ネアンデルタール人(注1後記)はかつて、現生人類のホモ・サピエンス(約20万年前にアフリカに現出)の祖先であるとみられていた。しかし、遺骨(化石)から得られたミトコンドリアDNA(注2後記)の解析結果に基づき、現在では直系先祖ではなく別系統の人類であるとする見方が有力となっている。そしてこの程、40年近く前に中国で発見された遺骨が、科学者による解析の結果、ネアンデルタール人の兄弟種とみられるデニソワ人(注3後記)のものであることが判明した旨科学誌で報じられた。
5月1日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「中国で発見された遺骨(化石)から、謎めいたネアンデルタール人の解明に光明」
中国の科学チームは、5月1日にリリースされた英国科学雑誌『ネイチャー』において、1980年に中国北西部の甘粛省(カンスー)で発見された遺骨のタンパク質断片を解析した結果、デニソワ人のものと一致したと発表した。
デニソワ人については、これまで詳細が判っておらず、科学者は、ミトコンドリアDNAの解析から、ネアンデルタール人の兄弟種とみられるとのみ公表していた。...
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5月1日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「中国で発見された遺骨(化石)から、謎めいたネアンデルタール人の解明に光明」
中国の科学チームは、5月1日にリリースされた英国科学雑誌『ネイチャー』において、1980年に中国北西部の甘粛省(カンスー)で発見された遺骨のタンパク質断片を解析した結果、デニソワ人のものと一致したと発表した。
デニソワ人については、これまで詳細が判っておらず、科学者は、ミトコンドリアDNAの解析から、ネアンデルタール人の兄弟種とみられるとのみ公表していた。
この遺骨は、デニソワ人の遺骨が発見されたシベリアから1,400マイル(約2,300キロメーター)南西の甘粛省夏河県(シアホー)の白石崖溶洞で発見され、少なくとも16万年前の下顎骨とみられていた。
発見者の修道僧は当初、当該骨を仏教指導者に渡したが、同指導者がだいぶ経ってから、中国国立蘭州大学(1925年設立)に譲渡し、2010年から解析研究が始められたものである。
ただ、今回の解析結果で更に謎となったことは、シベリアの海抜レベル近いところで居住していたとみられるデニソワ人が、何故標高が1万800フィート(約3,240メーター)ものチベット高原に棲息していたか等である。
しかし、専門家によれば、『ネイチャー』の2015年研究報告では、台湾沖で漁網にかかった顎骨に、デニソワ人に近似したタンパク質が認められていることから、ネアンデルタール人の兄弟種のデニソワ人が、アジア地域まで居住地を拡げていたと言えるという。
(注1)ネアンデルタール人:約40万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したとみられるヒト属の一種であるが、新しい学説では、4万年前に絶滅したと示されている。ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。最初に科学的研究の対象となったネアンデルタール人の化石が見つかったのは1856年で、場所はドイツのデュッセルドルフ郊外のネアンデル谷の洞窟。現生人類であるホモ・サピエンス誕生は約28万年
(注2)ミトコンドリアDNA:細胞小器官であるミトコンドリア内にあるDNAのこと。ミトコンドリアが細胞内共生由来であるとする立場から、ミトコンドリアゲノムと呼ぶ場合もある。
(注3)デニソワ人:約4万1千年前に居住していたヒト族。2008年、ロシア・シベリアのアルタイ山脈内のデニソワ洞窟で初めて遺骨を発見。2010年3月の英国科学雑誌『ネイチャー』において、マックス・プランク進化人類学研究所の研究チームは、発見された骨のミトコンドリアDNAの解析結果から、100万年ほど前に現生人類から分岐した、未知の新系統の人類だったと発表している。
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北半球での羅針盤の磁針の北を示す方向位置(磁北極)が、最近40年間でランダムに変化しているという。1世紀前はカナダの北沿岸部にあった磁北極が、現在では北極海の中にあり、ロシアに向かって移動しているという。
英国のエディンバラ市の英国地理探査局(BGS)のシアラン・ベガン研究員によると、磁北極は1900年から1980年の間、あまり変動はなかったが、それ以後の40年間は変動が激しくなり、毎年、50kmほど変動しているという。...
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北半球での羅針盤の磁針の北を示す方向位置(磁北極)が、最近40年間でランダムに変化しているという。1世紀前はカナダの北沿岸部にあった磁北極が、現在では北極海の中にあり、ロシアに向かって移動しているという。
英国のエディンバラ市の英国地理探査局(BGS)のシアラン・ベガン研究員によると、磁北極は1900年から1980年の間、あまり変動はなかったが、それ以後の40年間は変動が激しくなり、毎年、50kmほど変動しているという。
ベガン研究員によれば、WMMの更新時期が2020年を予定していたが、米軍は、その時期を早めるように要求しているとのことである。
そのため、米国の科学誌『ネイチャー』によれば、WMMの更新データは今月の30日に刊行されることとなった。
なお、WMMのデータは、英国のBGSと米国の海洋大気庁(NOAA)が管轄しており、このデータはNATO、米軍、英国軍および民間の船舶航行に広く利用されている。
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