7月23日付
『ジ・インディペンデント』紙は、日本がオーバーツーリズム問題を抱えながらもインバウンド事業高揚に注力していると報じた。
日本政府観光局(JNTO、注後記)は7月19日、6月の外国人訪問客数が314万人となり、今年3月に記録した308万人を更新し最多となったと発表した。
同データによれば、23の国・地域からの6月来訪者のうち18ヵ国で過去最多を更新し、また台湾及び米国人は今年1月から毎月最多記録を上回っている。...
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7月23日付
『ジ・インディペンデント』紙は、日本がオーバーツーリズム問題を抱えながらもインバウンド事業高揚に注力していると報じた。
日本政府観光局(JNTO、注後記)は7月19日、6月の外国人訪問客数が314万人となり、今年3月に記録した308万人を更新し最多となったと発表した。
同データによれば、23の国・地域からの6月来訪者のうち18ヵ国で過去最多を更新し、また台湾及び米国人は今年1月から毎月最多記録を上回っている。
この結果、今年上半期(1~6月)の当該人数は1,778万人となり、年換算では2019年に記録した史上最多となる3,190万人を更に上回るペースとなっている。
これに応えて岸田文雄首相(66歳、2021年就任)は同日、“オーバーツーリズム問題対応に注力する”としながらも、2024年通年でインバウンド事業で8兆円(5千万ドル)の収益達成を期待していると述べた。
すなわち、同事業は2024年において、半導体事業を上回り自動車産業に次ぐ産業界第2位の規模となると見込まれる。
高級旅行会社ラグジュリーク(2014年設立)の眞野ナオミ社長は、“38年振りの円安が後押ししていることは明らか”とした上で、“2019年時は中国人旅行者が30%を占めていて中国頼みであったが、現在は台湾・米国はじめ多くの国からの来訪者が増えていることが顕著である”とコメントしている。
実際、JNTOデータによれば、今年6月の中国人来訪者は2019年同月比▼25%も減少している。
ただ、外国人訪問客急増に伴って、多くの観光地でオーバーツーリズム問題が発生しており、そのための対応策が各地でとられつつある。
例えば、世界遺産の富士山では入山料徴収及び入山者数制限措置がとられ、また、国宝の姫路城を管理する姫路市は、成人一律1千円の入場料を外国人には4~5倍の30ドル(約4,800円)に設定することを検討している。
しかし、岸田首相としては、各観光地の対応策に理解を示しながらも、インバウンド事業への後押しは更に継続する意向で、2030年までには外国人訪問客数6千万人を達成し、総収益を15兆円規模まで引き上げたいと強調している。
(注)JNTO:国土交通省傘下の独立行政法人で、正式名称は国際観光振興機構。1893年前身設立で、2003年現法人設立。
(参考)2023年世界観光ランキング:①フランス1億人、②スペイン8,500万人、③米国6,600万人、④イタリア5,700万人、⑤トルコ5,500万人、⑥メキシコ4,200万人、⑦英国3,700万人、⑧ドイツ3,500万人、⑨ギリシャ3,300万人、⑩オーストリア3,100万人、⑪タイ2,800万人、⑫サウジアラビア2,700万人、⑬日本2,500万人
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ロシア生まれの豪州人夫妻が、豪州軍の防衛関連情報にアクセスした容疑で逮捕された。在豪ロシア大使館は即刻、反ロシア運動を煽るものと抗議の声を上げたが、豪州首相はこれを一蹴している。
7月12日付米
『CNNニュース』、英国
『ジ・インディペンデント』紙、7月13日付豪州
『ABCニュース』等は、豪州当局がロシア系豪州人夫婦をスパイ容疑で逮捕するとともに、でっち上げとクレームする在豪州ロシア大使館の抗議を豪州首相が一蹴したと報じている。
豪州防諜機関の豪州保安情報機構(ASIO、1949年創設)によって7月11日に逮捕されたのは、ロシア生まれの豪州人のキラ・コロレフ容疑者(40歳、2016年豪州市民権取得)及び夫のイーゴル・コロレフ容疑者(62歳、2020年市民権取得)である。
共同捜査に当たっていた豪州連邦警察(AFP、1979年設立)によると、前者は2015年に豪州国防省に情報システム・エンジニアとして採用されていたが、2023年に長期休暇を取得してロシアに帰国していた際、ロシア諜報部員らに密かに会っていたという。
また、後者は、前者がロシア滞在中に、前者の国防省内で使用しているPCアカウントに前者の指示で侵入して、防衛関連機密情報を盗み出して前者に送信していたとする。
2018年に制定された「外国の干渉及びスパイ行為防止法」に基づき、容疑者夫婦による機密情報アクセス容疑が認定されれば、最長15年の懲役刑が下される。
更に、当該情報がロシア側に渡っていることが証明されれば、当該夫婦は最長25年の懲役刑に処される可能性もある。
一方、今回の事件を受けて、在豪州ロシア大使館は早速、“豪州市民を疑心暗鬼にさせて、反ロシア運動を煽ろうとしている”とする抗議文をSNSに投稿した。
これに対して、アンソニー・アルバニージー首相(61歳、2022年就任)は7月13日、“ロシアは豪州のみならず世界中でスパイ活動を行っているので、ロシア側の言い分は全く信用できない”とした上で、“本件に干渉するべきではない”と一蹴している。
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