米学術誌;中国主要都市の約半分に地盤沈下問題発生との研究論文掲載(2024/04/21)
上海では2012年初、超高層ビル群における深刻な地盤沈下が発生していると大きく報道された。爾来、地下水の汲み上げ制限等で対応してきているが、以降も超高層ビル建築が後を絶たず、同ビル群の自重による地盤沈下が問題を深刻化させていた。そうした中、この程米学術誌に掲載された研究論文によると、中国主要都市の約半分(約1億3千万人居住)が深刻な地盤沈下に遭っているという。
4月19日付
『ロイター通信』等は、米学術誌がこの程、中国主要都市の半分近くが深刻な地盤沈下に遭っているとの研究論文を掲載していると報じた。
米学術誌『サイエンス』(1880年創刊の週刊誌)は4月19日、中国の主要都市の約45%で、年間3ミリ以上の地盤沈下問題が発生しているとの研究論文を掲載した。
更に、そのうち16%が、年間10ミリ以上沈下するという深刻な状況になっているという。...
全部読む
4月19日付
『ロイター通信』等は、米学術誌がこの程、中国主要都市の半分近くが深刻な地盤沈下に遭っているとの研究論文を掲載していると報じた。
米学術誌『サイエンス』(1880年創刊の週刊誌)は4月19日、中国の主要都市の約45%で、年間3ミリ以上の地盤沈下問題が発生しているとの研究論文を掲載した。
更に、そのうち16%が、年間10ミリ以上沈下するという深刻な状況になっているという。
同論文を投稿したのは、サウスチャイナ・ノーマル・ユニバーシティ(華南師範大学、1933年設立の広東省立大)敖祖瑞教授(アオ・チュールイ)の率いる研究チームで、人口200万人以上の都市計82市の2015~2022年の間の地盤沈下状況を調査した結果だとする。
敖教授は、“中国では既に9億人余りが大都市圏に居住しており、それに比べると地盤沈下が引き起こされている都市はまだ少ないと言われるが、同様の問題は他の都市にも波及していくことは避けられない”とコメントしている。
何故なら、主たる原因は、地下水の汲み上げや、高層ビル群の建設に伴う自重による地盤沈下であるからだとする。
更に同研究チームは、中国最大都市の上海では過去100年で3メートル以上地盤沈下している一方、首都北京も地下鉄や高速道路近辺では年間45ミリも沈んでいることが判明したという。
中国政府はこれまで、洪水等の自然災害によって年間75億人民元(10億400万ドル、約1,600億円)の損失を出している。
しかし、このまま進むと、来世紀には沿岸都市部の4分の1近くが海水面より下になるため、台風・大雨等による洪水被害が益々増大し、数億人が被災することになるという。
また、同研究チームの一員である英イースト・アングリア大(1963年設立の国立大学)気候変動問題専門のロバート・ニコルズ教授は、“地盤沈下は、建物や重要インフラを危険にさらし、特に海面上昇を強める沿岸都市では、地球温暖化に伴う洪水の影響を更に深刻かつ頻繁に受けることになる”と表明した。
同教授は更に、“中国の都市で起こっていると同様の問題は、他国の沿岸都市でも十分発生しうる”と警鐘をならした。
実際問題、今年2月にリリースされた別の研究論文によると、世界全体で合計630万平方キロメートル(240万平方マイル)の土地が危険に曝されていて、最も深刻な国はインドネシアで、首都ジャカルタのほとんどの土地が海水面以下になっているという。
なお、ニコルズ教授は、約5メートル(16フィート)という深刻な地盤沈下問題に遭って、1970年代以降に地下水の揚水禁止措置を行った東京都の例を参考にすべきだと言及している。
閉じる
欧米メディア、日本大手メーカーが中国から米国へのシフト加速と報道(2024/04/18)
日本企業は2022年、新型コロナ禍に伴うサプライチェーン混乱問題に遭って、中国から米国・メキシコへのシフトを図った。そしてこの程、中国の景気後退に加えての経済安全保障リスクの増大に対して、対中国強硬政策を継続している一方で活況を呈している米国へのシフトが加速していると欧米メディアが報じている。
4月18日付
『ロイター通信』は、日本大手メーカーが中国から米国へのシフトを加速していると報じた。
中国は日本にとって、貿易産品の取引のみならず原材料・部品調達先として重要な相手である。
しかし、最近の兆候をみると、他の主要7ヵ国(G-7)と同様“中国リスクの軽減(他へのシフト)”を図ってきている。
先週訪米していた岸田文雄首相(66歳、2021年就任)が、日米首脳会談後にわざわざノースカロライナ州で建設中のトヨタ(1937年設立)電気自動車(EV)バッテリー工場現場を視察して、現地への投資を鼓舞していることからも、サプライチェーンの中国依存度を下げようとしている姿が覗える。...
全部読む
4月18日付
『ロイター通信』は、日本大手メーカーが中国から米国へのシフトを加速していると報じた。
中国は日本にとって、貿易産品の取引のみならず原材料・部品調達先として重要な相手である。
しかし、最近の兆候をみると、他の主要7ヵ国(G-7)と同様“中国リスクの軽減(他へのシフト)”を図ってきている。
先週訪米していた岸田文雄首相(66歳、2021年就任)が、日米首脳会談後にわざわざノースカロライナ州で建設中のトヨタ(1937年設立)電気自動車(EV)バッテリー工場現場を視察して、現地への投資を鼓舞していることからも、サプライチェーンの中国依存度を下げようとしている姿が覗える。
トヨタは昨年、当該工場新設に80億ドル(約1兆2,320億円)を投じると発表していて、これを含めた同社の対米投資額は139億ドル(約2兆1,410億円)に上る。
そしてこの程、更に米国シフトを加速したのは、産業用ロボットメーカー安川電機(1915年設立)、清涼飲料水メーカーのアサヒ飲料(1982年前身設立)、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス(2002年設立)、自動車メーカーのホンダ(1948年設立)である。
これらのメーカーは今年に入ってから、米国向け投資増の意向や具体的計画を発表している。
特に、トヨタと同様ホンダも今月、国内EVメーカーの牙城となっている中国市場から米国へのシフトを決め、オハイオ州の自社EV工場に少なくとも7億ドル(約1,080億円)を追加投資して増産を図ると表明した。
なお、日本メーカーの中国から米国へのシフト加速は、昨今の中国景気後退も然ることながら、米国による対中国強硬政策が継続することが挙げられる。
今年1月の統計データによると、中国に拠点を置く日本企業のほとんど半数が、昨年1年間で全く追加投資していないか、もしくは投資額を減少させている結果となっているという。
更に、日本企業が恐れているのが中国共産党政府による経済安全保障リスクの増大で、具体的には同政府が昨年、中国通とされているアステラス製薬(2005年山之内製薬・藤沢薬品工業の合併で設立)の中国現地法人の日本人幹部をスパイ容疑で拘束したことが大きな懸念を惹起している。
閉じる
その他の最新記事