インド、マザー・テレサのチャリティーの海外資金受取許可証の更新を拒否(2021/12/29)
インドはマザー・テレサが設立した慈善団体への海外からの資金提供を打ち切ろうとしている。こうした動きは、海外からの寄付金で運営されている団体に対する規制強化の一環であり、宗教的少数派への攻撃が増加している中で行われたものである。
『AFP通信』によると、チャリティー団体は、西ベンガル州の州都コルカタで貧しい人々を助けることに人生の大半を捧げたカトリックの修道女、故マザー・テレサによって1950年に設立された。同団体は、インド全土で保護施設を運営しており、マザー・テレサはこの働きのために1979年にノーベル平和賞を受賞した。
インド内務省は12月25日、海外から資金を受け取るための同団体の受取許可証の更新が「拒否」されたと発表した。...
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『AFP通信』によると、チャリティー団体は、西ベンガル州の州都コルカタで貧しい人々を助けることに人生の大半を捧げたカトリックの修道女、故マザー・テレサによって1950年に設立された。同団体は、インド全土で保護施設を運営しており、マザー・テレサはこの働きのために1979年にノーベル平和賞を受賞した。
インド内務省は12月25日、海外から資金を受け取るための同団体の受取許可証の更新が「拒否」されたと発表した。27日に発表された声明では、外国貢献規制法に基づく「資格条件を満たしていない」ことを理由としてあげているが、それ以上の詳細は明かされていない。
米『ニューヨーク・タイムズ』によると、同団体は上訴することができるが、今のところ、主要な資金源は断たれているという。このニュースは、インドで数百人の右翼ヒンズー教徒によって教会が破壊され、いくつかの地域ではクリスマスの行事が中断された緊迫した時期に発表されたという。
インドの人口の約2パーセントを占めるキリスト教徒に対する攻撃の増加は、宗教的少数派が安全でないと感じるようになってきているより広い社会的変化の一部だといえる。反キリスト教の自警団が村を襲い、教会を襲撃し、キリスト教の文献を燃やし、学校を攻撃し、礼拝者を襲っている。ここ数カ月、北部のハリヤナ州では、右翼のヒンズー教徒が金曜日の礼拝中にイスラム教徒とも衝突している。先週行われた集会では、数百人の右翼ヒンドゥー教僧侶が、憲法上世俗的な共和国であるインドをヒンドゥー教の国にするために、公然とイスラム教徒を殺害するよう呼びかけた。
また、モディ氏の政権下で、インドは非政府組織に対する海外からの資金提供に関する規則も強化している。多くのキリスト教やイスラム教の非営利団体に制限を加え、その他の団体はインドの法律、特に宗教的改宗に関する法律に違反しているとして監視リストに載せている。
非営利団体は、海外からの資金とインド国内での使用方法に関する詳細な財務諸表を提出する必要があり、政府から承認されるまでは、その資金の受け取りが制限される。昨年、人権団体アムネスティ・インターナショナルは、銀行口座の凍結など政府からの一連の報復を受け、インドでの事業を停止した。政府は当時、同団体が外国法人が海外から寄付を受ける際の規制を回避し、現地の法律に何度も違反したと発表した。
マザー・テレサのチャリティー団体の広報担当者、スニタ・クマール氏は27日、許可証の問題が解決されることに自信を示し、収入の大部分を海外からの寄付で得ているものの、「地元でも十分な寄付があるので、それで対応できる」と語り、同チャリティーの活動に直ちに影響を与えることはないと述べている。
チャリティー団体は、パンデミック以前から、14億人の人口を抱えるインドで、重要なケアサービスと医療インフラを提供してきた。しかし今月、西部のグジャラート州の警察は、保護施設の少女たちに聖書を読み、十字架を身につけるよう強制しているとして、団体に対する苦情を調査中であると発表した。この告発に対して、団体の広報担当であるクマール氏は「私は45年間ここで働いていますが、そのようなことは一度も起きていません」と否定している。
カタールの『アルジャジーラ』は、2014年にモディが政権をとって以来、右派ヒンドゥー教団は州を越えてその地位を固めていき、宗教的少数派へのヘイト攻撃を開始し、そうした行動は宗教的改宗を防ぐためだと主張している。これに対し、キリスト教徒やその他の批評家は、改宗を防ぐという正当な理由は誤りであり、キリスト教徒はインドの人口13億7千万人のうちわずか2.3パーセントであり、ヒンズー教徒は同国の人口13億人のうち80パーセント近くを占める圧倒的多数派であると指摘している。
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米メディア;日本が2年振りに死刑執行と報道(2021/12/23)
古川禎久法務相(56歳)は12月21日、死刑囚3名の死刑を執行した旨発表した。これは2019年以来2年振りのことだが、トランプ政権下で17年振りに再開させた米国とともに、西側先進国の中では唯一の存在となっている。
12月22日付
『UPI通信』:「日本、2019年以来3名の死刑執行」
日本は12月21日、2019年以来2年振りに下記の死刑囚の死刑を執行した。
藤城康孝死刑囚(65歳):2004年に親類・隣人7人を刺殺。2009年5月に一審で死刑判決が出たが、上告の結果2015年に最高裁で確定。
高根沢智明死刑囚(54歳):2003年にパチンコ店従業員2人に対して強盗殺人。2005年7月に死刑確定。...
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12月22日付
『UPI通信』:「日本、2019年以来3名の死刑執行」
日本は12月21日、2019年以来2年振りに下記の死刑囚の死刑を執行した。
藤城康孝死刑囚(65歳):2004年に親類・隣人7人を刺殺。2009年5月に一審で死刑判決が出たが、上告の結果2015年に最高裁で確定。
高根沢智明死刑囚(54歳):2003年にパチンコ店従業員2人に対して強盗殺人。2005年7月に死刑確定。
小野川光紀死刑囚(44歳):高根沢死刑囚の共犯。2009年6月に死刑確定。
古川禎久法相は、“慎重な上にも慎重な検討を加えた上で”死刑執行を命じた、と述べた。
日本は前回、2019年12月26日に3名の死刑を執行していたが、岸田文雄首相(64歳)政権下では初の実施となる。
その前年の2018年には、カルト集団オウム真理教の13名の死刑囚含めて合計18名の死刑を執行していた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(AI、注後記)死刑問題専門家のチアラ・サンジョルジョ氏は、新政権下での対応の変化の可能性を潰し、“人権を無視するという従来の日本政府の所業を継続させる許されざる行為だ”と糾弾した。
これに対して、木原誠二内閣官房副長官(51歳)は、“(残念ながら)凶悪犯罪が継続的に発生している現状下、死刑制度を撤廃することは適当ではないと考える”とコメントした。
更に同副長官は、“多くの日本人は、極悪非道の犯罪の場合、死刑は止むを得ないことだと思っている”とも付言した。
(注)AI:国際連合との協議資格をもつ非政府組織で1961年設立。本部はロンドン。良心の囚人を支援、救済する運動がスタートではあるが、現在は良心の囚人関連以外にも国際法に則った難民の保護・救済活動や死刑の廃止・人権擁護などを啓発する運動を実施。団体名「アムネスティ」は “大赦” の意。1977年、ノーベル平和賞受賞。
(補足)AI発行の2021年4月「死刑執行2020」報告書によると、2020年に死刑を執行したのは18ヵ国で前年比▼2ヵ国減少、また、直近10年で最少となり、漸減傾向は継続。主な死刑実施国は、イラン(246人)、エジプト(107人)、イラク(45人)、サウジアラビア(27人)、米国(17人)、ソマリア(11人)、イエメン(5人)、インド及びオマーン(4人)等、合計483人。但し、AIが把握できない中国(国家機密、数千人の死刑執行の可能性)、北朝鮮、ベトナム等でも死刑執行継続。
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