ドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)は先月末、2016年の大統領選投票前の、ポルノ女優への口止め料支払いに関わる虚偽報告等の罪で起訴された。トランプはもとより共和党も、不当起訴を理由に反って支持を固められると嘯くも、直近の世論調査では、民主党はもとより無党派層含めた世間一般は、過半数が起訴は当然と受け止めている。
4月9日付
『ABCニュース』、
『ニューヨーク・ポスト』紙、
『メディエイト』オンラインニュース報道によると、先月末のドナルド・トランプ前大統領起訴に関し、民主党はもとより世間一般の人たちは過半数が起訴は当然と捉えているという。
『ABCニュース』(1945年設立)が4月9日にリリースした直近の世論調査「ABCニュース/イプソス」(注後記)によると、回答者の53%がドナルド・トランプ前大統領の違法行為を認め起訴を当然と受け止めているという。
他に、11%が起訴は当然としながらも意図的なものでなかったとしたが、トランプは間違っていないとした人は僅か20%であり、残り16%は分からないとの回答であった。
党派別の内訳をみると、民主党支持者は実に87%が意図的に違法行為をしたとし、無党派層も57%がこの主張に同意している。
しかし、共和党支持者では意見が割れていて、45%が何も悪いことはしていないとし、意図的に違法行為をしたとする人は19%、意図的でないにせよ悪いことをしたと主張する人は18%、残り17%は分からないと回答している。
一方、無党派層では、起訴が判明した翌日の4月1日の調査では、43%が当該違法行為を深刻に捉えるとしていたが、4月4日の前大統領出廷による罪状認否を受けて起訴内容が明らかになった後の調査の結果、起訴を当然と捉える人が54%に増えている。
なお、トランプ自身や弁護人のジョー・タコピーナ弁護士(56歳)は、“2024年大統領選運動を妨害するためのでっち上げ事件”等々と全否定している。
これに対して、ニューヨーク州マンハッタン地区のアルビン・ブラッグ検察官(49歳、2021年就任)は、トランプらは“スキャンダルの揉み消しに深く関わっている”とし、“大統領経験者であろうと、ニューヨーク州では重罪とされる犯罪行為だ”と反論している。
(注)世論調査「ABCニュース/イプソス」:フランスのコンサルタント会社イプソス(1975年設立)に委託して行っている調査。4月6~7日の間、任意に抽出した成人回答者566人に英語とスペイン語で質問したもので、回答者の党派別内訳は、民主党支持者26%、共和党支持者25%、無党派層40%。
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米中関係は、2月初めの中国偵察気球の撃墜以来、更に緊張度が増している。そうした折り、南シナ海を飛行中の米軍哨戒機に対して、中国戦闘機が異常接近してきて1時間余りも挑発飛行を行ってきた。なお、同哨戒機は、同海域を更に南下したところで、今度は中国軍艦からも脅しの警告を受けている。
2月25日付
『Foxニュース』は、「中国戦闘機、米軍哨戒機に500フィートまで異常接近して中国領空からの退去を要求」と題して、異常接近事態について詳報している。
米海軍機が2月24日、南シナ海上空を飛行中に、中国空軍の地上局からスクランブル発進をかけるとの警告を受信した。
『NBCニュース』報道によると、米海軍P-8哨戒機は、南シナ海の中国領空外を飛行中であったにも拘らず、“これ以上近づくと、それ相応の対応を仕掛ける”と脅す警告であった
という。
警告から間もなく、中国軍戦闘機が異常接近してきて、当該哨戒機の左翼から僅か500フィート(約150メートル)の至近距離を1時間余りも並進したという。
米軍高官によれば、このような異常接近は南シナ海でしばしば起こっているという。
この背景には、中国が南シナ海の広い範囲に点在する多くの無人島を自国の主権内領土だと強硬に主張していることがある。
同機のウィル・トラ-ソン機長は、同乗している『NBCニュース』記者のインタビューに答えて、“(接近してくるに当たって)我々の問いかけに何ら返答してこないことがよくある”とコメントした。
また、嘉手納米軍基地のマーク・ハインズ司令官は、“米海軍に所属して18、19年経つが、最近南シナ海ではこのような事態が異常なくらい多く発生している”とし、中国が同海域に人工島上に滑走路を建設して以来の事態につき言及している。
更に、米国が今月初め、米領空上を飛行していた中国偵察気球を撃墜して以来、米中間の緊張度が高まっている。
そこで、アントニー・ブリンケン国務長官(59歳、2021年就任)が撃墜から約2週間後に王毅中央外事工作委員会弁公室主任(ワン・イー、69歳、外交部門トップ、2023年就任)と面談した際、“(偵察気球の米領空侵入という事態は)二度と引き起こしてはならない”と釘を刺している。
王氏から何ら謝罪の言葉はなかった模様であるが、中国はこれまで、米国側の撃墜事態について、“ヒステリック”で国際法上“道理を欠いた”行為だと公に非難している。
同日付『ニューヨーク・ポスト』紙は、「中国戦闘機、米軍哨戒機に中国領空から退去を要求」として、当該哨戒機が中国軍艦からも警告を受けた旨報じている。
米哨戒機に同乗していた『CNNニュース』記者の報道によると、同機が2月24日、南シナ海の中国領空より30マイルほど離れた空域を飛行中、中国軍戦闘機が突然接近してきて、中国領空から即時退去するよう要求してきたという。
中国軍パイロットは、“米軍機は中国領空の12海里(約22キロメートル)内に入っているので、即刻退去しない場合、それ相応の事態が起きることになる”と脅してきたという。
米哨戒機のパイロットのニッキー・スローター大尉は、中国軍機が空対空ミサイルを搭載していることを見咎めたことから、“こちらは米海軍機P-8Aだが、西方に飛行していくので、左翼を並進しないよう求める”と送信した。
しかし、同大尉によると、中国軍機からは何の応答もなく、それから15分余りも米軍機の左翼から数百フィート近くを並進し続けたという。
これに関し、嘉手納基地のハインズ海軍司令官は『CNNニュース』のインタビューに答えて、“南シナ海におけるいつもの金曜午後の事態だ”と軽視するコメントをした。
しかし、今回の事態はまだ続きがあった。
同哨戒機が更に南下して、フィリピン沖まで飛行していったところ、中国軍のミサイル駆逐艦を見咎めたので、スローター大尉が同機を1千フィート(約300メートル)まで近づけたところ、同艦から警告無線を受信したという。
すなわち、同艦から、“米軍機に告ぐ、こちらは中国海軍艦173であるが、かなり接近してきているので、その意図を明らかにせよ”と言ってきた。
同大尉は、安全な距離を保っていると即答したが、同艦は更に、“米軍機は明らかに当艦を危険に曝している”と反論してきた。
そこで同大尉は、“当機は貴艦から十分安全は距離を保って飛行している”とした上で、“当機はこのまま任務を続ける”と強調したという。
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