太陽系外惑星:鉄が雨となって降る惑星、WASP-76bを発見(2020/03/13)
『フランス国際ラジオ』によると、天文学者たちは、640光年の彼方にある恒星の周りを回る、特別な気象を持つ太陽系外惑星、WASP-76bを発見した。
この発見は、科学誌
『ネイチャー』に発表されたものである。ネイチャー誌の発表記事によると、WASP-76bの気候は、温度が高く鉄の雨が降るという。
WASP-76bは、巨大なガスで成り立っている惑星という点で、木星に近いが、木星の方は温度が低いのに対して、WASP-76bは極めて温度が高く、昼間は2400℃に達するという。
なお、WASP-76bと木星は、ほぼ同じ質量であるが、WASP-76bの方が2倍大きく、より過酷な気象を持つという。...
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この発見は、科学誌
『ネイチャー』に発表されたものである。ネイチャー誌の発表記事によると、WASP-76bの気候は、温度が高く鉄の雨が降るという。
WASP-76bは、巨大なガスで成り立っている惑星という点で、木星に近いが、木星の方は温度が低いのに対して、WASP-76bは極めて温度が高く、昼間は2400℃に達するという。
なお、WASP-76bと木星は、ほぼ同じ質量であるが、WASP-76bの方が2倍大きく、より過酷な気象を持つという。
一方、WASP-76bは、恒星の周りを43日間で一周するのに対して、木星は太陽の周りを12年間かけて一周する。
WASP-76bの研究を指揮するジュネーブ大学、天文学部のエーレンライッヒ教授によると、WASP-76bは、恒星にかなり接近しており、恒星に面する日中では、2400℃の高温に達するという。この2400℃という温度は、低温の恒星温度に匹敵するという。
それに対して、恒星に当たっていない夜の部分は昼の部分より、1000℃低く、1400℃となる。さらに、WASP-76bは、地球と月の関係と同様に、恒星に常に同じ面を向けているので、昼から夜への境界面では1000℃の温度差が形成されているので特異な現象が起きているという。
エーレンライッヒ教授の研究グループは、昼から夜への温度低下が鉄の凝縮で蒸気を発生させ、雲が形成され、液体の鉄の雨が降ることになると推測している。
太陽系外惑星、WASP-76bの観測は、チリのアタカマ砂漠にある新しい天体望遠鏡(VLT)を使った星の分光解析(ESPRESSO)で初めて可能になったという。
ESPRESSOを使っての今後の太陽系外惑星研究の進歩を見守りたい。
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海面上昇による被災人口、これまでの推定規模の3倍以上となる可能性;米NPO研究(2019/10/31)
米環境NPOクライメット・セントラルは29日、2050年までに気候変動による沿岸洪水のリスクにさらされる人の数が、過去の推定規模の3倍以上に達し、特にアジア周辺や北米・欧州の都市などで、海面上昇の影響を受ける可能性があるとの研究結果を発表した。
『ロイター通信』や米
『ワシントンポスト』、英
『ガーディアン』など多くのメディアが、クライメット・セントラル(Climate Central)の研究について報じた。地球温暖化は、そうした世界で最も人口密度が高い一部の地域に益々大きな影響をもたらしており、3年間にわたった本研究は、今後発生が予測される災害の規模を強調している。
本研究は、学術雑誌「ネイチャー コミュニケーションズ」に公表された。...
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『ロイター通信』や米
『ワシントンポスト』、英
『ガーディアン』など多くのメディアが、クライメット・セントラル(Climate Central)の研究について報じた。地球温暖化は、そうした世界で最も人口密度が高い一部の地域に益々大きな影響をもたらしており、3年間にわたった本研究は、今後発生が予測される災害の規模を強調している。
本研究は、学術雑誌「ネイチャー コミュニケーションズ」に公表された。論文の執筆者らは、各国政府が温室効果ガスの排出量を相当程度抑制できたとしても、沿岸洪水の予防策が適切に講じられなければ、今世紀の半ばまでに、現在3億人が住んでいる地域で、少なくとも年に1回の洪水が発生するリスクがあると警告した。
具体的には、中国、バングラデシュ、インド、ベトナム、インドネシア、タイの約2億3700万人が住む地域が、毎年洪水に見舞われる可能性があるとしている。さらにオランダの殆どの地域や、ロンドン、ニューヨーク、マイアミ、東京などの諸都市、他の工業化された一部の地域なども被災するリスクがあると指摘した。
これまでの推定では、影響を受ける人数は約8000万人にとどまり、中国、バングラデシュ、インド、ベトナムの住民が大半を占めるとされていた。今回の予測では、その3倍以上の人口がリスクにさらされることになる。
従来の推定より被災の可能性がある人口が大幅に増加した理由について、研究者らは、人工知能(AI)を活用して、これまでの算出結果のシステム的な誤りを正したことを挙げた。以前のデータは、2000年のスペースシャトルによるレーダー解析などを基にしており、人が住む沿岸地域の多くが、地上構造物や木などによって実際より標高が高く、従ってより安全な場所であると認識されていた。海面上昇が急速に進んだのではなく、より多くの人が低い土地に住んでいると判明したことが、予測を上方修正した原因だ。
クライメット・セントラルは、各国政府に対し、沿岸洪水の予防策をさらに講じるとともに、海面上昇抑制の実現可能性を調査し、昨年最高水準を記録した温室効果ガス排出量の縮減を図るための行動を早急に取るよう呼びかけている。
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