米・英・ロシア・フィリピン・中国メディア;中ロに擦り寄るフィリピン大統領(2016/09/28)
9月15日付
Globali「南シナ海問題でフィリピンが中国軍門に降る?」の中で触れたとおり、フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国が南シナ海で展開している、ロシアとの大規模合同軍事演習に恐れをなしたのか、あるいは、中国からの経済支援獲得の方が重要と判断したのか、米国と袂を別って中国寄りの立場を鮮明にしつつある。そしてこの程、同盟国である米国や日本を訪問する前に、中国及びロシアを正式訪問することとなり、いよいよ米国から中ロ連携への方向転換につき旗色を鮮明にした。
9月26日付米
『USAトゥデイ』(
『AP通信』記事引用):「フィリピンのドゥテルテ氏、中ロ連携強化を決意」
「●フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は9月26日、従来からの米国との関係を後退させ、今後は新たに、米国の対極にある中ロ両国との長期的連携を模索するという、言わば“ルビコン川を渡る(シーザーが禁を犯してローマ進軍した故事)”決断をしたと表明。
●同大統領は、近々訪中して習近平(シー・チンピン)主席と会談予定で、その後日ロを訪問すると発言。...
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9月26日付米
『USAトゥデイ』(
『AP通信』記事引用):「フィリピンのドゥテルテ氏、中ロ連携強化を決意」
「●フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は9月26日、従来からの米国との関係を後退させ、今後は新たに、米国の対極にある中ロ両国との長期的連携を模索するという、言わば“ルビコン川を渡る(シーザーが禁を犯してローマ進軍した故事)”決断をしたと表明。
●同大統領は、近々訪中して習近平(シー・チンピン)主席と会談予定で、その後日ロを訪問すると発言。
●同大統領が、正規の司法手続きを経ずして、多くの麻薬容疑者を殺害していることに対して、米、欧州連合(EU)、国連及び豪州が批判しているが、ドゥテルテ氏は、彼らは“偽善者”だと一蹴。」
同日付米
『ロイター通信米国版』:「フィリピンのドゥテルテ氏、中ロとの“開かれた同盟関係”を要望」
「●ドゥテルテ大統領は、かつての宗主国だった米国との関係を見直し、それとは別の大国である中ロとの関係強化を進めていくと発言。
●米国の格付会社スタンダード&プアーズが先週、ドゥテルテ政権になってからのフィリピンの経済状況に懸念を表明したが、同大統領は、これまでの投資家が逃げようと、これから新しい投資家を呼び込むので全く問題ないと豪語。
●米国務省のマーク・トナー報道官は、フィリピン政府から正式には何も話はなく、米国としては今後もフィリピンとは良く連携していくとコメント。」
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「フィリピンのドゥテルテ大統領、米国のライバルである中ロとの同盟を希望と表明」
「●ドゥテルテ大統領は、米国との関係を絶つ訳ではないが、新たに中ロとの関係を築きたいと発言。
●なお同大統領は、米国との軍事同盟関係について見直す考えを表明しているが、10月前半、米・フィリピンの合同軍事演習は実施見込み。」
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「ドゥテルテ氏、米国との関係で“ルビコン川を渡る”決意をし、中ロとの同盟を希望」
「●ドゥテルテ大統領はこれまで、フィリピン駐留の米軍の撤収や、武器の輸入を米国だけに頼らず中ロからも調達、更には、緊張を高めることになる米軍との共同監視航行には参加しないなどと発言。
●そして今回の中ロとの同盟関係構築希望とのコメントは、これまで何年も継続されてきた、米・フィリピン合同軍事演習が行われる直前になされたもの。
●一方、米・フィリピン国防関係者は異口同音に、同大統領の発言は両国間軍事協力関係を損なわないと発言。」
9月27日付フィリピン
『テンポ』オンラインニュース:「ドゥテルテ氏、中ロとの関係を強化と表明」
「●ドゥテルテ大統領は、習主席及びドミトリー・メドベーチェフ首相それぞれと既に話をしており、いずれからも10月での中ロ訪問を歓迎すると言われているとコメント。
●同大統領は、中ロ両国からの投資を呼びかけたいとも表明。
●なお同大統領はまた、米国が南シナ海で中国と衝突することになっても、フィリピンは関わりたくないとも発言。」
同日付中国
『上海日報』:「ドゥテルテ氏、米国の“ライバル”との関係模索」
「●ドゥテルテ大統領の米国批判発言は日常茶飯事になっているが、その中でも9月26日の中ロ同盟関係構築希望発言は大注目。
●しかし、フィリピンを取り巻く環境は芳しくなく、ドゥテルテ氏の反米発言や、麻薬撲滅戦争に嫌気して、9月26日のフィリピン・ペソは2009年以来の安値を更新し、また、海外投資家が6週間連続してフィリピン株式売却。」
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リオ五輪の閉幕式で東京へつなぐ(2016/08/22)
第31回リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式が21日、リオのマラカナン競技場で行われた。南米で初開催で治安や運営で波乱のあった大会だったが、日本のアスリートも大活躍。閉会式終盤行われた東京都知事が五輪旗を引き継ぎ、東京を世界にPRする「ハンドオーバーセレモニー」 における日本のプレゼンテーションでは、次の2020年東京開催に向けての期待が高まるようなバトン伝達が行われたと感じられるものとなった。近未来的なテンポのよいプロジェクションマッピングで東京をアピールし観客を魅了、マリオの仮装をした安倍首相が地球の裏側から登場するという演出で会場を沸かせた。
8月22日付
『BBC』は「リオ五輪2016:見事な閉幕式で五輪旗は東京へ渡される」との見出しで次のように報道している。
・雨の中3時間に及んだブラジルのアートとカーニバルで演出された華麗な閉幕式をもって2020年の東京へバトンが渡された。
・日本による印象的なプレゼンとカーニバルパレードが最大の見どころだった。五輪旗がリオのエドゥアルド・パエス市長からIOCのバッハ会長に返され、小池百合子東京知事に渡され、その後12分間のプレゼンテーションでは安倍首相が巨大な緑色の土管からスーパーマリオの衣装で登場したときは大歓声があがった。...
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8月22日付
『BBC』は「リオ五輪2016:見事な閉幕式で五輪旗は東京へ渡される」との見出しで次のように報道している。
・雨の中3時間に及んだブラジルのアートとカーニバルで演出された華麗な閉幕式をもって2020年の東京へバトンが渡された。
・日本による印象的なプレゼンとカーニバルパレードが最大の見どころだった。五輪旗がリオのエドゥアルド・パエス市長からIOCのバッハ会長に返され、小池百合子東京知事に渡され、その後12分間のプレゼンテーションでは安倍首相が巨大な緑色の土管からスーパーマリオの衣装で登場したときは大歓声があがった。
同日付米
『ブルームバーグ』は「リオで日本の安倍氏がスーパーマリオになり2020年東京五輪をアピール」との見出しで次のように報道している。
・ 一瞬の間、日本の首相は世界の注目を浴びた。日本の最大の文化的輸出アイコンであるマリオに扮した61歳の安倍首相は、すぐに衣装を脱ぎ普段のダークスーツ姿となった。ぎこちなく赤い大きなボールをもって配管工の帽子を振り、コンピュータホログラムを駆使したプレゼンが続いた。ツイッタ―上では、予想通りの盛り上がり。
・これはマリオやゼルダ等世界で有名なキャラクターを世に送り出した任天堂にとっては好材料となり、株価が3%上昇。
・東京五輪組織委員会は任天堂にキャラクター作成を依頼。マリオが世に出たのは30年以上前で、その間、日本政府は公的資金を投入し日本の近代的上下水道網を整備し、停滞する経済を活性化させてきた。菅官房長官は安倍首相の登場は東京五輪のアピールのためであるとしている。
8月20日付
『ロイター通信』は「オリの東京知事は女性アスリートに経済活性を期待」との見出しで小池都知事のインタビューを報道している。
・東京都初の女性知事は、リオでの女性アスリートの活躍を東京に繋いでほしいと願っている。
先週土曜時点で、12個の金メダルうち7個のは女性による。
スポーツ界と比較し日本の女性の政治家は圧倒的に少ないと指摘。
「ヒラリークリントン氏はよく「ガラスの天井」を語るが日本には「鉄の天井」がある。日本の女性政治家も女性アスリート同様挑戦しロールモデルとならくては。」と、環境相と防衛相も務めた小池氏はいう。
・防衛相稲田氏、オリンピック相丸川氏と共に男性が権力を握る日本社会で数少ない活躍する女性。
・東京は増大するコストが課題。効率化等様々な課題に取り組む。
8月22日付
『AFP通信』は「リオの壮観な花火でスーパー安倍にバトンが渡される」との見出しで次の様に報道している。
・日本の安倍首相はスーパーマリオに扮しコミカルな登場を果たした。以前首相は日本のメダリストの前で「日本政府は最高のオリンピックのため全力を尽くす」と述べていた。
・南アメリカ初のオリンピックでは、ブラジルの政治経済の危機の中、治安や物流面の問題も目立った。観覧席の空席の多さも懸念されたが、3冠を3大会達成のウサイン・ボルトや競泳のレジェンド、マイケル・フェルプス(金5個)の活躍は圧巻であった。
同日付英
『テレグラフ』は「リオ閉幕式で日本の安倍晋三首相がスーパーマリオの衣装で土管から登場」との見出しで次の様に報道している。
・閉会間近、東京都知事が五輪旗を受け取り、慣例として次の開催地のプレゼンが行われ次の五輪予告を行った。東京の名所やキャプテン翼やドラえもん、パックマンを背景に写し、動きのあるダンスを取り入れたテンポのよい未来的予告。
・車に乗った安倍首相はリオに間に合わないためマリオになり東京を走り回り土管に飛び入る。アニメーションでは地球に穴を掘り、マラカナン競技場に到着し、土管から姿を現した。
・世界有数の国の大都市、東京で開催される五輪はリオよりも運営はスムーズになるだろうとの期待は大きい。だが、日本国内では五輪が経済に更なるダメージを与えるとの懸念もある。
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