【Globali】
中国の産出削減で石炭価格急騰(2016/10/18)
鉄鋼、石炭等の過剰生産設備の削減が今年の中国経済の大きな課題であるが、石炭の生産量削減で中国国内での石炭供給が足りなくなり輸入を増やし始めたため、世界の石炭需給がひっ迫し石炭価格が高騰している。このため中国は急きょ発電用石炭について生産削減の緩和を始めた。行き過ぎた中国の供給削減が世界の石炭産業に思わぬ棚ぼたの利益をもたらしている。
10月18日付
『ブルームバーグビジネス』は、「グレンコアの石炭ヘッジ(損失防止策)、価格高騰で痛手」という見出しで、世界最大の燃料輸出商社であるスイスのグレンコアが価格高騰前に行った価格下支えが発電用石炭の高騰の中裏目に出て利益を大きく押し下げていると報じた。同社は将来の売上高のうち、年間売上高の半分の額についてヘッジして価格を下支えしたため、2016年上半期に3億9,500万ドルの損失を計上した。...
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10月18日付
『ブルームバーグビジネス』は、「グレンコアの石炭ヘッジ(損失防止策)、価格高騰で痛手」という見出しで、世界最大の燃料輸出商社であるスイスのグレンコアが価格高騰前に行った価格下支えが発電用石炭の高騰の中裏目に出て利益を大きく押し下げていると報じた。同社は将来の売上高のうち、年間売上高の半分の額についてヘッジして価格を下支えしたため、2016年上半期に3億9,500万ドルの損失を計上した。石炭価格は6月より53%上昇し3年ぶりの高値を付けており、グレンコアの逸失利益は12億ドルに達する可能性があるとアナリストは見ている。
中国政府の急な産出削減策で製鉄用や発電用の石炭の輸入が急増し価格が高騰している。アナリストによれば中国政府は発電用石炭については政策を変更し、12月までは産出量を増やす方針のため石炭価格は下がり始めるかもしれない。グレンコアは債務削減のためのリスク管理の一環としてヘッジを行ったと説明していると報じている。
10月17日付
『ブルームバーグビジネス』は、「ホワイトヘイブン社、中国石炭産出削減緩和し供給を増やすと予想」という見出しで、豪州の石炭会社ホワイトヘイブン社によれば、中国は石炭価格沈静化のため産出制限を緩和すると見込まれると報じた。同社によれば、中国は非効率な炭鉱の産出削減は継続しつつ、効率の良い炭鉱では産出量を増加させると思われる。中国政府は石炭の供給過剰対策として生産者に産出削減を命じたが、結果として豪州の発電用石炭価格は今年70%上昇し、製鉄用原料炭は3倍になったと報じている。
10月17日付英国
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「100ドルの石炭価格でもアジアのLNG業界は苦戦」という見出しで、アジアのLNG(液化天然ガス)業界は最近の発電用石炭価格の高騰で漸くLNGの価格競争力が出て来たと見ていると報じた。石炭価格は100ドル近くまで高騰しているが、LNGによる発電コストは石炭に比べて高いため未だ競争力がない。業界関係者は今年の石炭価格上昇は驚きであったという。ただ、今後石炭価格は頭打ちになるとゴールドマンサックスのアナリストは見ているため、LNGにとっては未だ苦難の時期が続くと報じている。
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BRICS首脳会議インドで開催(2016/10/17)
10月15、16日に二日間の日程でインドのゴアにおいてBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5ヶ国)首脳会議が開催された。首脳会議は2009年から毎年開催されており今回が8回目。一時は世界の経済成長をけん引した5ヶ国であるが、ブラジル、ロシア、南アは資源価格の低迷でマイナス成長乃至はゼロ成長に近いレベルに陥り、中国も一時の高成長が曲がり角に来ている。インドのみがまずまずの経済状況であるが、全体としては力が低下していることは間違いない。5ヶ国は政治的には共通するものは少なく、テロの脅威に対する非難が一つの大きな項目となったぐらいであった。
10月16日付
『ワシントンポスト』(AP通信引用)は、「BRICS首脳、新開発銀行を評価」という見出しで、5ヶ国首脳は最近設立された新開発銀行の実績と、クリーンエネルギーや開発プロジェクトへの支援を評価したと報じた。5ヶ国首脳は現在の世界の格付け機関は新興国の経済成長を制約しており、新たな格付け機関を早期に設立することで合意した。BRICSの力が落ちて来ているのは事実であるが、このグループに参加したいといういくつかの国があり、一部は既に頭文字を使った独自のグループを作っている。...
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10月16日付
『ワシントンポスト』(AP通信引用)は、「BRICS首脳、新開発銀行を評価」という見出しで、5ヶ国首脳は最近設立された新開発銀行の実績と、クリーンエネルギーや開発プロジェクトへの支援を評価したと報じた。5ヶ国首脳は現在の世界の格付け機関は新興国の経済成長を制約しており、新たな格付け機関を早期に設立することで合意した。BRICSの力が落ちて来ているのは事実であるが、このグループに参加したいといういくつかの国があり、一部は既に頭文字を使った独自のグループを作っている。メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコでMINT、コロンビア、インドネシア、ベトナム、エジプト、トルコ、南アでCIVETSを作っている。アルゼンチンとエジプトはBRICSへの直接参加を望んでいるが、5ヶ国の間に現在のところBRICSを拡大する考えはない。新たな頭文字の名前を考える必要があるという問題に加えて、参加国を増やすことによりグループの同一性が薄まると見られている。
10月16日付
『ブルームバーグビジネス』は、「インドのモディ首相、BRICSに貿易の倍増とテロとの戦いを要請」という見出しで、モディ首相が今後4年間でBRICS間の貿易を倍増し、経済的繁栄の脅威となるテロとの戦いで一致団結することを要請したと報じた。今回のBRICS首脳会議は隣国パキスタンとの緊張が高まる中で開催され、テロ、安全保障、国防での連携が大きな話題となった。人口の多い新興国という以外に共通項の少ないBRICSはグループ間の団結性を欠いているが、新開発銀行を設立して世界的な課題に統一した態度で臨むことを目的としていた。モディ首相は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)の運営に対してBRICSなど新興国の意見を反映させる努力を重ねることを主張した。また既存の格付け機関の制約から浮き沈みのある新興国を解放するために新たな格付け機関の設立を急ぐことで合意した。また欧州諸国で持っているIMFの二つの理事ポストを新興国に譲ることを求めることで合意した。首脳会議は109項目からなるゴア宣言を採択して幕を閉じたが、中でもテロとの戦いでの団結と国際金融秩序の変革が大きな柱となった。
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