中国による、新疆ウィグル自治区等での人権蹂躙が国際社会から糾弾されている。共産党一党独裁体制堅持のために、形振り構わぬ政策であるが、同様の理由で宗教弾圧も強硬である。そしてこの程、拘束していたプロテスタント牧師に対して、内乱罪で9年の禁固刑に処した。
12月30日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「中国の裁判所がプロテスタント牧師に内乱罪で9年の禁固刑」
中国西南部の四川省成都(チェンドゥ、省都)の人民中級法院(地裁に相当、注後記)は12月30日、かねて拘束していたプロテスタントの王毅(ワン・イー)牧師に対して、国家転覆を扇動したとして9年の禁固刑の有罪判決を下した。
同牧師は、秋雨聖約協会を運営していたが、非公認の宗教組織の活動を取り締る法律の下、1年程前に当局によって拘束されていた。...
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12月30日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「中国の裁判所がプロテスタント牧師に内乱罪で9年の禁固刑」
中国西南部の四川省成都(チェンドゥ、省都)の人民中級法院(地裁に相当、注後記)は12月30日、かねて拘束していたプロテスタントの王毅(ワン・イー)牧師に対して、国家転覆を扇動したとして9年の禁固刑の有罪判決を下した。
同牧師は、秋雨聖約協会を運営していたが、非公認の宗教組織の活動を取り締る法律の下、1年程前に当局によって拘束されていた。
同法院の判決によると、同牧師は違法なビジネス活動も行っていたとして、資産全てが没収されたという。
同牧師の母親に起用された司威將(スー・ウェイチャン)弁護士は、同牧師はキリスト教文化についての本を出版しただけであるにも拘らず、当局は出版の自由の原則に反し、違法ビジネスだと一方的に認定したと非難している。
中国における宗教への弾圧は強硬で、カソリック教会であろうと、非公認の教会を閉鎖に追い込み、チベット族の児童に仏教の勉強を禁止し、また、100万人以上のイスラム教徒を“再教育センター”と称する収容所に押し込めて洗脳している。
同牧師はこれまで、共産党や習近平(シー・チンピン)国家主席を非難するだけでなく、毎年6月4日に1989年天安門事件の流血惨事を追悼するミサを行っていたこともあって、当局から目を付けられていた。
なお、アムネスティ・インターナショナルの中国問題研究のパトリック・プーン氏は、“中国の信教の自由原則はまやかし”だと非難する声明を発表している。
同日付フランス『AFP通信』:「中国、非公認教会の牧師に懲役9年の有罪判決」
王牧師は昨年12月、当局による秋雨聖約教会の家宅捜索で拘束された。
同教会に居合わせた教会員ら数十人は家宅捜索の後、行方が分からなくなっている。
中国政府は、公式には無神論の立場を取っているが、宗教活動含めて、統制下にない組織的活動を警戒している。
特に2018年以降、同政府は、主にイスラム教とキリスト教信者を対象にして、宗教に関する取り締りを実施してきている。
(注)中国の裁判制度は「四級二審終審制」と呼ばれており、全部で四つの等級の裁判所(最高人民法院、高級人民法院、中級人民法院・知財人民法院、基礎人民法院)がある。当事者が第一審の判決に不服な場合は、その上級の裁判所に一度だけ上訴(控訴)する機会が与えられる。そして、第二審裁判所が下した判決は確定判決であり、これに対して更なる上訴は認められない。
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英ロンドンが本拠の国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは21日、米IT大手フェイスブックとグーグルのデータ収集に基づくビジネスモデルが、世界中で人権に対する脅威となっており、変更を促す内容の報告書を発表した。
『AFP通信』や
『AP通信』などが報告書について報じた。同団体は、IT大手2社が「人々が接続し、オンラインの世界と関わり合う主要なチャネルをほぼ完全に支配」し、人々の生活に対する過去に前例のないほどの影響力を獲得したと説明している。
アムネスティ・インターナショナルは、グーグルとフェイスブックが無料のオンラインサービスを提供し、入手したユーザー情報を利用してターゲティング広告で収益を確保しているのは、言論や表現、思想信条の自由など広範囲の人権を危険にさらすと指摘した。...
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『AFP通信』や
『AP通信』などが報告書について報じた。同団体は、IT大手2社が「人々が接続し、オンラインの世界と関わり合う主要なチャネルをほぼ完全に支配」し、人々の生活に対する過去に前例のないほどの影響力を獲得したと説明している。
アムネスティ・インターナショナルは、グーグルとフェイスブックが無料のオンラインサービスを提供し、入手したユーザー情報を利用してターゲティング広告で収益を確保しているのは、言論や表現、思想信条の自由など広範囲の人権を危険にさらすと指摘した。
アムネスティは報告書で、両社を「監視の巨人」と呼び、「監視に基づく両社のビジネスモデルによって、人々はファウスト的契約を強いられることとなり、人権侵害を前提としたシステムに服従しなければ、オンライン上で人権を享受できない。」と述べた。同団体はさらに、両社は常に、至るところからユーザーを監視しながら、莫大な量のデータを収集しているが、これらが顧客の意向に反して用いられるかも知れないと警告し、そのビジネスモデルは「プライバシーの権利とは本質的に相いれない。」と主張している。
アムネスティ・インターナショナルのクミ・ナイドゥ事務総長は、「グーグルとフェイスブックは、我々の現代の生活を支配しており、数十億人の人々の個人データを収集し、収益化することによって、デジタルの世界をめぐる比類のない力を蓄積している。」と指摘した。また、「我々のデジタル生活を知らぬ間に管理することで、プライバシーの本質を害しており、これが今の時代を特徴づける人権課題の1つとなっている。」とも述べた。
報告書は60頁もの膨大なものであり、各国政府の義務についても記している。オンラインサービスを確実に提供する一方、ユーザーのプライバシーを法的に保証し、広告業者や第三者に追跡されないよう保護する政策の導入を求めた。過去20年、IT企業は自主規制の下にあったが、「政府は企業による人権侵害から人々を守る義務を負う」としている。
フェイスブックは、報告書に対し書簡を寄せ、同社のビジネスモデルが監視によるデータ収集に基づくとされたことに反発している。同社は、ターゲティング広告に用いるデータは制限しており、収益化しているのは広告であってデータではないなどと反論した。
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