ソフトバンクの対米投資(2016/12/09)
ソフトバンクの孫正義社長は12月6日ニューヨークのトランプタワーでトランプ次期大統領と電撃会見を行い、500億ドルの対米投資と5万人の雇用創出を約束した。いかにも孫社長らしい耳目を引くパフォーマンスでありソフトバンクの株はその後急騰している。孫社長は3年前に買収した米国の携帯電話4位のスプリントと業界3位のTモバイルの合併を目論んでおり、次期大統領の影響力に期待したとの見方もある。一方でトランプ次期大統領側も自分が大統領に当選したことでこの投資を呼び込んだと宣伝に使っている。日米大立者のパフォーマンスを囃して日米株式市場の高騰は止まるところを知らない。
12月7日付
『ブルームバーグビジネス』は、「孫社長、天賦の才能を発揮-500億ドル投資で注目を集める」という見出しで、孫正義社長がトランプ次期大統領と絶好のタイミングで会見を行い、日本人にはお馴染みの、この大富豪の途方もない役者であるという側面を米国の観客に見せつけたと報じた。ソフトバンクの創業者は火曜日ニューヨークで次期大統領とカメラに収まり、世間の注目を集めるという彼の得意技を披露した。孫社長は500億ドルの投資と5万人の雇用創出を約束したが、ソフトバンク株は東京市場で15か月ぶりの高値を付けた。...
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12月7日付
『ブルームバーグビジネス』は、「孫社長、天賦の才能を発揮-500億ドル投資で注目を集める」という見出しで、孫正義社長がトランプ次期大統領と絶好のタイミングで会見を行い、日本人にはお馴染みの、この大富豪の途方もない役者であるという側面を米国の観客に見せつけたと報じた。ソフトバンクの創業者は火曜日ニューヨークで次期大統領とカメラに収まり、世間の注目を集めるという彼の得意技を披露した。孫社長は500億ドルの投資と5万人の雇用創出を約束したが、ソフトバンク株は東京市場で15か月ぶりの高値を付けた。トランプ次期大統領はツイッター上で自分が当選しなければこの投資はなかったと述べたが、投資はトランプ氏の勝利前の10月に発表された1千億ドルのハイテクファンドを資金源としている模様であり、このうち450億ドルがサウジアラビア政府、250億ドルがソフトバンクの出資による。
孫社長は米携帯電話業界4位のスプリントを3位のTモバイルと合併したいと考えているが、当局の規制により成就していない。今回の投資の約束で合併が成就するのではとの憶測で両社の株は値上がりした。ソフトバンクはこれまで比較的少ない人数で事業を行うベンチャー企業に投資しており、スプリント、最近買収した英国のARM社、ヤフージャパンの従業員を合計しても5万人には届かず、5万人の雇用創出は簡単ではないと報じている。
12月8日付
『ワシントンポスト』は、「ソフトバンクの対米投資を巡る怪しげな主張」という見出しで、トランプ次期大統領は自分が大統領に選ばれていなかったらソフトバンクの500億ドルの投資と5万人の雇用創出はなかっただろうと主張したが、この主張は疑わしいと報じた。11月8日の大統領選挙の3週間前の10月26日にソフトバンクは1千億ドルのハイテク投資ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げると発表した。1千億ドルのうち450億ドルはサウジアラビア政府、250億ドルはソフトバンク、300億ドルは他の投資家から集める予定である。ソフトバンクの孫社長は対米投資の500億ドルはこのファンドを利用すると言っているが、それはサウジ政府、ソフトバンク、その他投資家のどの部分を使うのか、また選挙前に対米投資を決めていたのかについては明らかにしていない。孫社長は買収したスプリントとTモバイルの合併を目論んでいるが、当局の規制により成就していない。日本のアナリストは、孫社長は選挙前に対米投資を決めていたであろうが、トランプ政権下で当局の規制が緩和されることを期待し対米投資の発表は今が最適であると判断したのだろうと推測する。東京のJPモルガン証券のアナリストは、投資に際して具体的な金額や雇用者数まで公表するのは驚きであるが、トランプ政権との良好な関係を目指しているのだろうと語る。確証はないが、米国はハイテクベンチャーの宝庫でありどちらが大統領に選ばれていようが、ソフトバンクは米国に投資しただろうと報じている。
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アマゾンの新型店舗(2016/12/07)
米アマゾン・ドット・コムは12月5日新型の実店舗事業に乗り出すと発表した。ネット通販を中心とする売上高は1,000億ドルを超すアマゾンであるが、食料品などネット通販には馴染まない分野もあり、小売業での革命を目指すアマゾンとしてはこの分野をどう攻略するかが一つの課題であった。アマゾンは実店舗での販売で消費者が最も煩わしく感じる、列を作ってレジを通過して支払いを行うという過程をなくすことで一つの新機軸を打ち出した。自動車の自動運転にも採用されている最新のAI(人工知能)を使って対応しようというものであるが、上手く行けば小売業の世界を大きく変えることになりそうである。
12月5日付
『ブルームバーグビジネス』は、「アマゾン、列を作っての精算を廃止する店舗を導入へ」という見出しで、アマゾンは顧客が食料品をつかんでカゴに入れレジを通らないで買い物をする技術を発表したと報じた。同社は現在シアトルのアマゾン・ゴーという実店舗で新システムの実験を行っており、来年早々にこれを一般公開する。顧客は店舗の入り口でスマホにダウンロードしたアプリを使ってスキャンすれば、AIによりどの商品を購入したかを捉え、顧客が退出するやそのアマゾンの口座に自動的に請求される。...
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12月5日付
『ブルームバーグビジネス』は、「アマゾン、列を作っての精算を廃止する店舗を導入へ」という見出しで、アマゾンは顧客が食料品をつかんでカゴに入れレジを通らないで買い物をする技術を発表したと報じた。同社は現在シアトルのアマゾン・ゴーという実店舗で新システムの実験を行っており、来年早々にこれを一般公開する。顧客は店舗の入り口でスマホにダウンロードしたアプリを使ってスキャンすれば、AIによりどの商品を購入したかを捉え、顧客が退出するやそのアマゾンの口座に自動的に請求される。アマゾンは2007年から食料品事業の実験を開始し、全米16ヶ所でアマゾン・フレッシュによるデリバリーサービスを展開している。また注文した購入者が商品を取りに行く形式も導入している。しかし多くの消費者は実物が見れない食料品をネット注文することに消極的であることに気づき今回のシステムを導入することとした。
アマゾンは現在本社内にある1,800平方フィート(167平米)の店舗で従業員用に即席の食事、パン、牛乳、チーズ、菓子を販売し実験を行っている。
『ウォールストリートジャーナル』によれば同社はこの他にドライブスルーで注文品を引き取れる店舗も検討しており、ゴーサインが出れば全米2,000ヶ所に店舗を開設する予定である。同社はレジがなくなることで、他の顧客サービスに余剰人員を使うため雇用を奪うことはないと説明するが、あるコンサルタントはレジでの精算という煩雑さがなくなることは大きな競争力を持つ差別化になると語っていると報じている。
12月5日付
『ニューヨークタイムズ』は、「アマゾン、商品を棚から取って帰るだけで列を作っての精算を廃止する動き」という見出しで、アマゾンはネット通販で小売業に革命をもたらしたが、今度はコンビニでサンドイッチや飲み物を買うことを電子化する実験を開始したと報じた。月曜に同社が公表した宣伝用ビデオによれば、4年前に欲しいものを買い物バッグに入れてそのまま立ち去ることが出来れば買い物の概念が大きく変わるだろうと考え、アマゾン・ゴーという企画を始めたと説明している。アマゾンはネット通販には馴染まない小売りの分野があり、そこでは顧客は実店舗に行って商品を見て回り購入するとみており、その分野でも合理化を提案しアマゾンが参入する余地があると見る。そのためには自動車の自動運転に利用されている、コンピュータビジョン、センサーフュージョン、深層学習などの最新のAI技術が使われるという。アマゾン・ゴーの店舗で万引きやアルコールの年齢確認にどう対応するのかは今後の課題であると記者は結んでいる。
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