バイデン大統領の国連演説に対する厳しい評価(2021/09/22)
バイデン米大統領は21日、初の国連総会一般討論演説に臨み、中国との競争が激化する中、新たな冷戦を伴わない活発な競争の新時代を描き、同盟国との協調を重視するとともに、新型コロナウイルスや気候変動などの問題に取り組む必要性を訴えた。しかし、この演説に対して厳しい評価が下されている。
シンガポールの
『ストレーツタイムズ』紙は、バイデン大統領は演説で、政治家としての必要条件をすべて満たし、国際社会が共通で直面している課題に対して一致団結することを呼びかけたと報じている。しかし、国連で政治家らしい発言をするのは簡単なことだと指摘している。同紙は次のように伝えている。「現実世界では、米国のリーダーシップとパートナーシップの約束は、国内外の一連の緊張と危機によってかげりを見せている。米国内では、デルタ株による感染が急増しており、ワクチンへの躊躇や懐疑的な見方から未だに感染が拡大しており、その抑制に苦慮している。...
全部読む
シンガポールの
『ストレーツタイムズ』紙は、バイデン大統領は演説で、政治家としての必要条件をすべて満たし、国際社会が共通で直面している課題に対して一致団結することを呼びかけたと報じている。しかし、国連で政治家らしい発言をするのは簡単なことだと指摘している。同紙は次のように伝えている。「現実世界では、米国のリーダーシップとパートナーシップの約束は、国内外の一連の緊張と危機によってかげりを見せている。米国内では、デルタ株による感染が急増しており、ワクチンへの躊躇や懐疑的な見方から未だに感染が拡大しており、その抑制に苦慮している。アメリカ南部の国境には、絶望したハイチからの移民があふれている。民主党内の進歩的な人たちの落胆をよそに、バイデン政権は彼らを強制送還することにした。最近のポリティコ/モーニング・コンサル社の世論調査によると、有権者は移民問題への対応について、40%対45%と、民主党よりも共和党議員を信頼している。また、ロイター/イプソス社の最新の世論調査によると、バイデン大統領の移民問題への対応を評価している米国の成人はわずか38%に過ぎない。」
さらに、「民主党が分裂し、共和党が譲らないため、大統領が変革の遺産と称しているインフラや社会支出に関する法案が成立する見込みはますます低くなっている。海外では、アフガニスタンからの撤退、タリバン政権の政権復活、そして子供を含む罪のない民間人を誤って殺害した無人機攻撃は、アメリカの信頼性を高めてはいない。同盟国そしてパートナーという言葉を頻繁に使っているが、オーストラリアとイギリスとの安全保障条約であるAukusが、同盟国であるフランスを憤慨させている。」と現実との矛盾を指摘している。
米『ナショナルレビュー』によると、ニッキー・ヘイリー元米国連大使はフォックス・ニュースの番組で、「バイデン大統領のスピーチは、アメリカへの脅威と敵に関する現実と深刻さを無視していた。中国、ロシア、イラン、北朝鮮、ベネズエラ、アフガニスタン、そしてテロなどについてだ」と語った。そして「敵に対するバイデンの生ぬるい態度のために、同盟国は、前政権では明確に保証されていた支援を、もはや我々に信頼して求めることができなくなっている。バイデンが居眠りしているので、同盟国は我々を信用せず、敵は喜んでいる」と述べた。
『ニューヨークポスト』によると、トム・コットン上院議員は、バイデンの演説はアメリカの国際的な地位を傷つけるものであり、屈辱的な弱さを示すものだったと非難した。「大統領は、新たな冷戦を求めないと言った。しかし中国は何十年もの間、アメリカやアメリカの労働者、軍隊に対して冷戦を仕掛けてきた。だから、問題は冷戦を求めるかどうかではなく、それに反撃するかどうかなのだ。」と付け加えた。また、「バイデンは中国という言葉を口にしようとしない。世界の指導者たちに向けた演説で中国の名前を出すことを恐れているようだ。それは中国にどのようなメッセージを送っていることになるのか。今、中国の指導者達はバイデンを笑っている」と批判している。
コットン氏はまた、アフガニスタンの協力者たちは、米軍の撤退と国外退避が失敗に終わり、何百人もの人々が置き去りにされたことで、大統領の「裏切り」を忘れていないと述べた。
閉じる
中国が米英豪新枠組みAUKUSを批判(2021/09/17)
中国は、アジア太平洋での中国の台頭をけん制する目的とされる、オーストラリアに原子力潜水艦を配備する米英豪の新たな枠組み「AUKUS」について、地域の安定に対する非常に無責任な脅威だと批判している。
9月16日付豪
『ABCニュース』は「中国がAUKUS協定を批判、”共通の懸案“とアボット首相、警戒促すラッド元首相」との見出しで以下のように報道している。
中国が、豪に原子力潜水艦技術を提供する新たな米英豪協定を批判。中国外務省スポークスマン趙立堅は、木曜の定例会見で、この協定を「地域の平和と安定を非常に損ね、兵器競争を増大させるもの」であり、「非常に無責任で、自分たちの足元を危うくするもの」だと警告した。...
全部読む
9月16日付豪
『ABCニュース』は「中国がAUKUS協定を批判、”共通の懸案“とアボット首相、警戒促すラッド元首相」との見出しで以下のように報道している。
中国が、豪に原子力潜水艦技術を提供する新たな米英豪協定を批判。中国外務省スポークスマン趙立堅は、木曜の定例会見で、この協定を「地域の平和と安定を非常に損ね、兵器競争を増大させるもの」であり、「非常に無責任で、自分たちの足元を危うくするもの」だと警告した。
中国と豪は、新型コロナウイルス、貿易、地域的に関係が悪化。 豪は中国の台頭を注視し、防衛費を増加しており、この協定は中国の経済軍事躍進を阻む目的と見られている。中国側は、「地政学的駆け引きに利用しダブルスタンダードを取りいれる姿勢」、「核不拡散条約を守る豪の誠実さを疑問視する理由を与えるもの」だと批判し、西欧同盟国に、「古い冷戦時代のゼロサム思考を捨てない限り、自業自得となる」と警告した。
トニー・アボット元首相は、新協定を「中国の戦略的挑発に対抗すべく、米英と協力する非常に重要な決定。長年の戦略への懸念を打ち破る勇敢な決断」だと称賛した。また、「歴史的決定により、より安全で強固な国となる」とした。更に「中国の軍備がいかに巨大化しているか未だ理解に及ばない。ミサイルについていえば、中国の戦艦は米国をしのぐ数となっている。中国は西太平洋の標的を攻撃する非常に大きな能力を有している」と述べ、米英豪は「共通の脅威」に向かい行動の準備をすべきとしている。
一方でケビン・ラッド元首相は、中国を直接批判するモリソン政権に警告を発した。この問題への言葉が直接的過ぎ、中国との山積する問題を悪化させかねないとくぎを刺した。両国の関係は豪州が新型コロナウイルス発生起源調査を求めて以来悪化。中国政府は豪からの輸入量を制限している。
同日付中国『GLOBAL TIMES』は「原子力潜水艦協定で豪が核戦争の標的になる可能性」との見出しで以下のように報道している。
米英豪が中国を念頭にAUKUSと呼ばれる新たな枠組みを発表。バイデン大統領が水曜、この枠組みを発表し、ポリティコ紙がこの新協定風変わりな略語「オーカス」を伝えた。中国の軍事専門家は、豪に潜水艦が提供されれば、核兵器や弾頭ミサイル搭載が容易になるため、核戦争が起きた際、豪が核の標的となる可能性を指摘している。
中国外務大学(CFAU)の国際関係研究所(IIR)の李海東教授は、「AUKUSは中国封じ込めを目的とする米国同盟システムの中核だ。いつかドナルド・トランプもしくはトランプのような新大統領が現れたら、この同盟は予期せぬ破滅的結果をもたらすだろう」と警告。「米国はアジア太平洋地域で中国を封じ込めようと、冷戦後の欧州でロシアを封じこめたようなアプローチを取っている。米国はAUKUSを中心とし、NATOのような同盟を作ろうとする。日米、米韓同盟がそれを取り囲み、クアッドで外堀を埋めようとする。非同盟国インドが信用できないからだ。」とする。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、同国の非核化政策により、原子力潜水艦がニュージーランドの領海に侵入するのを禁じるとしている。
豪州メディアは、著名人や歴代首相らは、豪が米国に対し独立性を求め、最大貿易相手国である中国との対立を避けるべきだとの見解を示していると伝えている。
閉じる
その他の最新記事