フランス下院副議長のマルク・ルフール議員は、2022年の財政法草案に添付された資料の中で、中国が世界一の経済大国の地位に近づいているにもかかわらず、いまだにフランスの開発援助補助金の恩恵を受けていることが報告されていることを取り上げ、異論を唱えた。
仏ニュースサイト
『キャピタル』によると、フランスが2020年に中国に支払った政府開発援助(ODA)は、1億4千万ユーロ(約183億円)に上る。この額は、2021年に39億ユーロ(約5097億円)、2022年に49億ユーロ(約6403億円)と、フランスの途上国総支援額に比べると控えめであるものの、フランスの補助金の主な受益者ランキングでは9位に位置している。セネガル、ソマリア、モロッコ、コートジボワール、ケニアなどのアフリカ諸国と、インド、トルコ、モーリシャスに続いて、中国はより貧しいブルキナファソやカメルーンよりも上位にいる。
マルク・ルフール下院議員は、2022年の財政法草案の添付資料の報告内容に対し、強い違和感を覚えるとして異議を唱えた。同議員は、政府開発援助(ODA)の「受領者と供与者という特殊な立場にある」中国の状況は、フランスの他の援助先とはほとんど共通点がないと指摘している。GDPで見ると、中国はフランスをはるかにしのいで、世界一の経済大国になることが目前に迫っている。それでも、2018年から2020年にかけてフランスから3億7100万ユーロ(約485億円)の開発援助を受けた。
ルフール議員は、フランスの対中援助はもはや必要ないと主張し、フランスはOECDにおいて、ODAの配分基準を変更するために毅然とした行動をとることを提唱した。「中国を発展途上国のリストから外すことが急務だ」と語る一方で、フランスの援助の大部分をアフリカや中東を中心とした国々に集中させることを求めた。
イギリスはすでに今年の4月に、中国へのODA予算を95%削減することを発表している。米『ポリティコ』によると、当時英外相であったラーブ氏は、英国の援助資金は、「アフリカにおける善の力として最大限の影響力を発揮し、インド太平洋に戦略的に傾注する」ことを目指していくと述べていた。
具体的には、英国の援助予算全体の約80%に相当する81億ポンド(約1兆円)がODAに投じられ、このうち約半分はアフリカでのプログラムを支援し、英国が「国家戦略的関心」を持つ東アフリカに「大きくシフト」する。援助予算の3分の1は、インド太平洋地域と南アジアで使われ、気候変動や開かれた社会に関するプロジェクトや、ブレグジット後の貿易関係の強化に充てられる。一方、中国への支援は95%削減され、ODA資金はわずか90万ポンド(約1億4千万円)になった。これは、「開かれた社会と人権」を推進するための資金となる。
下院の国際開発委員会の委員長を務める労働党のサラ・チャンピオン議員は、中国への資金援助の削減を歓迎し、大国がいまだに英国の援助を受けていることは「非常に驚くべきこと」だと述べ、「英国の納税者は、世界第2位の経済大国ではなく、人道的危機に瀕している国々への援助を望んでいると思う」と語った。また、保守党のボブ・シーリー議員も、中国は英国よりも豊かで、多額の防衛予算を持っていることを指摘し、削減を歓迎した。
閉じる
米ハイチ特使が22日、国境に殺到したハイチ移民へのバイデン政権の送還扱いを「非人道的」だと批判し辞任した。西半球最貧国のハイチは大統領暗殺や地震、ギャングによる暴力が深刻化した「崩壊状態」にあり、送還された移民を支援できないとしている。
9月24日付
『ロイター通信』は「米ハイチ特使辞任、“崩壊状態”であるハイチへの移民送還を批判」との見出しで以下のように報道している。
米ハイチ特使がバイデン政権の移民対処を批判し辞任。7月に特使に任命されたダニエル・フット氏は水曜、ブリンケン国務長官に宛てた書簡で、メキシコ国境の難民キャンプから危機状態にあるハイチに難民を送還したことを抗議し、“崩壊状態”にあるハイチでは難民への支援ができないとしている。...
全部読む
9月24日付
『ロイター通信』は「米ハイチ特使辞任、“崩壊状態”であるハイチへの移民送還を批判」との見出しで以下のように報道している。
米ハイチ特使がバイデン政権の移民対処を批判し辞任。7月に特使に任命されたダニエル・フット氏は水曜、ブリンケン国務長官に宛てた書簡で、メキシコ国境の難民キャンプから危機状態にあるハイチに難民を送還したことを抗議し、“崩壊状態”にあるハイチでは難民への支援ができないとしている。
国土安全保障省(DHS)の発表によると、米国は1400人以上をテキサスのデルリオ難民キャンプからハイチへ送還。3200人以上を難民申請のためキャンプから出したという。今月18日時点では約1万5000人が収容されていた。移民の多くは米国への亡命申請を求めているが、コロナ禍のもとで排除政策が続いており、その望みは薄く、送還される人々や米国で移民訴訟を行う人々などに分かれる。
ハイチは西半球の最貧国で、最近は大統領暗殺、ギャングの暴動事件、大地震などに見舞われている。米国は送還移民への早期な支援と、ハイチの長期的情勢安定への責任があるとしている。国務省スポークスマンのネッド・プライス氏は特使の批判し、「解決に向けた政策プロセスに参加せず、移民への関心を寄せる機会を逃し辞任することで状況を見誤っている」とした。
今回の特使辞任を権利団体は政権の移民戦略への批判材料として好意的に受け取っており、人権や難民問題担当の弁護士は、「勇気ある決定」だとしている。バイデン政権の国境政策により今年は記録的な送還が行われており、トランプ前大統領による抑制政策が終わると期待した難民擁護者は失望の色を隠せない。他方では、民主党はバイデン氏が強硬すぎると批判し、共和党員からはトランプの政策を一部縮小するバイデン氏の人道的アプローチで不法移民が勇気づけられたとの意見もある。
ここ数日、リオグランデ川にかかる橋の下にあるキャンプ収容人数は、強制送還や釈放により約4千人減少。
DHS は移民申請が認められる送還となるかは、ケースバイケースだとしその数は明かしていない。デルリオの国境の反対側にあるシウダードアクニャのメキシコ当局は、木曜警戒態勢を強化し、移民が往来する川沿いに約20台のパトカーや多くの武装警官を配備している。
9月23日付米国『ポリティコ』は「移民強制送還を巡り米ハイチ特使が辞任」との見出しで以下のように報道している。
米ハイチ特使が水曜、国境に殺到したハイチ移民へのバイデン政権の扱いを批判し辞任した。「数千人を強制送還する米国の非人道的、非生産的決定を相入れない」とブリンケン国務長官への書簡で述べた。また、米国のハイチ政策を非常に欠陥があるものとし、「ハイチ政府は食料も住居も金も不足した状態で移民の支援は不可能だ。崩壊状態で安全や基本サービスも与えられず、移民が増えればさらなる惨状や犯罪が増える」としている。書簡には大統領暗殺の余波で政権に就いたハイチのアリエル・アンリ暫定首相に対するバイデン政権の友好政策を好まないとの表記もあった。
特使辞任を受けサキ報道官は、政策の実行には問題点もあるとしたが、特使には「移民への関心を向けるのに多くの機会があったはずだ」と苦言を呈した。
国境警備隊が馬に乗り鞭で移民を威嚇する強硬な姿勢が映像で流されたことで、マイアミでは100人以上が参加するデモが繰り広げられ、国会では批判が相次いだ。国土安全保障省によると、国境警備隊は今後、馬は使わない方針だという。
共和党のマキシーン・ウォーターズ議員は、政権と特使のコミュニケーション不足を指摘する。「特使は政権のハイチ移民対応を理解しておらず、この問題で国務省と意見が合わなかった」とし、国境での移民対応も批判した。
共和党はバイデン政権の移民政策は間違っており、効果がないことを示す新たな一例だとしている。
閉じる