ドゥテルテ比大統領;今月末の訪中の際に果たして南シナ海領有権問題を習国家主席に持ち出せるか?【米・フィリピンメディア】
既報どおり、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月28日から9月1日の間、訪中の上習近平(シー・チンピン)国家主席と会談する。訪中に先駆けて、フィリピン側では、2016年7月の常設仲裁裁判所(PCA)が下した勝訴判決について、同大統領が同主席との協議議題として持ち出すと期待されていた。しかし、果たしてフィリピン側思惑どおりに話が進むか、メディアは疑いの目を以て注視している。
8月29日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「中国訪問中のドゥテルテ大統領、南シナ海領有権問題を持ち出せるか」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は現在中国を訪問中で、8月29日に習近平国家主席と会談する。
その際、2016年にPCAによって下された、南シナ海領有権問題に関わるフィリピン側勝訴判決について、同年に就任した同大統領が、いよいよ中国側に持ち出すのか注目されている。...
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8月29日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「中国訪問中のドゥテルテ大統領、南シナ海領有権問題を持ち出せるか」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は現在中国を訪問中で、8月29日に習近平国家主席と会談する。
その際、2016年にPCAによって下された、南シナ海領有権問題に関わるフィリピン側勝訴判決について、同年に就任した同大統領が、いよいよ中国側に持ち出すのか注目されている。
これまで同大統領は、南シナ海領有権問題は横に置いて、中国からの多額の経済支援獲得を含めて、両国間関係改善・強化に注力してきた。
同大統領は今年4月、習指導部が推進する一帯一路経済圏構想に関わる関係国首脳会議に出席した際、南シナ海領有権問題について少しだけ言及したという。
しかし、中国側はPCA裁定を全否定しており、中国外交部(省に相当)報道官は先週の定例会見でも、この立場に一切変更はないと表明している。
ただ、同大統領としては、今年6月初め、南シナ海南沙(スプラトリー)諸島内のリード堆海域で、フィリピン漁船が中国船によって沈められた事件が発生していること、また、最近でも、中国の資源調査船や軍艦のフィリピン領海内への無許可侵入が頻繁に発生していることから、国内の突き上げによって中国側に南シナ海領有権問題を持ち出さざるを得ない状況になっている。
なお、両国首脳会談を前に、懸案事項を少しでも減らそうとしてか、沈没事故に関わった中国船が所属する広東省漁業共同組合の組合長が今週、フィリピン側に対して陳謝する意向を伝えている。
同日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「ドゥテルテ大統領、5度目の訪中」
ドゥテルテ大統領は8月28日晩、北京国際空港に到着し、中国外交部の羅照輝(ルォ・チャオフィ)副部長(副大臣に相当)及び在フィリピン趙剣貨(チョウ・チャンホァ)中国大使に出迎えられた。
同大統領にとって、2016年就任以来5度目の訪中となるが、今回はこれまでになく、2016年にPCAが下した南シナ海領有権問題に関わる裁定内容について、どれだけ突っ込んだ議論ができるかに関心が寄せられている。
大統領府のサルバドール・パネロ報道官によれば、両首脳は、両国間の戦略的互恵関係について協議することになるという。
更に、同報道官によれば、ドゥテルテ大統領は今回、南シナ海における中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)間で協議中の行動規範(COC)の具体化、及びフィリピン西沖の同海域の海底資源共同開発について具体的に協議する意向だとしている。
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フィリピン;ドゥテルテ大統領訪中を前に、無許可の外国船のフィリピン領海内侵入に厳しく対応と警告(2)【フィリピン・中国メディア】
8月24日付フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙:「中国の海洋調査船、フィリピン大統領令を無視して無許可で領海内に侵入」
デルフィン・ロレンザーナ国防相は8月23日、中国の海洋調査船“張謇(チャンチアン)”が再び、事前許可なくフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に侵入してきたと発表した。
同船は、太平洋で何かの調査を実施しているようで、通常はEEZ外に留まっているが、何度かEEZ内に侵入してきているという。...
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8月24日付フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙:「中国の海洋調査船、フィリピン大統領令を無視して無許可で領海内に侵入」
デルフィン・ロレンザーナ国防相は8月23日、中国の海洋調査船“張謇(チャンチアン)”が再び、事前許可なくフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に侵入してきたと発表した。
同船は、太平洋で何かの調査を実施しているようで、通常はEEZ外に留まっているが、何度かEEZ内に侵入してきているという。
この模様は、米海軍大学の中国海事研究所ライアン・マーティンソン助教授によって8月22日にリリースされた、衛星写真で明らかにされている。
同船は今年8月6日、同じくマーティンソン助教授のリリースした映像によって、フィリピン東側に現れたことが報告されている。
今週(8月19日の週)初め、大統領府のサルバドール・パネロ報道官は、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、如何なる外国船に対しても同国領海内を航行する場合、事前の許可取得を義務付けるよう警告を出したと発表していた。
ただ、ロレンザーナ国防相は、今回の調査船“張謇”が武装船等を随行していないこと、また、EEZ内に長く留まっていない限り、問題にすることはないかも知れないとしている。
なお、国連海洋法条約(UNCLOS、1994年発効の“海の憲法”)によれば、如何なる船舶も他国の領海を通過するだけならば、事前通知、許可取得は不要だが、領海内を航行中に海洋調査等を実施する場合、当該国の事前許可取得が求められる。
一方、同日付中国『人民日報』(『新華社通信』配信):「習国家主席とドゥテルテ大統領、2019年バスケットボール・ワールドカップ開会式に出席」
中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道局長は8月23日午前、フィリピンのドゥテルテ大統領が、8月28日から9月1日の間、習近平(シー・チンピン)国家主席の招待で訪中する旨発表した。
同じく、耿爽(ガァン・シゥアン)報道副局長は8月23日午後の定例記者会見で、同大統領が滞在中に、8月31日から始まる2019年バスケットボール・ワールドカップ開会式に、習国家主席とともに出席すると発表した。
同報道官は、2016年に同大統領が就任して以降、両国間は以前になく充実した協調関係が構築、継続されていると付言した。
また同報道官は、同大統領の訪中によって、両国間の戦略的パートナーシップが更に発展していくことになろうとも表明した。
なお、当該ワールドカップは、史上最多の32ヵ国が参加して、8月31日から9月15日の間、北京、上海等中国の8都市でそれぞれ競技が行われる。
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