中国首相、「一帯一路経済圏構想」の下で日本より分捕って建設のインドネシア高速鉄道に初試乗【米・インドネシア・中国メディア】(2023/09/07)
中国の首相がこの程、かつて日本コンソーシアムより分捕って建設の運びとなったインドネシアの高速鉄道に初試乗している。
9月7日付米
『AP通信』、インドネシア
『テンポ』、中国
『新華社通信』等は、中国の首相が、「一帯一路経済圏構想(BRI)」の下で日本を押し退けて分捕って建設した、インドネシア初の高速鉄道に初試乗したと報じている。
中国の李強首相(リー・チャン、64歳、2023年就任)は9月6日、中国融資で建設したインドネシア初の高速鉄道に試乗した。
同首相は、インドネシアで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)と日米中等との首脳会議に出席する機会を捉えて、10月1日開業予定のインドネシア高速鉄道に約40キロメートル(25マイル)走行する試運転に約11分間乗車したものである。...
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9月7日付米
『AP通信』、インドネシア
『テンポ』、中国
『新華社通信』等は、中国の首相が、「一帯一路経済圏構想(BRI)」の下で日本を押し退けて分捕って建設した、インドネシア初の高速鉄道に初試乗したと報じている。
中国の李強首相(リー・チャン、64歳、2023年就任)は9月6日、中国融資で建設したインドネシア初の高速鉄道に試乗した。
同首相は、インドネシアで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)と日米中等との首脳会議に出席する機会を捉えて、10月1日開業予定のインドネシア高速鉄道に約40キロメートル(25マイル)走行する試運転に約11分間乗車したものである。
当該高速鉄道建設プロジェクトは、中国が2015年10月、BRI推進の一環で参入しようとしていたインフラ案件で、中国からの全面融資を前面に打ち出し、当時競合していた日本コンソーシアムを押し退けて受注していた。
ただ、本来は2019年運行開始の計画であったが、土地買収や環境対策等の問題が持ち上がって計画が大幅に遅れ、2023年秋に漸く日の目を見ることになっている。
この大幅遅延等もあって、受注当初の総コスト66兆7千億ルピア(43億ドル、約6,360億円)は最終的に113兆ルピア(73億ドル、約1兆800億円)まで膨れ上がった。
総コストの75%は中国開発銀行(1994年設立)の融資で賄われ、残りの25%はインドネシア国営企業4社と中国中鉄(2007年設立)のコンソーシアムが資金負担している。
今年運行開始となるのは、ジャワ島西端の首都ジャカルタ~南西部の都市バンドン間の142.3キロメートル(88.4マイル)で、最速毎時350キロメートル(217マイル)で走行し、従来3時間かかっていた移動時間を約40分に大幅短縮する。
また、同高速鉄道プロジェクトの最終段階では、同島東端のスラバヤまで延伸され、総距離750キロメートル(466マイル)となる計画である。
なお、インドネシアにとって中国は最大の貿易・投資受け入れ相手国で、特に同国主産業のニッケル等の資源は、中国が力を入れている電気自動車産業向けの大きな供給源となると見込まれている。
また、BRIの一環で中国は、インドネシアに現地企業との合弁でニッケル精製工場も起ち上げている。
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欧州気象学専門家、2023年に地球上の平均気温が史上最高値更新の恐れと警告【欧米メディア】(2023/04/23)
世界気象機関(WMO、1950年設立の国連専門機関)は4月21日、2015~2022年の8年間の平均気温が観測史上最も高くなったと発表した。これを受けて欧州気象学専門家らが、今年後半に再発すると見込まれるエルニーニョ現象(注1後記)の影響で、2023年の平均気温が2016年の記録を更新して史上最高となる恐れがあると警告している。
4月21日付
『ロイター通信』は、欧州の気象学専門家らが、2023年、あるいは2024年の平均気温が史上最高値を更新する恐れがあるとコメントしたと報じている。
気候モデルに照らすと、太平洋海域で発生し3年ほど続いたラニーニャ現象が終わり、今年後半にはエルニーニョ現象が発生すると予測されている。
前者では、地球上の平均気温を少々低くし、後者の現象では逆に温度上昇がもたらされるとされている。...
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4月21日付
『ロイター通信』は、欧州の気象学専門家らが、2023年、あるいは2024年の平均気温が史上最高値を更新する恐れがあるとコメントしたと報じている。
気候モデルに照らすと、太平洋海域で発生し3年ほど続いたラニーニャ現象が終わり、今年後半にはエルニーニョ現象が発生すると予測されている。
前者では、地球上の平均気温を少々低くし、後者の現象では逆に温度上昇がもたらされるとされている。
欧州連合(EU)傘下のコペルニクス気候変動研究所(2018年設立)のカルロ・ブオンテンポ理事(2019年就任)は、“これまでの記録では、エルニーニョ現象は気温上昇をもたらしてきていることから、2023年、あるいは2024年には地球上の平均気温の更なる上昇が引き起こされると懸念する”と表明した。
更に、強烈なエルニーニョ現象が今年後半にかけて発生すると予想される、とも付言している。
専門機関の公表データによると、温室効果ガスの影響によって、2022年までの直近8年間の平均気温が史上最高となっている。
従って、気象現象に無関係に平均気温の上昇がもたらされていることから、今回のエルニーニョ現象の発生によって、2016年に記録された過去最高の平均気温を上回る事態となる恐れが見込まれる。
インペリアル・カレッジ・ロンドン(1907年設立の英国理工系大学)気候変動研究機関のグランサム研究所のフリーデリク・オットー上級講師(40歳)は、エルニーニョ現象によって、これまで異常気象に見舞われていた国々で、更に厳しい熱波、干ばつ、山火事が発生する恐れがある、とコメントした。
同講師は、“このため、人類が化石燃料を引き続き使い続ける限り、2023年の平均気温が、過去最高値を記録した2016年を上回る可能性が高い”と警告している。
なお、欧州では2022年、夏季の最高温度を更新し、パキスタンは未曾有の大洪水に見舞われ、また、今年2月には、南極の海氷が史上最低レベルになってしまっている。
(注1)エルニーニョ現象:中央太平洋及び東太平洋の熱帯域で発生する海面水温が上昇しては下降する振動。その結果、西太平洋に高い気圧をもたらし、東太平洋には低い気圧をもたらし、そのために発生した偏西風によって本来冷水海域の南米ペルー沖に赤道方面から暖かい海水が流れ込み、平均水温が1年余り平年より高い状態が続く現象。これまでの記録で、エルニーニョ発生時に地球上の平均気温が高くなり、一部地域に極端な少雨・干ばつ、また別の地域に豪雨をもたらす異常気象が発生している。
(注2)気候モデル:地球上の大気、海洋などの気候を長期的・量的にシミュレーションするもので、1950年代に研究開始。将来の気候現象や気候変動を予測するために使用される。
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