石炭火力発電所;日本では依然171基稼働も英国で最後の石炭火力発電所が閉鎖【英国メディア】(2024/10/07)
英国でこの程、最後の石炭火力発電所が閉鎖された。1882年に世界初の石炭火力発電所が同国で稼働開始していたが、クリーンエネルギー転換政策強化の一環の措置で、これに伴い同国の再生可能エネルギー発電比率が50%超となる。なお、日本では依然171基の石炭火力発電所が稼働していて、2023年のエネルギー源比率は化石燃料発電(石炭含む)66%、再生可能エネルギー26%、原子力8%である。
10月6日付
『ジ・インディペンデント』紙は、英国で世界初の石炭火力発電所が稼働開始して以来、142年続いた歴史に幕が下りたと報じている。
英国は1882年初め、世界初の石炭火力発電所(注後記)を稼働開始して以来、発電の歴史を築いてきた。
しかし、世界のクリーンエネルギーへの転換政策を牽引する意向の下、同国最後のラトクリフ・オン・ソア石炭火力発電所(中部のノッティンガム在、1968年稼働開始)が9月30日に閉鎖された。...
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10月6日付
『ジ・インディペンデント』紙は、英国で世界初の石炭火力発電所が稼働開始して以来、142年続いた歴史に幕が下りたと報じている。
英国は1882年初め、世界初の石炭火力発電所(注後記)を稼働開始して以来、発電の歴史を築いてきた。
しかし、世界のクリーンエネルギーへの転換政策を牽引する意向の下、同国最後のラトクリフ・オン・ソア石炭火力発電所(中部のノッティンガム在、1968年稼働開始)が9月30日に閉鎖された。
この結果、英国における水力・風力・太陽光等の再生可能エネルギー源比率が、昨年の44%から50%超に増加することになる。
2010年実績が僅か7%であったから、大幅増となる。
国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)議長国アゼルバイジャンのムフタ―ル・ババエフ環境天然資源相は、“世界で最も速いエネルギー転換の一つであり、強い決意の下での感動的な例だ”と称賛した。
エネルギーシンクタンクの「エンバー」(2008年設立、英国本拠)によると、現在69ヵ国(ブラジル・スウェーデン・デンマーク・カナダ・チリ等)が電力源の50%以上を再生可能エネルギーに依拠しており、そのうちほぼ100%となっているのが7ヵ国(アルバニア・ブータン・ネパール・パラグアイ・アイスランド・エチオピア・コンゴ)であるという。
一方、「国際エネルギー機関」(IEA、1974年設立、西側29ヵ国加盟、本拠フランス)によ
ると、未だ世界で稼働している石炭火力発電所(約8,500、うち半分以上が中国)は、温室効果ガス総排出量の3分の1を占めているとする。
(注)世界初の石炭火力発電所:ロンドン中心部に1882年初めに建設されたホルボーン高架橋公共蒸気駆動石炭火力発電所。米発明家のトーマス・エジソン(1847~1931年)主導によるものなので、エジソン電灯発電所とも呼ばれた。ただ、ガス灯よりコストが割高だったこと等から1886年に閉鎖。
(参考)日本のエネルギー源比率:資源エネルギー庁資料によると、2019年・2023年・2030年のエネルギー源比率の変遷は、化石燃料75%・66%・41%、再生可能エネルギー19%・26%・36~38%、原子力6%・8%・20~22%。
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英国地球科学専門誌、エベレスト標高が年々上昇している地質学上の理由を解明したとする研究論文掲載【英国メディア】(2024/10/03)
ヒマラヤ山脈にある世界最高峰のエベレストは、僅かながら年間数ミリずつ標高が高くなっている。これまではプレートテクトニクス(注後記)によるものとされてきたが、英国地球科学専門誌がこの程、地下の高温の液体マントルからの強い圧力によるものだとする新設を唱える研究論文を掲載している。
10月1日付
『BBCニュース』、
『ジ・インディペンデント』紙は、直近の地球科学専門誌が、エベレストの標高が年々上昇している地質学上の新たな理由を解明したとする研究論文を掲載していると報じた。
9月30日発行の英国査読科学月刊誌『ネイチャー・ジオサイエンス』(2008年創刊)は、エベレストの標高が年々高くなる理由の新説を唱える研究論文を掲載した。
エベレストは2020年、正式な標高が8,848.86mと認定されているが、年々2mm程度標高が高くなっていて、それはプレートテクトニクスによるものだと説明されてきていた。...
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10月1日付
『BBCニュース』、
『ジ・インディペンデント』紙は、直近の地球科学専門誌が、エベレストの標高が年々上昇している地質学上の新たな理由を解明したとする研究論文を掲載していると報じた。
9月30日発行の英国査読科学月刊誌『ネイチャー・ジオサイエンス』(2008年創刊)は、エベレストの標高が年々高くなる理由の新説を唱える研究論文を掲載した。
エベレストは2020年、正式な標高が8,848.86mと認定されているが、年々2mm程度標高が高くなっていて、それはプレートテクトニクスによるものだと説明されてきていた。
しかし、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL、1826年創立の国立大学)の地球科学研究グループが同月刊誌に投稿した研究論文によると、従来のプレートテクトニクスだけでなく、エベレストの東側を流れる川が長い間に渓谷を大きく削った浸食による力も加わったためだとしている。
すなわち、この浸食によって地殻の一部が質量を失い、地下の高温の液体マントルからの強い圧力によってエベレストを押し上げた隆起によるものだとする、地殻均衡リバウンド説を唱えている。
同論文によると、当該浸食が8万9千年の間に特に激しくなり、エベレストはその間に15~50m隆起したと推定されるという。
研究に関わった科学者の説明は以下のとおり。
●アダム・スミス博士
・エベレストの75km東側を流れるアルン川が、8万9千年前に他の川と合流して大きな落差のある南方に流れを変えて、高水量とともに浸食力を増大したために多くの土砂・堆積物が削り取られて流失。
・長期にわたって流された土砂・堆積物は何十億トンと推定され、その質量喪失によって地下の液体マントルによる上方への圧力が増して地殻均衡リバウンドが発生。
●マシュー・フォックス博士
・当該浸食が激しくなった8万9千年の間の隆起は15~50mと推定されるが、現在では全地球無線測位システム(GPS)によって、年間約2mm隆起していることが確認可能。
(注)プレートテクトニクス:1960年代後半以降に発展した地球科学の学説。地球の表面を覆う何枚かのプレートが、互いに動くことで大陸移動等が引き起こされるとするもので、この理論の下、エベレストは年間数ミリずつ標高が高くなっていると説明。
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