「進撃の巨人」のパロディで米議会対立深まる
米国の共和党議員が、自身のSNSにヒスパニック系議員やバイデン大統領に暴力を振るう内容のアニメ映像(「進撃の巨人」を使用)を投稿していたことで、問責調査を受けている。
11月17日付米国
『CNBC』 は「下院、オカシオ議員を殺めるアニメ映像を巡りゴサール共和党議員を調査」との見出しで以下のように報道している。
米議会下院で調査の結果、共和党のポール・ゴサール議員の所属委員会解任処分が決まった。ヒスパニック系で民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス議員を殺め、剣をバイデン大統領に向け振りかざすアニメ映像をSNSに投稿していた。投票は賛成223対反対207で、2名の共和党員のみが民主党側に投票した。...
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11月17日付米国
『CNBC』 は「下院、オカシオ議員を殺めるアニメ映像を巡りゴサール共和党議員を調査」との見出しで以下のように報道している。
米議会下院で調査の結果、共和党のポール・ゴサール議員の所属委員会解任処分が決まった。ヒスパニック系で民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス議員を殺め、剣をバイデン大統領に向け振りかざすアニメ映像をSNSに投稿していた。投票は賛成223対反対207で、2名の共和党員のみが民主党側に投票した。
ゴサール議員は先週、改変ビデオを自身のSNS公式インスタグラムとツイッターに投稿。日本のアニメシリーズ「進撃の巨人(Attack on Titan)」のシーンを使い、彼の顔をしたキャラクターが2本の剣を持ち、オカシオ議員やバイデン大統領の顔をした巨人を攻撃。メキシコ国境に移民と警備隊員がいる様子も描かれていた。
白人愛国者団体所属していた経歴をもつゴサール議員は、下院民主党の批判を受けても謝罪はせず、移民政策のパロディだったと主張し、「私はアニメで暴力を扇動したつもりはない。映像は経済救済法に盛り込まれた移民救済を巡る政策対立を描いたものだ。米国は不法移民問題に苦慮している。アニメの中に移民がもたらす脅威以外の含みはない」等と述べた。
ゴサール議員は、オカシオ議員も監査・政府改革委員会に属している下院監視・政府改革委員会と下院天然資源委員会からの除名が決定した。ペロシ下院議長は決議にあたり「ゴサール議員の行動には相応の対応が必要だ。議員や大統領への脅迫はアニメ中とはいえ深刻な侮辱行為で議員に限らず国民を脅かすものだ。」としていた。下院ではこれまで10年以上諮問調査が行われたことはなく、問責決議は除籍処分に次ぐ重い処分で、半数以上の賛成が必要となる。
調査を発案したのは民主党女性連合はじめ複数の議員だった。この改変映像と今年1月トランプ前大統領が支持した議事堂襲撃事件に関連性があると指摘し、暴力の描写は実際の暴力を煽り、議事堂の時のように議員に危険が及ぶと指摘していた。
同日付米国『ポリティコ』 は「オカシオ議員を殺める映像を投稿したゴサール議員へ下院決議」との見出しで以下のように報道している。
共和党議員が、民主党議員への暴力的映像をSNSに投稿したことで、下院の調査を受け、所属委員会から除名処分となった。殆どの共和党議員は団結し処分決議に反対を示した一方、共和党からは2名が民主党の決議に加わった。
議会内で問責決議に発展するケースは稀だが、今年1月の議事堂襲撃事件以来、共和党の過激派議員への対応を巡り、下院内で両党幹部の対立が顕著となっている。そんな中、今回の映像投稿を機に両党の対立が一層増しており、民主党の間ではこれが国内に飛び火するのではとの懸念も生じている。合衆国議会警察によると、議事堂襲撃事件の余波で、今年は議員への脅迫事案も増えているという。
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フランス下院議員、経済大国中国へのフランスからの政府開発援助の中止を要求
フランス下院副議長のマルク・ルフール議員は、2022年の財政法草案に添付された資料の中で、中国が世界一の経済大国の地位に近づいているにもかかわらず、いまだにフランスの開発援助補助金の恩恵を受けていることが報告されていることを取り上げ、異論を唱えた。
仏ニュースサイト
『キャピタル』 によると、フランスが2020年に中国に支払った政府開発援助(ODA)は、1億4千万ユーロ(約183億円)に上る。この額は、2021年に39億ユーロ(約5097億円)、2022年に49億ユーロ(約6403億円)と、フランスの途上国総支援額に比べると控えめであるものの、フランスの補助金の主な受益者ランキングでは9位に位置している。セネガル、ソマリア、モロッコ、コートジボワール、ケニアなどのアフリカ諸国と、インド、トルコ、モーリシャスに続いて、中国はより貧しいブルキナファソやカメルーンよりも上位にいる。...
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仏ニュースサイト
『キャピタル』 によると、フランスが2020年に中国に支払った政府開発援助(ODA)は、1億4千万ユーロ(約183億円)に上る。この額は、2021年に39億ユーロ(約5097億円)、2022年に49億ユーロ(約6403億円)と、フランスの途上国総支援額に比べると控えめであるものの、フランスの補助金の主な受益者ランキングでは9位に位置している。セネガル、ソマリア、モロッコ、コートジボワール、ケニアなどのアフリカ諸国と、インド、トルコ、モーリシャスに続いて、中国はより貧しいブルキナファソやカメルーンよりも上位にいる。
マルク・ルフール下院議員は、2022年の財政法草案の添付資料の報告内容に対し、強い違和感を覚えるとして異議を唱えた。同議員は、政府開発援助(ODA)の「受領者と供与者という特殊な立場にある」中国の状況は、フランスの他の援助先とはほとんど共通点がないと指摘している。GDPで見ると、中国はフランスをはるかにしのいで、世界一の経済大国になることが目前に迫っている。それでも、2018年から2020年にかけてフランスから3億7100万ユーロ(約485億円)の開発援助を受けた。
ルフール議員は、フランスの対中援助はもはや必要ないと主張し、フランスはOECDにおいて、ODAの配分基準を変更するために毅然とした行動をとることを提唱した。「中国を発展途上国のリストから外すことが急務だ」と語る一方で、フランスの援助の大部分をアフリカや中東を中心とした国々に集中させることを求めた。
イギリスはすでに今年の4月に、中国へのODA予算を95%削減することを発表している。米『ポリティコ』 によると、当時英外相であったラーブ氏は、英国の援助資金は、「アフリカにおける善の力として最大限の影響力を発揮し、インド太平洋に戦略的に傾注する」ことを目指していくと述べていた。
具体的には、英国の援助予算全体の約80%に相当する81億ポンド(約1兆円)がODAに投じられ、このうち約半分はアフリカでのプログラムを支援し、英国が「国家戦略的関心」を持つ東アフリカに「大きくシフト」する。援助予算の3分の1は、インド太平洋地域と南アジアで使われ、気候変動や開かれた社会に関するプロジェクトや、ブレグジット後の貿易関係の強化に充てられる。一方、中国への支援は95%削減され、ODA資金はわずか90万ポンド(約1億4千万円)になった。これは、「開かれた社会と人権」を推進するための資金となる。
下院の国際開発委員会の委員長を務める労働党のサラ・チャンピオン議員は、中国への資金援助の削減を歓迎し、大国がいまだに英国の援助を受けていることは「非常に驚くべきこと」だと述べ、「英国の納税者は、世界第2位の経済大国ではなく、人道的危機に瀕している国々への援助を望んでいると思う」と語った。また、保守党のボブ・シーリー議員も、中国は英国よりも豊かで、多額の防衛予算を持っていることを指摘し、削減を歓迎した。
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