バイデン大統領、6月中旬開催のウクライナ和平サミットより米大統領選資金調達キャンペーンを優先と報道【欧米メディア】(2024/05/28)
ジョー・バイデン大統領(81歳、2021年就任)は先日、野党・共和党を説得してウクライナ支援資金拠出を勝ち取ったばかりである。しかし、同大統領は、直近世論調査でドナルド・トランプ前大統領(77歳、2017~2021年就任)の支持率に後れを取っているためか、6月中旬にスイスで開催されるウクライナ和平サミットより、同期日で実施されるカリフォルニア州での選挙資金調達キャンペーンを優先するとみられる。
5月27日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース、欧米
『ロイター通信』等は、ジョー・バイデン大統領が6月中旬にスイスで開催されるウクライナ和平サミットを欠席して、同期日に開催される米大統領選選挙資金調達キャンペーンを優先する模様だと報じている。
スイスの外務省によると、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(46歳、2019年就任、戒厳令下のため2024年予定大統領選は当面延期)が今年1月にスイスを訪問した際、今年6月中旬にスイスにおいて、ロシア抜きでのウクライナ和平サミットを開催することが決まったという。...
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5月27日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース、欧米
『ロイター通信』等は、ジョー・バイデン大統領が6月中旬にスイスで開催されるウクライナ和平サミットを欠席して、同期日に開催される米大統領選選挙資金調達キャンペーンを優先する模様だと報じている。
スイスの外務省によると、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(46歳、2019年就任、戒厳令下のため2024年予定大統領選は当面延期)が今年1月にスイスを訪問した際、今年6月中旬にスイスにおいて、ロシア抜きでのウクライナ和平サミットを開催することが決まったという。
そして、これに基づき同外務省は5月、160ヵ国以上の首脳に対して同サミットへの招待状を送付したとし、カナダのジャスティン・トルドー首相(52歳、2015年就任)、ドイツのオラフ・ショルツ首相(65歳、2021年就任)、岸田文雄首相(66歳、2021年就任)初め70ヵ国余りの首脳の出席が期待されているとする。
しかし、この程消息通からの情報によると、ジョー・バイデン大統領は、当該サミットを欠席して、同時期にカリフォルニア州で開催される大統領選選挙資金調達キャンペーンに参加する見込みだという。
直近の世論調査で、スイング・ステート(注後記)における支持率が対立候補のドナルド・トランプ前大統領に劣っていることもあってか、同大統領としては、ウクライナ和平サミットよりも、著名人のジミー・キンメル氏(56歳、テレビ司会者・俳優等)が主催し、バラク・オバマ元大統領(62歳、2009~2017年在任)も出席する募金イベントを優先したい意向とみられる。
すなわち、同大統領は6月13~15日にイタリアで開催される主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)に出席後すぐさま、カリフォルニア州に移動することとなり、6月15・16日にスイスで開催されるウクライナ和平サミットには参加しない。
米国務省高官は5月26日、同和平サミットには米政府代表が出席するとしただけで、(大統領も含めて)誰が出席するのか等具体的コメントは控えた。
なお、ゼレンスキー大統領は同和平サミット開催に先駆けて、次のように訴えている。
● 世界平和のことを放っておこうとする世界の首脳たちに直接訴えたい。特にバイデン大統領と習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)には是非出席してもらいたい。
● 一時停戦ではなく終戦に向けてコンセンサス作りをし、ウラジーミル・プーチン大統領(71歳、2000年就任)に更なる圧力を加えたい。
● それによって、誰が本当に終戦を望んでいるかがはっきりする。
● ウクライナが望む終戦の条件は、ウクライナからの全ロシア兵の完全撤退であり、かつ、国際的に認められた国境の回復である。
これに対して、ロシア政府関係者は、プーチン大統領の終戦条件は、現行の戦闘線を認めた上での停戦であるとしている。
(注)スイング・ステート:米大統領選挙の勝者総取り方式において、共和党・民主党の支持率が拮抗し選挙の度に勝利政党が変動する州を指す言葉。2020年選挙時では、アリゾナ州・フロリダ州・ジョージア州・アイオワ州・ミシガン州・ミネソタ州・ネバダ州・ノースカロライナ州・オハイオ州・ペンシルバニア州・テキサス州・ウィスコンシン州が挙げられていた。
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米メディア、日本における投資詐欺急増の背景について詳報(2024/05/20)
実業家の前澤友作氏(48歳)が5月15日、IT世界大手メタ(旧フェイスブック、2004年設立)に対して、SNS上で著名人に成りすまし、投資を呼びかける偽広告が広がっている問題に関わり、損害賠償及び当該広告の差し止めを求めて提訴した。そこで米メディアがこの程、日本人が投資詐欺に掛かり易い背景について詳報している。
5月20日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、日本における投資詐欺急増の背景について、学校での投資に関わる教育が不十分であったり、最近の政府奨励の新NISA(少額投資非課税制度、Nippon Individual Savings Account、注後記)に伴う投資熱激化が原因とみられると詳報している。
警察庁(1954年新設)によると、今年第1四半期(1~3月期)の投資詐欺による損失額は前年同期比で7倍に増加している。...
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5月20日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、日本における投資詐欺急増の背景について、学校での投資に関わる教育が不十分であったり、最近の政府奨励の新NISA(少額投資非課税制度、Nippon Individual Savings Account、注後記)に伴う投資熱激化が原因とみられると詳報している。
警察庁(1954年新設)によると、今年第1四半期(1~3月期)の投資詐欺による損失額は前年同期比で7倍に増加している。
同庁は2023年1月にデータの追跡を開始しているが、それによると、同期間に1,700件の詐欺が報告され、被害総額は221億円(平均1,300万円)に上るという。
これは、日本人が学校教育において、投資について十分教わらなかったことに伴う投資リスクへの理解不足にも拘らず、2023年のインフレ率が3%超と30年振り(編注;IMFデータ、記事では40年振りと記載)の高水準となったことに加えて、日本株への投資を促す政府の新NISA政策による投資熱激化という環境下より、投資詐欺が蔓延する事態となっているものとみられる。
日本銀行が今年3月に公表したデータによると、昨年12月現在、同年における投資額は29.2%も急増しているのに対して、貯蓄額は僅か1%しか伸びていない。
日本人はこれまで、投資よりも貯蓄に回す人が多勢という傾向を示しており、日銀の昨年8月の調査結果では、個人総資産に占める貯蓄額が50%超と、米国の12.6%、欧州平均の35.5%を大きく上回っていた。
大阪教育大学(1949年設立の国立大)消費者教育等専門の鈴木真由子教授(2012年就任)は、“日本の教育の歴史上、投資についてはほとんど教えられず、むしろ貯蓄・支出に重点が置かれていた”とコメントした。
その上で、“日本人が、リターン(資産運用を行うことで得られる収益)が保証された株式投資など存在しないということを良く理解していたなら、現在のような投資詐欺の被害者がこれ程増えることにはならなかっただろう”とも言及している。
かかる事態を受けて、岸田文雄首相(66歳、2021年就任)は今年4月、犯罪者の逮捕に重点を置いた投資詐欺の増加に歯止めをかけるための具体的対応策を取り纏めた上で6月に発表すると宣言した。
また、自民党対策チーム座長の平井卓也衆議院議員(66歳、2000年初当選、2020~2021年ディジタル担当大臣)は、特に投資偽広告掲載が多いとされているIT大手メタについて、“最もコンプライアンス違反の多いプラットフォーム・オーナーだ”と批判し、更に、“不正に対抗するより良い方法が見つかるまで、日本におけるすべての同社広告を停止すべきだ”と強硬な意見を述べている。
なお、名指しされたメタ日本法人代表は、“ユーザーの中に詐欺の被害者がいるということを深刻に受け止めている”とした上で、“2016年以来、プラットフォームの安全性を確保するため、技術革新等で200億ドル(約3兆1千億円)以上投資してきているが、今後も不正広告との闘いに注力していく”とコメントしている。
(注)NISA:2014年に開始された、日本における株式や投資信託の投資金における売却益と配当への税率を一定の制限の元で非課税とする制度。更に2023年1月、岸田文雄内閣が打ち出した資産所得倍増プランに関する施策の一環で、2024年投資分より非課税期間の恒久化及び投資上限額の拡充(新NISA)が図られている。
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