フィリピン大統領、脱中・親米路線に舵を切ったことからアジア盟友の日本へ更に歩み寄り【フィリピンメディア】
岸田文雄首相(66歳、2021年就任)は12月17日、東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)との交流50周年を記念してASEAN首脳とのサミットを開催する。この機会に再来日するフェルディナンド・マルコスJr.大統領(66歳、2022年就任)は、親米・中国対峙路線に舵を切っていることもあって、日本との関係強化とともに日本からの更なる経済支援を直訴する意向である。
12月11日付
『マニラ・ブルティン』紙(1900年創刊の英字紙)、
『ラップラー』オンラインニュース(2012年配信開始)等は、再来日するフェルディナンド・マルコスJr.大統領が、岸田文雄首相との会談で、益々の経済協力強化を訴える意向だと報じている。
岸田文雄首相は12月17日、ASEANとの交流50周年を記念して東京でサミットを主催する。
この機会を捉えて、フェルディナンド・マルコスJr.大統領が、12月15~18日の間、今年2月初めの初訪問以来2度目の訪日をして、同首相との首脳会談を行う。...
全部読む
12月11日付
『マニラ・ブルティン』紙(1900年創刊の英字紙)、
『ラップラー』オンラインニュース(2012年配信開始)等は、再来日するフェルディナンド・マルコスJr.大統領が、岸田文雄首相との会談で、益々の経済協力強化を訴える意向だと報じている。
岸田文雄首相は12月17日、ASEANとの交流50周年を記念して東京でサミットを主催する。
この機会を捉えて、フェルディナンド・マルコスJr.大統領が、12月15~18日の間、今年2月初めの初訪問以来2度目の訪日をして、同首相との首脳会談を行う。
外務省のダニエル・エスピリトゥ次官補(2021年就任)が12月11日の記者会見で、同大統領が日本・ASEANサミット出席のため日本を再訪し、同首相との会談に加えて、天皇・皇后両陛下にも謁見すると発表した。
同次官補は、“今年2月の初訪日で、日本側と締結した経済協力に基づく進捗状況の確認に加えて、気候変動対策、人的交流等更なる協力関係の構築が重要なテーマとなる”とする。
なお、同大統領は、滞在最終日の12月18日、日本の財界人代表らと面談し、今年2月に締結した経済協力協定に基づく投資促進状況について確認していく意向である。
また、同日に開催される、日本・豪州・ASEAN間でエネルギー政策・気候変動問題について協議する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC、注後記)」サミットにも出席する。
一方、日本・ASEANサミットでは、東・南シナ海領有権、ミャンマー、北朝鮮問題等、ASEANにとっても深く関わる国際情勢について協議されることになるとする。
(注)AZEC:エネルギーを取り巻く国際的な環境が変化する中、アジアの国々がエネルギーの安定供給や、持続的な経済成長、気候変動対策に同時に対応していくためには、各国の事情に即したエネルギー転換政策を進めることが重要であることから、2022年1月に岸田首相が本組織の立ち上げを推奨。2023年3月、アジア各国が脱炭素化を進めるとの理念を共有し、エネルギー転換政策を進めるために協力することを目的としてAZECエネルギー担当閣僚会議を日本で開催。
閉じる
中国、フィリピンのマルコス政権に対して台湾問題に口を挟まないよう警告【米・フィリピンメディア】
フェルディナンド・マルコスJr.大統領(65歳、2022年就任)は、前大統領程あからさまな嫌米・親中政策を示さないばかりか、むしろ米比軍の共同軍事演習「バリカタン(注1後記)」を最大規模で実施する程、親米に舵を切ろうとしている。そこで、中国としては、台湾問題に何かと内政干渉してくる米国を警戒して、フィリピン政権に対して、台湾問題に余計な口を挟まないよう強く警告している。
4月17日付米
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース(2009年設立)、フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙(1900年創刊の英字紙)等は、中国が、フィリピン政権が従来より親米政策を強化していることを懸念して、フィリピンに対して、台湾問題に口を挟まないよう警告したと報じている。
駐フィリピンの黄渓連大使(ファン・シーリアン、55歳、2019年就任)は4月14日、フィリピン政府に対して、同政府が米軍のフィリピン軍基地への追加アクセスを認める決定をしたことを問題視するも、それ以上に、これを契機に(米国の指図で)台湾問題に関与してくることは“絶対に認めない”と警告した。...
全部読む
4月17日付米
『ユーラシア・レビュー』オンラインニュース(2009年設立)、フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙(1900年創刊の英字紙)等は、中国が、フィリピン政権が従来より親米政策を強化していることを懸念して、フィリピンに対して、台湾問題に口を挟まないよう警告したと報じている。
駐フィリピンの黄渓連大使(ファン・シーリアン、55歳、2019年就任)は4月14日、フィリピン政府に対して、同政府が米軍のフィリピン軍基地への追加アクセスを認める決定をしたことを問題視するも、それ以上に、これを契機に(米国の指図で)台湾問題に関与してくることは“絶対に認めない”と警告した。
同大使が、在フィリピン中国大使館と中比相互理解協会(APCU、1974年設立)が共同で開催した第9回中比連携フォーラムに出席して発言したもので、台湾統一のためには戦争も厭わないことも改めて強調した。
同大使は、フィリピン南部ミンダナオ島での「モロ紛争(注2後記)」を例に挙げて、“フィリピンがミンダナオ問題で第三国の介入を認めなかったのと同様、中国は台湾問題に他国がとやかく言うことを決して容認しない”とも言及している。
同大使がかかる警告を発したのは、米比両政府が今月初め、1999年締結の「訪問軍協定(VFA、注3後記)」を補完する形で成立した「防衛協力強化協定(EDCA)」に基づき、米軍に追加で4つのフィリピン軍基地へのアクセスを認めていたことが原因と考えられる。
そのうちの3つが、台湾至近のフィリピン北部のフィリピン軍基地であり、もう1つが、中比間で領有権問題となっている南シナ海至近のパラワン島在の基地であるからである。
更に同大使を驚愕させたのは、米比両軍が、2023年バリカタン軍事演習をこれまでの最大規模で4月11~28日の間に実施しているからである。
ただ、中国側懸念を予測したかのように、フェルディナンド・マルコスJr.大統領は4月10日、EDCAに基づき米軍に対して追加でフィリピン軍基地へのアクセスを認めたが、決して軍事行動を起こすためのものではないと明言している。
すなわち、同大統領は、“中国側の懸念は過度だと言わざるを得ず、フィリピンは基地を如何なる軍事行動にも供させないし、単にフィリピン軍にとって必要となった場合を想定しての協定だ”とした上で、“フィリピンは攻撃されない限り、如何なる軍事行動も起こすつもりはないので、何の心配もないだろう”と発言している。
(注1)バリカタン:フィリピン公用語のタガログ語で“心を一つにして、協同して”の意で、1998年の米軍基地閉鎖を契機に始まった、米比両軍の年次軍事演習の名称。
(注2)モロ紛争:1969年から2019年まで続いたフィリピンのミンダナオ島での反乱。1935年のミンダナオ島およびスールーのフィリピン連邦領土への統合開始時に持続した再定住政策によって生じた周辺化により、1969年までにフィリピン政府とイスラム教徒のモロ族の反政府グループの間で政治的緊張と軍事的行動が勃発したもの。
(注3)VFA:1951年締結の米比相互防衛条約(MDT)に基づき、フィリピン国内で活動する米軍人の法的地位を定めるために1998年に締結された協定。冷戦後の1990年代前半に駐留米軍がフィリピンから撤退して以降、VFAはMDTに基づく合同演習や、2014 年に締結されたEDCAに基づき、米軍によるフィリピン軍基地の利用、そのための施設整備など、米軍の個々の活動を根拠づける重要な協定となっている。
閉じる
その他の最新記事