【Globali】
米共和党大会、政策綱領を採択(2016/07/20)
トランプ候補を共和党の正式大統領候補として選出する米国共和党党大会は7月18日に開幕し4日間の日程でオハイオ州のクリーブランドにおいて開催される。18日には大統領選の公約となる政策綱領が決定されたが、トランプ候補のこれまでの主張を反映して保守的で保護主義的なものとなっている。特に1930年代の大恐慌時代に銀行が証券業務に従事することを禁ずるために導入され1999年に当時のクリントン大統領により廃止されたグラス・スティーガル法の復活を求めることが明らかになったが、実際復活されれば、大銀行の解体にも繋がるものであり、米国で「ウォール街」と呼ばれる大銀行の反発は避けられない。従来は共和党支持だった「ウォール街」は、これまでトランプ候補の政策と業界の利害が一致しないとして、同候補に対し距離を置き資金支援も行っていない。今回の党大会には共和党主流派の多くが欠席していることも含めて、トランプ候補が主導する共和党は従来と大きく変わることは間違いないようだ。
7月18日付
『ニューヨークタイムズ』は、「記憶の中で最も極端な共和党政策綱領」という見出しで社説を掲載した。トランプ候補はこれまで共和党に混乱と害を与えてきたが、今回採択された政策綱領は、トランプ候補が与えたショックと同等のショックを与えた。綱領はトランプ候補の異端的な見方と従来の共和党の正統派の考えを調和させるものでは全くなく、極端な復古主義的なものとなっている。メキシコ国境の壁や保護主義は勿論のこと、強姦や母体の安全を守るための例外的堕胎も認めない、高校で聖書教育を義務化する、石炭燃料の使用、宗教を立法の指針とする、家族の価値を重んじる判事の任命、銃規制の拒否なども含まれる。...
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7月18日付
『ニューヨークタイムズ』は、「記憶の中で最も極端な共和党政策綱領」という見出しで社説を掲載した。トランプ候補はこれまで共和党に混乱と害を与えてきたが、今回採択された政策綱領は、トランプ候補が与えたショックと同等のショックを与えた。綱領はトランプ候補の異端的な見方と従来の共和党の正統派の考えを調和させるものでは全くなく、極端な復古主義的なものとなっている。メキシコ国境の壁や保護主義は勿論のこと、強姦や母体の安全を守るための例外的堕胎も認めない、高校で聖書教育を義務化する、石炭燃料の使用、宗教を立法の指針とする、家族の価値を重んじる判事の任命、銃規制の拒否なども含まれる。共和党はかつてすべての人に開かれた大きなテントであると主張したが、今やアメリカ人の生活とかい離し、政治的な進歩のために国が必要とする常識に欠ける破壊的な政策綱領で支えられた大きな壁を持つ党であると結んでいる。
7月19日付
『ワシントンポスト』は、「トランプ候補の党大会、ウォール街と資金支援から更に遠ざかる」という見出しで、ドナルド・トランプ候補は、大銀行の解体にも繋がるグラス・スティーガル法復活を要求する政策綱領で大銀行を追い詰め、ウォール街の不安を煽っていると報じた。これに対し業界関係者は、米国以外の大銀行は、そういう規制がないのでグラス・スティーガル法が復活すれば、ビジネスは外国の銀行に行ってしまう、と反論する。
また、一般産業界を代表する米商業会議所関係者は、規制の復活は一般産業にも不測の事態をもたらし、投資活動を縮小させると述べていると報じている。
7月19日付
『ブルームバーグビジネス』は、「共和党、JPモルガン、ゴールドマン解体を求めるバーニー・サンダース氏に共鳴」という見出しで、共和党の政策綱領にグラス・スティーガル法の復活を入れたことは、従来の共和党の主張と異なるが、民主共和両党とも金融業界を叩くことが勝利への途と確信しているからであると報じている。民主党の予備選挙で、サンダース候補はクリントン候補がウォール街から資金提供を受けていると批判して支持を広めたが、トランプ候補は同じ作戦を取ろうとしていると報じている。
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英国株式、離脱投票前のレベルを回復(2016/06/30)
英国の国民投票でEU離脱が決まった後の6月24日金曜日、日経平均は世界の主要株式指数の中で7.9%という最大の下げを演じ、昨日29日の終値でも未だ投票前のレベルの48%と半分も回復していない中、お膝元英国の株価指数であるFTSE100は29日既に23日の株価を超えるレベルまで戻った。FTSE100は英国の国際的巨大企業100社の株価により構成されており、EU離脱が決まった後英ポンドが売られて大きく切り下がった結果輸出の伸びによる増益が期待されていることが株価回復の要因の一つである。投票直後の混乱を経てある程度冷静さを取り戻して考えてみると、実際の離脱は未だ先のことで短期的には状況は変わらないのだと市場が覚ったことも要因と考えられる。
一方日本は離脱決定後円高に見舞われ、特に輸出の多い大企業の株価が打撃を受けていることが日経平均の回復が遅い理由と考えられる。こうして見ると英国の株価の動きも楽観的過ぎるような気もするが、長期的な影響はともかくとして今回の騒動で短期的に最も割を食ったのは急激な円高となった日本だったのではないだろうか。
6月30日付
『ブルームバーグビジネス』は、「英巨大企業、4日でBREXIT(英国EU離脱)を振り払う」という見出しで、ポンド安、商品高、中央銀行の支えが英FTSE100(英トップ100企業)株価指数を国民投票前の水準に回復させたと報じた。英国の国際的巨大企業により構成される指数はこの2日間で6.3%という2011年以来の上げ幅で今年4月の水準まで戻した。これらの企業は国内中心の企業よりEU離脱の影響が少なく、ポンド安による輸出の増加という恩恵を受ける。...
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6月30日付
『ブルームバーグビジネス』は、「英巨大企業、4日でBREXIT(英国EU離脱)を振り払う」という見出しで、ポンド安、商品高、中央銀行の支えが英FTSE100(英トップ100企業)株価指数を国民投票前の水準に回復させたと報じた。英国の国際的巨大企業により構成される指数はこの2日間で6.3%という2011年以来の上げ幅で今年4月の水準まで戻した。これらの企業は国内中心の企業よりEU離脱の影響が少なく、ポンド安による輸出の増加という恩恵を受ける。英国内ビジネス中心の企業を含むFTSE250は現在投票前より7.7%低いレベルにある。
多くのエコノミストの予測では、英国は今後不況に突入すると見られるが、その場合バンクオブイングランド(中央銀行)が利下げを行い、更にポンド安に拍車をかけると見る向きも多い。もっとも株価は直ぐに回復したものの、このまま安定するかどうかはわからないと言うアナリストもいると報じている。
6月30日付
『ヤフーニューズ』(スカイニューズ引用)は、「FTSE100、EU離脱投票後の損失を埋める」という見出しで株価の動きを報じた。FTSEの動きは英国が単一市場のメリットの一部が残ることにより、この事態を乗り切るという希望的観測に基づいているという専門家のコメントを引用している。
6月29日付英国
『ガーディアン』は、「FTSE100、Brexit投票前のレベルに」という見出しで、主要ロンドン市場上場株は1日の上昇では2011年10月以来の上昇を記録し、EU離脱投票以来の損を埋めて更に上昇したと報じた。投資家は政府が混乱しており数か月間は離脱は起こらないと思い、パニック売りを反転させた。また売られ過ぎと見た割安株投資家も居たとアナリストは見る。逆張り投資が優勢の株価上昇は理解し難い。投資家は現状について楽観視しているというアナリストもいる、と報じている。
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