ドゥテルテ比大統領他十数名の首脳来日も、新天皇謁見できるのはトランプ大統領のみ【米・フィリピンメディア】(2019/05/29)
安倍晋三首相が仕掛けた、ドナルド・トランプ大統領訪問による狂想曲は終わった。同大統領が帰国後、“日本は素晴らしい”とツイートしたことから、新天皇皇后両陛下の謁見含めて、ひとまず“成果”があったものとみられる。しかし、同大統領と入れ替わるように来日した、ロドリゴ・ドゥテルテ比大統領他十数名の首脳は、新天皇謁見はできない。大手新聞社主催の国際会議出席のための来日であって、同大統領のように“国賓”待遇ではなかったことから、駐日フィリピン大使も、日本の“プロトコール(注1後記)”上の扱いに理解を示している。
5月28日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「ドゥテルテ比大統領、日本側と南シナ海問題につき協議」
駐日フィリピン大使のホセ・ラウレル5世氏は5月28日、当日の晩に来日するロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、新天皇・皇后陛下に謁見できないことを了解していると表明した。
同大統領は、日本経済新聞社が主催する「第25回国際交流会議/アジアの未来(注2後記)」に出席するため来日する。...
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5月28日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「ドゥテルテ比大統領、日本側と南シナ海問題につき協議」
駐日フィリピン大使のホセ・ラウレル5世氏は5月28日、当日の晩に来日するロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、新天皇・皇后陛下に謁見できないことを了解していると表明した。
同大統領は、日本経済新聞社が主催する「第25回国際交流会議/アジアの未来(注2後記)」に出席するため来日する。
同会議には、マレーシア、バングラデシュ、カンボジア、ラオス等12ヵ国の首脳や高官が出席するが、ドゥテルテ大統領同様、新天皇謁見はできない。
同大使は、日本が伝統を重んじる国で、今回は米国大統領のみに新天皇謁見を認める“プロトコール”としたことについて理解を示している。
一方、同大使は、ドゥテルテ大統領が安倍晋三首相と会談するとして、日本側が関心の深い南シナ海問題について協議することになると言及した。要旨は以下のとおり;
①貿易立国である日本は、諸外国との交易のため、多くの貿易船を就航させる必要があり、特に南シナ海は、アジア、中東、アフリカ、更に欧州ルート上重要な海域となっている。
②従って、日本側としては、ドゥテルテ政権になって、これまでの親米政策から親中政策に転換していることを非常に懸念していることから、同大統領との協力関係強化が必須と考えているとみられる。
③なお、日本側にとって、国際社会から種々批評のあるドゥテルテ大統領は、“物議を醸すリーダー”というより、むしろ“特異、かつ、関心のあるリーダー”とみている。何故なら、同大統領の国内支持率は依然堅調で、5月の総選挙でも大勝利を収めているからである。
しかし、同大使と違って、ある評論家らは、ドゥテルテ大統領が、過日の選挙戦勝利を契機に、これまで以上に脱日米、親中政策に拍車を掛けるのではないかと懸念している。
5月29日付フィリピン『ザ・マニラ・ブルティン』紙:「ドゥテルテ大統領、4日間滞在予定の日本に到着」
ドゥテルテ大統領は5月28日晩、羽田国際空港に到着し、日本側関係者の歓迎を受けた。
2016年の就任以来3度目の訪日となるが、同大統領の主目的は、5月31日の「第25回国際交流会議/アジアの未来」で基調講演を行うこと、更に、安倍首相と首脳会談を行うことである。
前者において、同大統領は、アジアの将来におけるフィリピンの役割等に言及し、また、後者においては、両国間の安全保障、貿易、インフラ投資等のみならず、北朝鮮の非核化、更には南シナ海領有権問題について協議する予定である。
(注1)プロトコール:国家間の儀礼上のルールであり、外交を推進するための潤滑油。また、国際的・公式な場で主催者側が示すルールを指すこともある。この精神は、国の大小に関係なくすべて平等に扱うことや、誰もが納得するルールに従うことで、無用の誤解を避け、真の理解を促進するための環境作りである。
(注2)国際交流会議/アジアの未来:アジア大洋州地域の各界のリーダーらが、域内のさまざまな問題や世界の中でのアジアの役割などについて率直に意見を交換し合う国際会議。日本経済新聞主催で1995年から毎年開催。今回は25回目で、5月30・31日に開かれる。
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フィリピン;ついに公式に国際刑事裁判所から脱退【米・フィリピンメディア】(2019/03/18)
ロドリゴ・ドゥテルテ比大統領は、自身が最優先に取り組んでいる麻薬犯罪撲滅政策について、内外から超法規的殺人を容認していると責められてきたが、全く聞き入れようとしなかった。あろうことか、大殺戮に伴う人権侵害を捜査するとした国際刑事裁判所(ICC、注後記)に対しても、一向に怯むことなく、むしろ同組織締約国グループから脱退するとまで宣言していた。そしてこの程、フィリピン最高裁が同大統領の決定を差し止めるよう求めていた人権団体からの申し立てを却下したことから、フィリピンが正式にICCから脱退することになった。親中路線をいく政権下では、司法もいよいよ中国化していく模様である。
3月17日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「フィリピン、公式にICCから脱退」
フィリピン政府は1年前、ロドリゴ・ドゥテルテ政権の麻薬撲滅政策に伴う超法規的殺人について捜査するとしたICCの発表を不服として、同組織締約国グループから脱退すると宣言していた。
これに対して、人権団体はフィリピン最高裁に、同大統領の決定を差し止めるよう申し立てていたが、この程最高裁は、同申し立てを却下する判断を下した。...
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3月17日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「フィリピン、公式にICCから脱退」
フィリピン政府は1年前、ロドリゴ・ドゥテルテ政権の麻薬撲滅政策に伴う超法規的殺人について捜査するとしたICCの発表を不服として、同組織締約国グループから脱退すると宣言していた。
これに対して、人権団体はフィリピン最高裁に、同大統領の決定を差し止めるよう申し立てていたが、この程最高裁は、同申し立てを却下する判断を下した。
この決定に基づき同政府は3月17日、公式にICCから脱退することになった。これは、2017年に脱退したブルンジ(1962年にベルギーから独立した東アフリカの国)に続いて2ヵ国目である。
最高裁に申し立てていた人権団体代表のロメル・バガレス弁護士は、この司法判断の結果、“フィリピンで長く行われてきた刑事免責反対運動が大きく後退”することになると嘆いた。
昨年、ICCは、ドゥテルテ大統領及び政府高官・警察組織が、麻薬犯罪撲滅の名の下に大量殺戮を犯している容疑があるとして、捜査に着手すると発表していた。
これに対して同大統領は、フィリピンには十分な司法制度があり、ICCの捜査は不要かつ内政干渉だとした上で、ICC検察局のファトゥ・ベンソーダ主任がもしフィリピンに入国した場合、即刻逮捕するとまで言って脅している。
同大統領が2016年就任以来取り組んできた、麻薬犯罪撲滅政策の結果、5千人以上が麻薬犯罪被疑者として殺害されている。
しかし、人権団体によれば、更に多くの罪のない人たちが、警察や自警団によって無残に殺害されているという。
一方、同大統領は3月14日、新たに46人の“麻薬犯罪関与の政治家”リスト公表し、残りの任期3年の間、もっと多くの麻薬犯罪者を血祭りに上げると発言している。
これに対して国際人権監視団は、当該リストは“紛れもなく殺人予告リスト”で、同大統領の政敵を標的にしたものだと批判した。
同日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「大統領府、“存在価値のない”ICCに復帰することはないと主張」
フィリピン大統領府のサルバドール・パネロ報道官は3月17日、ICCは“全く役に立たない機関”であり、フィリピンが再びメンバーになることはないと表明した。
同報道官はまた、もしICCが麻薬撲滅政策に関わりドゥテルテ大統領を捜査するとするなら、それは明らかに内政干渉であり、断固として拒否すると強調した。
更に、同報道官は、フィリピンには十分な司法制度があり、ICCの助けなど一切不要であるとした。
例えば、昨年11月、麻薬容疑者と間違えて青年を殺害した3人の警官について、きちんと裁判にかけて有罪判決を下しており、最近米国務省がリリースした人権報告書においても評価されているとも付言した。
(注)ICC:1998年に国際連合全権外交使節会議において採択され、2002年に発効した「国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ規程」(以下「ローマ規程」)に基づき、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪(集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪及び侵略犯罪)を犯した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰するための常設の国際刑事裁判機関。ICCは、各国の国内刑事司法制度を補完するもので、国家間の紛争について裁判を担う国際司法裁判所(国連の主要機関のひとつ)とは別の独立した組織。締約国:123ヵ国。
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