親中国家のカンボジア;中国にシャム湾沿岸の軍港使用の独占権付与との報道につき繰り返し否定【米・カンボジアメディア】
カンボジアはこれまで、最も親中派の国家と言われ、例えば南シナ海での中国の一方的海洋進出についても、様々な国際会議の場で支持を表明している。見返りに中国側からの経済的支援を享受してきた訳だが、この程、米メディアによる“同国南西部のシャム湾沿岸軍港の独占使用権を中国に付与”との報道を繰り返し否定し、軍事政策では中国一辺倒ではない姿勢を明確にしている。
6月2日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース(
『AP通信』配信):「フン・セン首相、中国にカンボジア軍港独占使用権付与との報道を全面否定」
カンボジアのフン・セン首相(69歳、元軍人)は6月1日、中国に同国軍港独占使用権を付与したとの報道を繰り返し否定した。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、米高官が昨年作成された初期段階の中国・カンボジア間契約書案を手に入れたが、それによると、カンボジア南西部のシャム湾沿岸のリアム軍港独占使用権(中国軍兵士駐留、武器保管、軍艦接岸等)を今後30年間にわたり中国に付与するという内容だったと報道していた。...
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6月2日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース(
『AP通信』配信):「フン・セン首相、中国にカンボジア軍港独占使用権付与との報道を全面否定」
カンボジアのフン・セン首相(69歳、元軍人)は6月1日、中国に同国軍港独占使用権を付与したとの報道を繰り返し否定した。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、米高官が昨年作成された初期段階の中国・カンボジア間契約書案を手に入れたが、それによると、カンボジア南西部のシャム湾沿岸のリアム軍港独占使用権(中国軍兵士駐留、武器保管、軍艦接岸等)を今後30年間にわたり中国に付与するという内容だったと報道していた。
同首相は、同国南西部沿岸都市シアヌークビルでの道路建設セレモニーに出席した際、同国憲法によって、他国が同国領土内に基地を開設することは禁じられていると強調した。
更に同首相は、“どこの国の軍艦も受け入れ可能の態勢を取っている”とした上で、“新型コロナウィルス(COVID-19)の脅威がなくなれば、共同軍事訓練を行う用意がある”とも付言した。
ただ、カンボジアは2017年、米国に対して共同軍事訓練の中止を通知し、以降一切実施していない。
しかし、COVID-19感染真っただ中の3月に、中国と共同軍事訓練を実施している。
多くの軍事評論家は、中国にとって、カンボジア軍港の独占使用権を得れば、南シナ海領有権問題に関わり、長い間米国の庇護の下にいる東南アジア諸国連合の一部加盟国に対して、圧倒的優位に立って圧力がかけられると考えているとみている。
カンボジアにとって中国は最大の投資元であり、かつ最も密接な政治的パートナーである。
従って、これに応える形で、これまでも西側諸国からの中国人権・政治的自由度非難の声も無視して、様々な機会に中国支持を表明している。
同日付カンボジア『カンボジア・デイリィ』紙:「カンボジア首脳、中国に軍港使用権付与とのニュースを否定」
フン・セン首相は、米政府が遺憾と表明したと報道されている、中国にリアム軍港使用権を付与したという事実はないと強調した。
更に同首相は、例えば米軍含めて、どの国も希望すれば同港接岸を歓迎するとも付言した。
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米軍;新型コロナウィルス感染によって南シナ海監視もカリブ海での反米政権麻薬取引取り締まり作戦も手薄【米メディア】
既報どおり、米軍の原子力空母“セオドア・ルーズベルト”乗組員の新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題で、派遣されていた南シナ海での中国活動監視が疎かになっている。そしてこの程、ドナルド・トランプ大統領勅命で強化されていた、カリブ海における反米ベネズエラ政権の麻薬取引取り締まりに参加していた戦艦乗組員にもCOVID-19感染問題が発生したため、同海域での作戦も手薄になっている。
4月29日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「米海軍駆逐艦、COVID-19感染問題で帰港」
米海軍は4月27日、南米カリブ海で任務に当たっていたミサイル駆逐艦“キッド”乗組員の中でCOVID-19感染者が確認されたため、任務を切り上げて母港サンディエゴに帰港するよう命じたと発表した。
同軍によると、同艦の半分近くの47名が感染し、うち2人は既に米本土に搬送されたという。...
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4月29日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「米海軍駆逐艦、COVID-19感染問題で帰港」
米海軍は4月27日、南米カリブ海で任務に当たっていたミサイル駆逐艦“キッド”乗組員の中でCOVID-19感染者が確認されたため、任務を切り上げて母港サンディエゴに帰港するよう命じたと発表した。
同軍によると、同艦の半分近くの47名が感染し、うち2人は既に米本土に搬送されたという。
同艦は他の数艦とともに、今月初めにトランプ大統領が決定・指示した、反米国家ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権の資金源となっている麻薬取引取り締まり作戦のため、カリブ海に派遣されていた。
『米海軍協会ニュース』(1873年創刊)によると、米軍艦のうち既に26隻でCOVID-19感染者が出ており、そのうち原子力空母“セオドア・ルーズベルト”を含めた4隻は、太平洋海域の任務に就いていた。
また、原子力空母“ロナルド・レーガン”も、目下定期点検のため横須賀港に帰港しているため、一時的に太平洋海域の任務に就く空母打撃軍はゼロになっている。
従って、現在同海域に配備されている最大軍艦は、13機の最新鋭ステルス戦闘機F-35を搭載した強襲揚陸艦“アメリカ”で、同艦は目下、マレーシア・中国が睨み合いをしている南シナ海南西端のマレーシア沖に派遣されている。
なお、米海軍作戦部長のマイケル・ギルデー大将は、全艦に対して、軍所属の隊員の健康と安全を第一に考えて対応するよう指示を出した。
米海軍では現在、1,600人以上の乗組員がCOVID-19に感染しており、うち空母“セオドア・ルーズベルト”乗組員1名が死亡している。
一方、4月28日付『ニューズウィーク』誌:「ベネズエラとキューバ両国、米軍によるカリブ海軍艦配備はCOVID-19問題をそらすための便法と非難」
トランプ大統領は今月初め、麻薬密輸取引を取り締まるため、南米のカリブ海及び東太平洋海域に軍艦を増派すると発表した。
同作戦の主たる対象は、反米のマドゥロ政権が絡むとされる麻薬違法取引である。
これに先立つ先月下旬、米司法省は、マドゥロ大統領がコロンビア革命軍と結託して、ナルコテロリズム(注後記)を仕掛けていると断罪している。
しかし、ことあるごとに米国と対峙してきたキューバは、ベネズエラとともに、カリブ海等に軍艦を増派するのは南米諸国の脅威となるだけだとした上で、自国におけるCOVID-19抑制失敗に対する批判をそらすために他ならない、と強く非難している。
(注)ナルコテロリズム:麻薬を密輸、密売する組織がそれを取り締まる当局などに対して行うテロリズムのこと。日本語では麻薬テロと呼ぶこともある。1983年に、当時ペルーの大統領であったフェルナンド・ベラウンデ・テリーが、麻薬警察に対する麻薬組織の攻撃をナルコテロリズムと呼んだことに発する。
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