ウクライナ戦争:ロシアの石油産業の貴重な技能労働力が戦争で奪われている(2024/05/14)
『フランス国際ラジオ局(RFI)』5月10日付けは、ロシアの戦時体制が、国の経済で不可欠な石油天然ガス産業での技能労働者の不足状況を生じさせていると伝えている。武器製造産業と石油ガス産業は、お互いの人手不足を解消するため、働く世代の取り込みにしのぎを削っている。しかし、ロシアの働く世代の多くは、ウクライナ戦争の前線に送られるか、戦闘逃れのため国外に脱出している。
フランスの外務大臣ステファン・セジュネ氏の推測によると、ウクライナでの戦闘の開始から今まで、約15万人のロシア兵が前線で戦死しているという。 一方、英国の防衛省によると、2022年2月のロシア侵攻開始から今まで、45万人以上のロシア軍兵士が戦死か負傷していると推定している。
なお、兵士が前線に駆り出されることは、兵士の家族にとって精神的にも重い負担となっているが、ロシア社会にとっても、大切な労働力の欠如という問題を提起している。...
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フランスの外務大臣ステファン・セジュネ氏の推測によると、ウクライナでの戦闘の開始から今まで、約15万人のロシア兵が前線で戦死しているという。 一方、英国の防衛省によると、2022年2月のロシア侵攻開始から今まで、45万人以上のロシア軍兵士が戦死か負傷していると推定している。
なお、兵士が前線に駆り出されることは、兵士の家族にとって精神的にも重い負担となっているが、ロシア社会にとっても、大切な労働力の欠如という問題を提起している。
モスクワのコンサルティング会社のカサトキン社の予測によると、石油天然ガス産業部門で、本年度は技能労働者を含めて約4万人の労働者が不足していると推定している。ブルームバーグ社の予測によると、ロシアでのこの分野での雇用者需要は過去7年間で、3倍に膨れ上がっているという。なお、ロシアの石油天然ガス産業は国内総生産(GDP)の27%、全輸出量の57%を占めていて重要な産業となっている。とりわけ、石油天然ガスは、ウクライナ攻撃を行っていく中でロシアにとって、外貨獲得のための重要な役割を果たしている。
なお、ウクライナ侵略に対する欧米諸国からの制裁にも関わらず、ロシアは昨年度880億ユーロ(=約13.5兆円)の収益を得ている。そのため、2017年からこれまで石油天然ガス産業に従事するサラリーマンは、全国平均に比べて2倍近く高い給与を受けとっている。しかし、ロシアの国営軍事企業ロステックは、さらに高い賃金を払うことで限られた労働力を横取りしているという。
そのため、石油天然ガス産業での労働力不足は深刻な問題で、今後の石油天然ガス生産効率を維持することや、必要に応じて生産量の増加させることなどが困難な状況となっている。
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米情報当局トップ、中・ロが台湾軍事侵攻で連携の恐れと警告【米・英国メディア】(2024/05/05)
中国は、ウクライナ軍事侵攻に関わり欧米諸国からの非難にも拘らず、依然ロシア支持を止めようとしない。そうした中、中国がもし台湾軍事侵攻を仕掛ける場合、ロシアの協力を仰ぐ恐れがあると、米情報当局トップ2人が警鐘を鳴らした。
5月3日付米
『ブルームバーグ』、英国
『メール・オンライン』は、米情報当局幹部が、中国による台湾武力侵攻がある場合、ロシア軍との共同作戦となる恐れもあると警告したと報じている。
米情報当局トップが、中国とロシアは台湾侵攻の可能性を含む軍事問題で、より緊密に連携しようとしているとの認識を示した。
まず、アブリル・ヘインズ米国家情報長官(54歳、2021年就任)が5月2日、上院軍事委員会の公聴会の席上、“中国とロシアが、台湾に関して初めて協調しているとみている”とした上で、“中国にとって台湾統一は最優先課題であり、この達成のためにロシアの協力を仰ぎたいと考えるのは疑う余地のない話だ”と証言した。...
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5月3日付米
『ブルームバーグ』、英国
『メール・オンライン』は、米情報当局幹部が、中国による台湾武力侵攻がある場合、ロシア軍との共同作戦となる恐れもあると警告したと報じている。
米情報当局トップが、中国とロシアは台湾侵攻の可能性を含む軍事問題で、より緊密に連携しようとしているとの認識を示した。
まず、アブリル・ヘインズ米国家情報長官(54歳、2021年就任)が5月2日、上院軍事委員会の公聴会の席上、“中国とロシアが、台湾に関して初めて協調しているとみている”とした上で、“中国にとって台湾統一は最優先課題であり、この達成のためにロシアの協力を仰ぎたいと考えるのは疑う余地のない話だ”と証言した。
同長官は、同委員会のマイク・ラウンズ上院議員(69歳、サウスダコタ州選出の共和党議員、2015年初当選)の質問に答えたものである。
また、同議員から同じ質問をされて、ジェフリー・クルーゼ国防総省情報局長官(50代、2024年就任、米空軍中将)も同様の証言を行った。
すなわち、クルーゼ長官は、“中国とロシアが軍事作戦において協力的であることは間違いがない”とした上で、“国防総省としても、それを十分考慮に入れて対応する必要がある”とコメントした。
更に、ヘインズ長官は、“中国とロシアのパートナーシップは「制限なく」拡大していると分析している”とした上で、“どちらか一方の国と紛争になれば、もう一方も参戦してくる可能性は高い”と警鐘を鳴らしている。
(参考)習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)は2019年1月初め、“台湾統一のためには、場合によって武力行使の可能性を否定しない”と公言。更に、欧米側から台湾問題に関わる干渉発言が続いたことから、2023年4月、欧州連合代表との会談の席上、“台湾問題は、中国の核心的利益(国家主権、安全保障、領土の保全等に関わる国家利益を指す政治的な用語)の中の核心だ”と改めて宣言している。
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