4月16日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「米陸軍少将、南シナ海での実戦訓練に注力と表明」
太平洋方面駐留米陸軍司令官のロバート・ブラウン少将は、2020年には南シナ海、更にできれば東シナ海において、中国を念頭に置いた実戦訓練に注力するとの方針を明らかにした。
同少将によれば、既に西太平洋に駐屯している陸軍部隊を増強し、米同盟国のフィリピンやタイ、更には、マレーシア、インドネシア、ブルネイにおいても実戦訓練を実施する意向であるという。...
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4月16日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「米陸軍少将、南シナ海での実戦訓練に注力と表明」
太平洋方面駐留米陸軍司令官のロバート・ブラウン少将は、2020年には南シナ海、更にできれば東シナ海において、中国を念頭に置いた実戦訓練に注力するとの方針を明らかにした。
同少将によれば、既に西太平洋に駐屯している陸軍部隊を増強し、米同盟国のフィリピンやタイ、更には、マレーシア、インドネシア、ブルネイにおいても実戦訓練を実施する意向であるという。
同少将は、訓練の詳細については明らかにしなかったが、新しい領域として、米海軍支援の目的での対艦攻撃を強化したり、また、中国軍艦隊の無力化や人工島上の中国軍基地への攻撃訓練も視野に入れているとも言及した。
中国は既に、南沙(スプラトリー)諸島内の複数の人工島に軍事施設を着々と建設している。
そしてそれらの人工島は、フィリピン、ブルネイ、マレーシアの200海里漁業専管水域(排他的経済水域)内にあり、領有権問題を引き起こしている。
そこで米陸軍は、米海兵隊が先月に沖縄の小島で実施した上陸訓練にも参加して、実戦に備えた。
更に、4月1日からフィリピン国軍のアギナルド基地(マニラ北部のケソン市、同軍中央指令部がある中心基地)で始まった、フィリピン軍主催の合同訓練“バリカタン2019(注後記)”にも参加している。
また米陸軍は、太平洋上の小島への上陸・奪取訓練に加えて、長距離ミサイルや大砲の導入、更には艦船や標的地を攻撃が可能なロケット砲まで備えている。
将来的には、陸上から1,000キロメーター先の中国軍艦船も標的としうる長距離大砲の開発、導入も計画されている。
(注)バリカタン2019:バリカタンはタガログ語で「肩を並べる」の意で、フィリピン軍と米軍が合同で実施している軍事演習。1992年の在比米軍基地撤収後、翌93年に始まり、2000年以降は豪州軍も参加して毎年実施(1995~1999年は中止)。2019年は、日本、カナダ、NZ、韓国、ベトナム、タイ、英国も参加。
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ロドリゴ・ドゥテルテ比大統領にとって、麻薬犯罪撲滅政策と同じくらい、ミンダナオ島などで続いてきた反政府組織との紛争解決が重要事項である。そして同大統領はこの程、2014年調印のミンダナオ包括和平協定に基づいて、武装解除して政府側と協調して自治に当ることを実践してきた元反政府組織、「モロ・イスラム解放戦線(MILF、注1後記)」の幹部らを、地元暫定自治政府の首長及び役人に登用した。
2月23日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「フィリピン和平協定の下、元ゲリラ部隊幹部らを役人に登用」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2月22日、2014年調印のミンダナオ包括和平協定に基づいて、武装解除の上でフィリピン政府側と協調してきた元反政府組織MILFの幹部らを、地元5州を束ねるバンサモロ暫定自治政府の役人に任命した。
任命式で同大統領は、これを以てゲリラとの戦いは遂に終焉を迎えた、と語った。...
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2月23日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「フィリピン和平協定の下、元ゲリラ部隊幹部らを役人に登用」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2月22日、2014年調印のミンダナオ包括和平協定に基づいて、武装解除の上でフィリピン政府側と協調してきた元反政府組織MILFの幹部らを、地元5州を束ねるバンサモロ暫定自治政府の役人に任命した。
任命式で同大統領は、これを以てゲリラとの戦いは遂に終焉を迎えた、と語った。
同包括和平協定に基づき、今年中にMILF傘下の約1万2千人のゲリラ兵士が武装解除に応じることになるが、今後も段階を踏んで、最終的に4万人のゲリラ兵士が武装解除することになる。
イスラム国家樹立を求める、反政府組織「モロ民族解放戦線(MNLF、注2後記)」等と始まった内戦は半世紀近くに及び、約15万人が犠牲になっている。
MILF広報担当のボン・アル=ハック氏は『AP通信』のインタビューに答えて、本組織が闘争目的とした夢が実現した以上、これからは武器は無用で戦闘を続ける理由もなくなったと述べた。
同大統領は、MILF指導者のムラード・イブラヒム氏をバンサモロ暫定自治政府の首長に据え、また、2022年の選挙で議員が選出されるまでの間、フィリピン政府役人を何人か同自治政府のために働くよう派遣するとした。
更に同大統領は、同地域には天然資源が豊富ではあるものの、国内で最も貧困地域であることから、新たな産業を起こす等支援していくとも語った。
目下、年間助成金として10億ドル(約1,100億円)余りが予算化されている。
なお、MNLFのメンバーにも同自治政府内の議席が与えられる。
しかし、MNLFの中で過激派思想を捨てられないメンバーは、イスラム過激派組織アブ・サヤフ等を立ち上げて、闘争を続けるという。
アブ・サヤフは、フィリピン政府及び米政府からテロ組織と指定されている。
同日付フィリピン『ザ・デイリィ・トリビューン』紙:「反政府組織指導者が首長に」
ドゥテルテ大統領は、MILF指導者のイブラヒム氏をバンサモロ暫定自治政府の首長に任命した。
同氏は、2022年に行われる議会選挙までの間、今回同時に任命された80人の暫定議員を率いて同暫定自治政府を運営していく。
ただ、同大統領は、2022年に正式な自治政府が形成された後も、イブラヒム氏には自治政府内の重要なポジションに留まってもらう意向だとも語った。
なお、任命式を終えて後、イブラヒム新首長は、これまで長い間、イスラム教徒の信仰や統治を求めて戦い、また犠牲も払ってきたが、それらが十分活かされるような自治政府運営をしていくと宣言した。
(注1)MILF:1977年にMNLFから分派・独立した反政府組織。2012年にフィリピン政府との間でミンダナオ和平に関する枠組み協定(バンサモロ自治政府の創設案含む)に合意し、2014年にミンダナオ包括和平協定に調印。
(注2)MNLF:1970年代に結成されたイスラム教徒の政治組織。最盛期には3万人のゲリラ兵士を抱えていた。その後、MILF他に分かれて弱体化。あくまでイスラム国家樹立を目指す過激派一派は、1991年にアブ・サヤフを設立し、現在に至る。
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