国防総省が強調しようとしていることは、COVID-19感染問題によって、中国監視活動体制が影響を受けていないことを示すことである。
そこで最優先課題として挙げられるのが、乗組員にCOVID-19感染が発覚して、グアム基地で待機を余儀なくさせられている原子力空母“セオドア・ルーズベルト”を、5月末までに南シナ海に再配備することである。
そうした背景の下、5月11日には、米インド太平洋軍報道官のマイケル・カフカ大佐が改めて、“中国政府は、COVID-19感染問題の隙をついて、南シナ海域での利権増強を企んでいる”と非難する発言をした。
そして、米空軍地球規模攻撃軍団のティモシー・レイ司令官も、“COVID-19感染問題が続こうとも、いつでもどこでも攻撃体制が取れる”として、直近も南シナ海にB-1超音速戦略爆撃機を3度にわたり派遣している。
米軍は最近、2004年からグアム基地に配備していた爆撃機を米本土に引き上げることを決めているが、今回の同海域派遣についても、適時にテキサス州のダイエス空軍基地から当該爆撃機4機を派遣する体制を敷いている。
更に、5月13日には、米太平洋軍が、同海域に展開する全潜水艦に対して、“COVID-19問題が続く中でも、インド太平洋地域の自由で開かれた航行を確保”する行動を取るよう異例の作戦指示を出した。
その上で、国防総省報道官のディブ・イーストバーン中佐は『CNN』のインタビューに答えて、“世界がCOVID-19感染対策に注力している最中、中国政府が南シナ海周辺国に対して違法な中国側海洋権主張を押し付けようとしていることは看過できない”と表明し、マーク・エスパー長官の対中国強硬施策継続につき説明している。
なお、直近で取られた、その他の米軍の示威行動は以下がある。
・5月13日、ミサイル駆逐艦“マッキャンベル”が台湾海峡を横断航行。
・5月初め、南シナ海南端のマレーシア沖に軍艦を立て続けに2度派遣。中国の海洋資源探査船“海洋地質(ハイアンジーチー)8号”が中国海警・武装漁船10隻を従えて、4月半ばよりマレーシア国営企業ペトロナスの石油探査リグ周辺海域に居座って、同社操業を間接的に妨害していることから、この牽制のため。
・4月末、複数の軍艦をスプラトリー(南沙)諸島及びパラセル(西沙)諸島海域に派遣し、中国建設の人工島の軍事拠点化を牽制。
一方、同日付『ラジオ・フリー・アジア』(米議会出資の短波放送局):「中国海洋探査船、マレーシア側への示威行動を終えてマレーシア沖から撤収」
中国海洋資源探査船“海洋地質8号”が5月15日、4月中旬より居座っていたマレーシア沖から撤収した。
同海域では、ペトロナスから業務委託を受けていた海洋資源掘削船“ウェスト・キャペラ(WC、2008年建造、パナマ船籍)”が資源掘削作業をしていたが、当初の操業工程を終了し、5月12日に同海域から移動してブルネイ湾の母港に戻っている。
本船“WC”は、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)内で作業をしていたが、中国の“海洋地質8号”は、中国が主張する領海内での石油探査操業を停止するよう求めて、マレーシア側に圧力をかけるため1ヵ月程現地に居座っていた。
なお、5月15日当日、マレーシアと中国の国防相が電話会談し、“南シナ海を含めた海域での両国権益及び国際安全保障”について協議しており、これを契機として中国海洋探査船がマレーシア沖から去ったとみられる。
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武漢市住民、習国家主席来訪時に当局から銃を突き付けられて直談判できず【米・英国メディア】
習近平(シー・チンピン)国家主席は3月10日、新型コロナウィルス発生地の湖北省武漢市(ウーハン)を初めて訪問した。感染の勢いが弱まり、中央政府の抑制策の効果が上がったことを示す狙いがあったとみられるが、実際は、同市の住民は武装した公安部隊に脅されて自宅待機を余儀なくされ、不満や実情を同主席に直接訴えることを阻止されたとソーシャルメディアに投稿している。一方、初期対応の失態を糊塗しようとしている中央政府に対して、公に批判する医師が声を上げ始めている。
3月11日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「武漢市民、習国家主席の来訪時に銃で脅され直談判許されず」
習近平国家主席は3月10日、新型コロナウィルス発生地の武漢市を初めて訪問した。
しかし、現地報道によると、同主席は武装した公安部隊に守られ、一般市民は近づけない状態であったという。
すなわち、先週同地を訪れた孫春蘭(ソン・チュンラン)副首相に対して、武漢市民から実情や不満の声が浴びせられたことから、強い指導者としての同主席の威信堅持のためにも、同様の事態を避ける必要があったとみられる。...
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3月11日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「武漢市民、習国家主席の来訪時に銃で脅され直談判許されず」
習近平国家主席は3月10日、新型コロナウィルス発生地の武漢市を初めて訪問した。
しかし、現地報道によると、同主席は武装した公安部隊に守られ、一般市民は近づけない状態であったという。
すなわち、先週同地を訪れた孫春蘭(ソン・チュンラン)副首相に対して、武漢市民から実情や不満の声が浴びせられたことから、強い指導者としての同主席の威信堅持のためにも、同様の事態を避ける必要があったとみられる。
『ラジオ・フリー・アジア(RFA、米議会出資のラジオ短波放送)』が、“中央政府の成果とプロパガンダを示すための習氏訪問”と報じたとおり、ある武漢市民は、ソーシャルメディアに“安全となってから訪問、しかも病院や医療従事者、現地派遣の人民解放軍兵士達への賞賛だけ”との苦情を投稿している。
また、別の市民も、“主席訪問中、住民は自宅待機を命じられ、更に窓も閉じるよう言われ、数メートルおきに歩哨が立ち、同主席訪問先には常に武装警官が警備していた”と実情を明かしている。
習主席は現地で、“初期の対応が奏功し、湖北省及び武漢市の感染状況改善につながった”と称賛していたが、中国国営メディアも、“感染を抑え込んだ中国政府の対応が、国内のみならず世界に対して強いアピールとなる”と褒め称えている。
これに対して『RFA』はある教師のコメントを引用して、“習主席は、抑制が効いた頃に武漢にやってきて、「収穫した(pick peaches)」だけ(おいしい果実を摘んだだけ)”であり、“武漢市の多くの市民が犠牲になったことを忘れている”との非難の声を報道した。
“pick peaches”という言葉は瞬く間に武漢市に知れ渡った。
何故なら、その言葉が、習主席の見せかけの態度や、同主席を中国の貴重な寓話の主人公である孫悟空になぞらえる冷めた見方を象徴するからである。
すなわち、孫悟空は昔、天から桃を盗む罪を犯しており、これは、古代ギリシャ神話に登場する、神ゼウスから火を盗み出したプロメテウスの逸話に相当する。
習主席がこのような逸話の人物(猿人間)に例えられるのは、同指導部が、新型コロナウィルスへの初期対応の失敗を糊塗しようとしているからである。
現在判明しているところでは、昨年12月末、当局がまだ新型コロナウィルス問題の深刻さを把握していないとき、“重症急性呼吸器症候群(SARS)のような重大な疾患の恐れ”と警鐘を鳴らした李文亮(リー・ウェンリャン)医師らに対して、当局が“デマを流した”として同医師らを処罰していた。
しかし、後に習指導部は、同医師らを勇気ある行動と称賛する声明文を発表して、先の失態を覆い隠す、あるいは地方政府の失態に転嫁するような対応を取っている。
同日付英国『ザ・ガーディアン』紙:「武漢市の医師が当局批判の声を上げる」
武漢市中央病院救急医療部の曖分(アイ・フェン)部長が、中国誌『人物』のインタビューに答えて、“同病院上層部のけん責を恐れず、もっと早くに新型コロナウィルスの深刻さを世の中に発信すべきだった”と後悔する発言をした。
同医師は、昨年12月30日に同病院に担ぎ込まれた患者の検体より、“SARSに似たウィルス”を発見して、医師仲間に写真とともに送付したところ、同日夜になって、同病院上層部から情報配信を止めるよう注意され、2日後には、同病院規律審査委員会委員長から呼び出され、“デマを流し”かつ“世間を騒がせた”としてけん責されたという。
同医師がコンタクトした中には、李文亮医師(2月初めに新型コロナウィルスで死亡)もおり、李医師らは公安当局から“デマを流した”として処分されている。
同病院では、李医師含めて4人が既に新型コロナウィルスの犠牲になっており、曖部長も自責の念に駆られて、習主席が武漢市を訪問するとの話を聞いて、経緯を打ち明ける決意をしたとする。
だが、3月10日以降、同部長のインタビュー記事はどのソーシャルメディアからも削除され、また、『人物』誌も当該記事を削除している。
更に、同部長は現在、電話連絡が取れない状態になっている。
ただ、同記事を読んだインターネット・ユーザーが、素早く同記事を別に保存し、当局の検閲にかからないようにブロックをかけている。
なお、中央政府が新型コロナウィルスの“ヒトからヒト”への感染を認めたのは1月21日で、その時には既に1日だけで感染者が1,523人にも上る程感染拡大の状態(通常のウィルス感染の3倍)となってしまっていた。
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