中国当局は、中国国家製薬集団(シノファーム)が開発した新型コロナウイルスのワクチンをいち早く承認し、7月から国内での接種を許可にした。しかし、ワクチンを接種したにもかかわらず、ウガンダで47人の中国人労働者が新型コロナウイルスに感染した。
ウルグアイメディア
『メルコプレス』によると、臨床試験が完了する前段階の6月(現在は第3相臨床試験中)に、シノファームの子会社である中国国家生物技術集団公司グループとシノバック・バイオテック社が開発した2つの候補品が、同月から始まった緊急使用プログラムの一環として、「必要不可欠な労働者」対象への接種が許可された。11月の時点で、臨床試験中のワクチンは中国国内で100万人に投与されている。
ワクチン接種の主な対象は、外交官、学生、少なくとも56,000人の国営企業の建設労働者など、海外に駐在する中国国民であり、シノファーム社のワクチンを接種した。...
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ウルグアイメディア
『メルコプレス』によると、臨床試験が完了する前段階の6月(現在は第3相臨床試験中)に、シノファームの子会社である中国国家生物技術集団公司グループとシノバック・バイオテック社が開発した2つの候補品が、同月から始まった緊急使用プログラムの一環として、「必要不可欠な労働者」対象への接種が許可された。11月の時点で、臨床試験中のワクチンは中国国内で100万人に投与されている。
ワクチン接種の主な対象は、外交官、学生、少なくとも56,000人の国営企業の建設労働者など、海外に駐在する中国国民であり、シノファーム社のワクチンを接種した。ロイター通信は11月、シノファーム社が、同社ワクチンを接種して海外に渡った人の中で感染した者はいないと豪語していると報じていた。
しかし、在ウガンダの中国大使館は12月5日、ウガンダのインド企業に勤務する47人の中国人が新型コロナウイルスに陽性反応を示したと発表した。大半は無症状だったが、「少数」は発熱、咳、倦怠感、下痢などのウイルスの症状を経験したとしている。
大使館はウガンダの華僑・中国系機関に対し、クラスター感染を防ぐために必要な措置を講じるよう注意喚起した。
ワクチンを接種した47人の労働者がウイルスに陽性反応を示し、数は未公表だが、症状のある労働者がいることは、中国のワクチンの有効性に疑問を投げかけている。今回の発表に対しシノファーム社は、大規模なワクチン接種は緊急時の使用規定に従って実施され、安全で効果的であると主張している。しかし、専門家らは、5月以降の中国におけるコロナウイルスの「公式」感染率は非常に低く、予防接種を受けた人々に関するデータが不足しているため、シノファーム社の主張を裏付けるものではないと指摘している。
ラジオ放送局『ラジオ・フリー・アジア』によると、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンは今月初め、シノファーム社が開発したワクチンを承認したと発表したが、医学誌「ネイチャー」は国際的には科学的なデータはほとんどないと報じている。
中国の国営メディアによると、シノファーム社はアフリカを含む100カ国以上からワクチンを受注しているという。ネイチャー誌は14日、シノファーム社のワクチンは、エジプト、ヨルダン、アルゼンチンなどでも第3相臨床試験が行われているため、次に承認を検討する国の一つになる可能性が高い、と報じている。同誌は、香港大学のウイルス学教授である金冬雁氏の話を引用し、中国産ワクチンは安全であると思われるが、海外で大量に販売するためには、中国企業がワクチンの安全性と有効性への信頼を高める必要があるとしている。
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既報どおり、安倍晋三政権は先週、新型コロナウィルス(COVID-19)治療薬として米製薬会社製抗ウィルス薬“レムデシビル”を、申請から僅か4日間という異例のスピードで承認した。同政権の次なる期待は、日本の製薬会社製の“アビガン”の有効性確認、承認である。そうした中、遥か昔から別の疾病用の治療薬として開発された薬が、COVID-19治療薬として俄かに注目され始めていると米メディアが報じている。
5月13日付
『ロイター通信』:「日本で2種類のCOVID-19治療薬に期待増」
安倍晋三政権はこの程、抗ウィルス薬として日本の製薬会社、富士フイルム富山化学製の“アビガン”を可及的速やかに承認し、増産体制確立のための補助金1億2,800万ドル(約137億円)拠出を検討していると表明した。
しかし、日本製の抗ウィルス薬として、もうひとつ有力候補がある。
小野薬品工業(注1後記)が35年前に、慢性膵炎の薬として開発した“カモスタット”で、政府レベルからまだ関心は持たれていないが、日本や海外の感染症専門家の間ではCOVID-19治療薬として注目され始めている。...
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5月13日付
『ロイター通信』:「日本で2種類のCOVID-19治療薬に期待増」
安倍晋三政権はこの程、抗ウィルス薬として日本の製薬会社、富士フイルム富山化学製の“アビガン”を可及的速やかに承認し、増産体制確立のための補助金1億2,800万ドル(約137億円)拠出を検討していると表明した。
しかし、日本製の抗ウィルス薬として、もうひとつ有力候補がある。
小野薬品工業(注1後記)が35年前に、慢性膵炎の薬として開発した“カモスタット”で、政府レベルからまだ関心は持たれていないが、日本や海外の感染症専門家の間ではCOVID-19治療薬として注目され始めている。
本薬は、まだ臨床試験で有効性が認められていないが、かつて、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウィルスに対する研究で、動物実験での効果が認められていた。
そこで、今回のCOVID-19治療薬としての可能性も注目され、3月発行の科学誌『セル(注2後記)』に掲載された、イェール大学医学大学院(1810年設立、コネチカット州の私立大学)のジョセフ・ビネッツ博士の研究論文によると、“カモスタット”は、COVID-19ウィルスが肺に侵入するのに必要な酵素を退けたという。
同教授は、“35年間の使用実績があり、安全性は保証されている”とし、“更に有効性確認のための研究を続けたい”としているが、そのための資金が必要だとも付言している。
また、イスラエルのシーバ・メディカル・センター(1948年設立の同国最大規模の病院)のイチャック・レビー医師は、4月に“カモスタット”の試験投与を始めていて、“14例で効果がみられており、今後に期待している”と表明している。
更に、ケンタッキー大学(1865年設立の州立大学)でも“カモスタット”の研究が続けられているが、同大学のエリヤ・カカーニ助教授は、“期待し過ぎないようにして、問題の有無について冷静に考慮に入れて研究していく必要がある”とコメントしている。
なお、安倍政権は今月初め、米バイオ医薬品製薬会社ギリアド・サイエンシズ(1987年設立、本社はカリフォルニア州)製の“レムデシビル”を先行して特別承認し、COVID-19の重症患者治療用に充てる意向である。
一方、“アビガン”については、中国の医師団が今年3月、COVID-19患者に投与して効果があったと発表したことから、日本において俄然注目されることになっている。
安倍政権としては、本薬について十分な治験を経た上で今月末までに承認し、製薬会社側の増産を支援した上で、海外43ヵ国からの正式要請を踏まえて無償で供与していきたいと考えている。
なお、富士フイルム富山化学の親会社、富士フイルム(1934年設立の精密化学メーカー)の古森重隆会長(80歳)は長年の安倍首相支援者である。
ただ、同社広報は、今回の“アビガン”採用について、同社会長と安倍首相の関係とは一切関係がないとコメントしている。
(注1)小野薬品工業:1947年、前身の日本理化学工業として大阪で設立された医家向け医薬品製薬会社。ガン免疫薬のオプジーボが有名。
(注2)セル:米セル出版が発行している、1974年創刊の隔週刊の学術雑誌。医学・生化学・分子生物学等、ライフサイエンス分野における世界最高峰の学術雑誌で、同誌からの論文の引用の数を示すインパクトファクターが高いことで有名。『ネイチャー』、『サイエンス』とともに三大科学誌に数えられている。
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