6月12日、ロシアのサンクトペテルブルグからインドのボンベイまでの新しい海上輸送ルートが開通することが発表された。これはロシア、イラン、インドが長い間計画してきたプロジェクトであるが、ウクライナ戦争と欧米の制裁によって加速された。
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『ブルームバーグ』によると、イランの港湾関係者は、イランの国営海運会社が同国を通過する新しい貿易回廊を利用し、インドへのロシア製品の最初の移送を開始したことを明らかにした。また、国営のイスラム共和国通信は11日、ロシア貨物がサンクトペテルブルグを出発したことを伝えた。新たな回廊のパイロット輸送とされる貨物の出発時期や、貨物の詳細については言及されていない。
その後貨物は、ロシア南部の都市アストラハンから出発しカスピ海を横断。...
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『ブルームバーグ』によると、イランの港湾関係者は、イランの国営海運会社が同国を通過する新しい貿易回廊を利用し、インドへのロシア製品の最初の移送を開始したことを明らかにした。また、国営のイスラム共和国通信は11日、ロシア貨物がサンクトペテルブルグを出発したことを伝えた。新たな回廊のパイロット輸送とされる貨物の出発時期や、貨物の詳細については言及されていない。
その後貨物は、ロシア南部の都市アストラハンから出発しカスピ海を横断。イラン北部のアンザリー港に到着後、陸路で南部バンダレ・アッバース港に輸送される予定である。そこから船に積まれ、インドのナバシェバ港に送られる。この輸送はイランの国営の海運会社Islamic Republic of Iran Shipping Lines Group (IRISL)によって調整及び管理されており、25日かかる見込みであるという。
ロシアがウクライナ戦争で制裁を受けて以来、イラン当局は、イランを利用してロシアとアジアの輸出市場を結ぶ、いわゆる南北輸送回廊の開発プロジェクトの復活に取り組んでおり、イランのカスピ海の港に到着した商品を南東部のチャーバハール港まで輸送できる鉄道路線を最終的に建設することになっている。
仏ラジオ局『RFI』によると、インドとポストソビエトの関係を専門とするナンダン・ウニクリシュナン氏は、「2000年代から、インド、ロシア、イランなどの国々は、国際南北回廊を議論してきて」おり、国際情勢を背景に今回復活したプロジェクトである、と説明している。ロシアの商品をインドに送るには、この回廊しかなく、ウクライナでの戦争が、開通を加速させたことは間違いないと指摘している。「イランは制裁下にあり、今度はロシアも制裁を受けている。だから、両国ともできるだけ早く前に進みたいと考えている。この新路線に対する商業的な関心は急速に高まると思う。」と語っている。
この回廊によって、インドはガスや石油など、ロシアからあらゆる物資を受け取ることができるようになる。一方、イランは、自国を通過する際に課される税金の恩恵を受けたいと考えている。ウクライナ戦争が始まって以来、インドはモスクワに対する経済制裁に参加せず、ロシアの石油の輸入も開始している。フランスの金融ニュースサイト『ゾーヌブルス』は、ロシアは5月にインドにとって第1位のイラクにつぐ、第2位の石油供給国に浮上してきたと伝えている。サウジアラビアは第3位に後退した。
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カンボジアの海軍基地に中国軍が利用する施設を建設しようとしていると欧米メディアが報じたが、カンボジアと中国は、中国による軍事的使用が目的ではないとこれを否定している。
6月8日付英
『ガーディアン』:「豪首相が懸念する海軍計画をカンボジアと中国は否定」:
カンボジアと中国は、カンボジアの基地に中国艦隊が利用する海軍施設を秘密裏に建設しているとした報道を否定している。オーストラリアの新首相は、このプロジェクトに懸念を表し、透明性を求めている。
米「ワシントン・ポスト誌」が、匿名の当局者の話として、戦略的拠点であるタイランド湾に面したカンボジアのリアム基地に中国軍が利用する新たな施設を建設されていると報じた。...
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6月8日付英
『ガーディアン』:「豪首相が懸念する海軍計画をカンボジアと中国は否定」:
カンボジアと中国は、カンボジアの基地に中国艦隊が利用する海軍施設を秘密裏に建設しているとした報道を否定している。オーストラリアの新首相は、このプロジェクトに懸念を表し、透明性を求めている。
米「ワシントン・ポスト誌」が、匿名の当局者の話として、戦略的拠点であるタイランド湾に面したカンボジアのリアム基地に中国軍が利用する新たな施設を建設されていると報じた。この基地は以前から米国とカンボジアの間で懸案事項となっていた場所。米国は、国際的軍拡を狙う中国の利用目的に転換されるのではと懸念していた。
豪外務大臣との電話会談で、カンボジアのソーケーン副首相は、この報道を「根拠のない言いがかり」だと否定。一方、中国台頭への対策としてインドネシア訪問中の豪のアルバニージー新首相は、これらの報道を「懸念している」とし、中国に透明性を求めた。また、「豪は定期的にカンボジアと連絡を取っているが、如何なる海外の軍も特別待遇をしないと確約していた」とした。
豪は、太平洋地域での中国の軍拡に懸念を高めている。4月には豪から2千キロ以内にあるソロモン諸島と中国の平和条約締結案がリークされ、中国海軍の太平洋諸島への展開にむけ懸念が高まった。
カンボジアのフン・セン首相は、リアムの建設は、中国の支援による船舶のメンテナンス施設基地の近代化に他ならないと主張。5月の演説では、「カンボジアは領土内における如何なる外国軍の存在を必要としない」と述べていた。
中国側も、基地はカンボジア側の使用のみの目的だと主張。 趙麗建外務省報道官は7日、報道陣に対し、「リアム基地の工事はカンボジアの海軍力の補強による海洋自治権強化と海洋犯罪の取り締まりのみが目的」と述べ、米国の批判はカンボジアへの「悪意ある攻撃と汚名」と批判した。
2019年米メディアにより、中国の戦艦を同基地に停泊させる協定案が報道されていた。その後、カンボジアは米国資金で建設された基地内の施設や、米軍との合同演習に使われた施設の一部を解体していた。カンボジア防衛相と中国の大使は、船舶修理工場や防波堤などのリアムの新施設の開幕式に出席する予定。
6月7日付米『ブルームバーグ』:「中国が秘密裏に海軍施設を建設との報道をカンボジアが否定」:
カンボジアが再度、中国が秘密裏に同国の基地に海軍施設を建設中との懸念を否定した。両国は、今週軍事プロジェクトを開始する予定。
欧米当局は、中国の軍事プレゼンス拡大を懸念。カンボジアの政府報道官は、今週、中国との港湾関連プロジェクトが開始されるとするも、中国に基地への特別アクセス権はないと主張した。8日には、船舶修理工場や船台の建設に関連するプログラムを予定。カンボジアの外交官も招待されており、「何も隠していることはない。基地の特別使用は憲法違反となる。誰もが使用でき、問題視されるものではない」としている。
このカンボジアでの動きは、中国の同地域での軍拡懸念をさらに高めることとなる。王毅外務相は、開発協定締結のため、最近でも多くの太平洋諸国を訪問している。中国は、今年始め、カンボジアを「鉄壁の友人」と表現、両国の軍事強化で覚書に署名をしたが、詳細については示されていない。
プノンペンの米大使館のチャド・ローデマイヤー報道官は、「リアム基地での中国のプレゼンスは、カンボジアの自治権および地域の安全保障を脅威となる」とし、我々は「信頼に足る報道により、中国がリアム海軍基地での重要な新規建設プロジェクトに関わっているとみなすもの」としている。バイデン米政権は、11月、カンボジアの基地の汚職問題に関連した軍事高官2名を含む、企業や個人を制裁対象としている。
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